ドル円見通し 日銀はマイナス金利解除を急がずとの報道で146円台に到達(23/12/12)

146円台へ上昇、12日未明には146.58円まで戻り高値を切り上げた。

ドル円見通し 日銀はマイナス金利解除を急がずとの報道で146円台に到達(23/12/12)

ドル円見通し 日銀はマイナス金利解除を急がずとの報道で146円台に到達

〇ドル円、12/11は145円台中盤へ上昇し、その後日銀はマイナス金利解除急がずとの報道で146円台へ
〇12/12未明には146.58まで戻り高値を切り上げる
〇日銀は出口戦略を急がずとの報道、先週の円急落に対して市場の過剰反応を悟らせる動きか
〇米長期債利回りはCPI発表控えてまちまちの動き、米株価は上昇、NYダウは年初来最高値更新
〇145.75を上回るうちは上昇余地ありとし、146.58超えからは147円台序盤への上昇を想定する
〇145.75割れからは下向きとし、145.50割れからは144円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は12月7日に植田日銀総裁が参院の国会答弁で金融緩和の出口戦略について「年末から来年にかけてチャレンジングになる」と述べ、その後の岸田首相との会談で出口戦略の考え方を説明したとの報道から下落に転じ、7日午前の147円台から8日未明安値141.67円まで急落した。
12月6日夜高値147.49円からの下げ幅は5.82円となったが、141円台まで下げたことに対する売られ過ぎ警戒感から買い戻され、12月8日夜の米11月雇用統計が予想より強かったことで145.19円まで戻り高値を切り上げた。
週明けのドル円は中国のCPIとPPIが鈍化してデフレ不況感を強めたことでドル高・人民元安となったことに引っ張られて145円台中盤へ上昇していたが、一部メディアが日銀関係者の話として今月の金融政策決定会合ではマイナス金利の解除を急ぐ必要はないと述べた報じたことをきっかけに146円台へ上昇、12日未明には146.58円まで戻り高値を切り上げた。

【日銀は出口戦略を急がず】

一部メディアは日銀関係者の話として、日銀は賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利解除やYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)撤廃などの決定を急ぐ必要はほとんどないとの認識だと報じられた。日銀は12月18-19日に金融政策決定会合を開催するが、政策の追加修正等はなく現状維持の見通しという。
12月7日の植田総裁による国会答弁等が1日で5円を超える急落を招いたことに対して、市場が過剰反応していることを悟らせる動きと思われる。12月13日に日銀短観が発表されるが、冴えない内容なら12月会合では現状維持とし、来春の春闘と賃上げ状況を見定めてから政策修正への判断を行うのではないかと思われる。
12月4日に実施された異次元金融緩和政策に対する功罪を検証する会合=「多角的レビュー」には民間のエコノミストらも参加したが、参加者からは政策転換への議論はなかったとも報じられている。来年5月にはレビューの2回目が開催されて検証報告があると思われるが、それを踏まえて出口へ向かうという流れだろうか。

【米長期債利回りはCPI発表控えてまちまち、ダウは年初来最高値更新】

12月11日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.01%上昇の4.24%となった。直近のピークである10月23日の5.02%から12月6日の4.10%まで低下した後は下げ過ぎの修正で戻しており、11日は一時4.29%をつけたものの上げ幅を削っている。この日は3年債(500億ドル)と10年債(370億ドル)の入札があり、10年債入札は最高落札利回りが4.296%と高かったが応札倍率は11月の2.45倍から12月は2.53倍と上昇してそこそこ堅調だった。12日の米CPI、14日早朝に声明発表のあるFOMCを控えて慎重な動きのようだ。
30年債利回りは先週末比0.02%上昇の4.33%、2年債利回りは先週末比0.02%低下の4.71%だった。
12月8日の米11月雇用統計が堅調な数字だったことで米金利先物市場においては来年3月の利下げ確率が発表前の6割強から5割弱へ低下し、11日時点では4割程度となっているが、5月の利下げ確率は8割近くに上昇している。

