日銀による金融緩和の早期修正観測後退で急上昇。一時146円台半ばに達する場面も
〇ドル円、米国時間午後にかけて高値146.59まで急伸
〇株価堅調、ブルームバーグ観測記事による日銀早期緩和修正観測の後退等が背景
〇ユーロドル、1.07台で方向感に欠ける動き
〇ドル円、上方に複数のレジスタンスポイント並び、三役逆転も継続
〇21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロスが秒読み段階、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いがドル円の重石に
〇ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:145.00ー147.00
海外時間のレビュー
週明け11日(月)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値144.81まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、(2)米ブルームバーグ社による「日本銀行は賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロールの撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識」との観測報道、(3)上記2を背景とした日銀による金融緩和の早期修正観測の後退(短期筋の大規模ロスカット誘発)、(4)欧米株の力強い動き(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値146.59まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/12午前6時00分現在)では、146.22前後で推移しております。尚、昨日発表された米ニューヨーク連銀による期待インフレ調査では、1年先の期待インフレ率(結果3.4%、前回3.6%)が2021年4月以来の低水準を記録しましたが、市場の反応は限定的となりました。
週明け11日(月)のユーロドル相場は狭いレンジ内で方向感に欠ける展開。(1)欧州株の堅調推移(ユーロ円上昇→ユーロドル連れ高)を背景に、欧州時間朝方にかけて、高値1.0779まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(2)ECB理事会を控えたポジション調整や、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0741まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間12/12午前6時00分現在)では、1.0763前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は12/7に記録した安値141.60(8/7以来、約4カ月ぶり安値圏)をボトムに反発に転じると、昨日は一時146.59まで急伸しました。植田日銀総裁による先週のチャレンジング発言に端を発したマイナス金利の早期解除の思惑に対し、米ブルームバーグがそうした市場の織り込みを完全否定するような観測記事(日本銀行は賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロールの撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識)を出したことが、壮大な「往って来い」の背景と考えられます。
但し、アップサイドに複数のレジスタンスポイントが並んでいる点や、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」が成立している点、現時点で全値戻しが成立していない点(147.32→141.60→146.59)、21日移動平均線と90日移動平均線のデッドクロスが秒読み段階に入ってきている点等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる早期利下げ観測の高まり(昨日発表された米ニューヨーク連銀のインフレ期待は2021年4月以来の低水準)や、(2)日銀によるマイナス金利の早期解除観測(来週の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除観測は後退するも、年明けの会合でのマイナス金利解除観測は依然として残存)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(低下圧力が加わり易い米金利と、上昇圧力が加わり易い円金利のコントラスト)など、ドル円相場の上値を重くする材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。
尚、本日は、日本時間22:30に発表される米11月消費者物価指数に注目が集まります。市場予想を下回る結果(インフレ鈍化の方向性が改めて示されれば)、米FRBによる早期利下げ観測再燃→米金利低下→米ドル売りの経路で、ドル円に強い下落圧力が加わる恐れもあるため、本日は米国時間帯の反落リスクに警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:145.00ー147.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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