NYダウは先週末比157.06ドル高と上昇、12月8日に8月1日高値を超えて年初来高値を更新したが、11日も2営業日連続で年初来高値を更新している。ナスダック総合指数も先週末比28.52ポイント高と上昇、12月7日からの3連騰で7月19日の年初来高値に迫っている。株式市場は来年前半の利下げ確率が上昇していることでリセッション入りを回避して株高を続けられるとの楽観が優勢のようだ。
米長期債利回りの大幅低下が落ち着いていることと株高はドル円にはプラスとなっている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は12月8日未明安値を起点としたリバウンドを継続しているが、8日未明安値141.67円から12日未明高値146.58円まで5円近い上昇幅となり7日午前からの急落幅の大半を解消している。12日夜の米CPIや13日夜の米PPI、14日未明のFOMC声明と重要イベントが続くため、目先は戻り一巡でいったん仕切り直しの下落が入っても不思議ないところと思われる。
12月12日未明高値を超える場合は12日午後から13日夜にかけての間への上昇を想定するが、145.50円を割り込む場合は戻り一巡後の修正安入りとみて12日夜から15日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月8日未明安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、12日未明高値からややジリ安のため遅行スパンは悪化しやすい位置に来ている。
遅行スパン好転中は高値試し優先とし、145.50円を割り込まないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とみるが、145.50円割れからはいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月11日夕刻に70ポイント台後半へ上昇したが、12日未明への高値切り上げに際しては指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるので、65ポイント超えからは上昇再開とするが、60ポイント以下での推移中は下向きとし、50ポイント割れからは30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.50円を下値支持線、12月12日未明高値146.58円を上値抵抗線とする。
(2)145.75円を上回るうちは上昇余地ありとし、146.58円超えからは147円台序盤への上昇を想定する。147円以上は反落警戒とするが、米CPI発表等で勢い付く場合は147円台中盤へ上値目途を引き上げる。
(3)145.75円割れからは下向きとし、145.50円割れからは144円台中盤への下落を想定する。145.50円以下での推移が続く場合は13日も安値試しへ向かいやすいとみる。米CPI発表後に急落商状の場合は144円台序盤へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

12/12(火)
休場 メキシコ
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
16:00 (英) 10月 失業率・ILO方式 (9月 4.2%、予想 4.2%)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感 (11月 9.8、予想 8.8)
19:00 (欧) 12月 ZEW景況感 (11月 13.8)
22:30 (米) 11月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (10月 0.0%、予想 0.0%)
22:30 (米) 11月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (10月 3.2%、予想 3.1%)
22:30 (米) 11月 コアCPI 前月比 (10月 0.2%、予想 0.3%)
22:30 (米) 11月 コアCPI 前年同月比 (10月 4.0%、予想 4.0%)
27:00 (米) 財務省30年債入札
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -666億ドル、予想 -3010億ドル)

12/13(水)
OPEC月報
06:45 (NZ) 7-9月期 経常収支 (4−6月 -42.08億NZドル、予想 -110.00億NZドル)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (7-9月 9、予想 10)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業先行き (7−9月 10、予想 9)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (7-9月 27、予想 27)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (7−9月 21、予想 25)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (7−9月 13.6%、予想 12.4%)

16:00 (英) 10月 月次GDP 前月比 (9月 0.2%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.0%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 1.5%、予想 1.1%)
16:00 (英) 10月 貿易収支・物品 (9月 -142.88億ポンド、予想 -141.00億ポンド)
16:00 (英) 10月 貿易収支 (9月 -15.74億ポンド)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.1%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -6.9%、予想 -4.5%)
22:30 (米) 11月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (10月 1.3%、予想 1.0%)
22:30 (米) 11月 コアPPI 前月比 (10月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 コアPPI 前年同月比 (10月 2.4%、予想 2.2%)

24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) 米FOMC 政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
28:30 (米) パウエルFRB議長、記者会見


注:ポイント要約は編集部

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