東京市場のドルは一時142円50銭まで下落、雇用統計でドル売り強まれば一段安も
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、ボラタイルな海外時間の余韻が残っており、一時142円50銭まで下げる場面がみられた。
昨晩の海外時間では、日本銀行の植田和男総裁、氷見野良三副総裁の発言を受けて、「最短で12月の日銀金融政策決定会合にて、金融政策の正常化を実施する可能性がある」と市場は捉えたことから円買いが加速。ドルはストップロスを巻き込むきつい下げとなり、8月7日以来となる141円台まで急落した。売り一巡後は、買戻しが進み144円台まで値を戻したが、東京時間終了時点との比較では5円の急変動となった。
東京時間でも急変動の余韻が残っており、値決めのタイミングの10時頃、142円50銭までドル売りが加速する場面が見られた。売り一巡後は、144円台を回復するなどやや落着きを取り戻したが、株式市場では日経平均が後場一段安で大幅続落となるなど、ボラタイルな地合いとなっている。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:144円19銭
高値:144円32銭
安値:142円50銭
終値:143円93銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:155円67銭
高値:155円72銭
安値:153円87銭
終値:155円21銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:95円17銭
高値:95円27銭
安値:94円17銭
終値:95円19銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:181円59銭
高値:181円68銭
安値:179円56銭
終値:181円18銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:32600円47銭
高値:32604円35銭
安値:32205円38銭
終値:32307円86銭(前日比−550円45銭)
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
☆22時30分、米、非農業部門雇用者数(前月比)、前回:15.0万人、市場予想:18.3万人
☆22時30分、米、失業率、前回:3.9%、市場予想:3.9%
☆24時00分、米、ミシガン大学消費者信頼感指数、前回:61.3、市場予想:61.5
※FRBブラックアウト期間入り(金融政策に関する発言自粛期間)(14日まで)
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円は、一目均衡表では、遅行スパンが実線を下回っているほか、雲下限も下放れておりトレンドは急速に悪化している。ボリンジャーバンドでも、拡大する−2σを下抜けるような強い「バンド・ウォーク」が示現。142円前半で推移する200日移動平均線(MA)水準で長い下影(下ヒゲ)を二本残しているが、ボラタイルな地合いのなか、一段安を警戒する余韻は残っている。
昨日のドルの下落率は前日比3.8%と昨年12月20日以来の下落率となったほか、5月以来となる200日MA割れという強烈な動きとなった。
今回のドル急落は、ドルが主体ではなく、円キャリートレード巻き戻しに伴う円買いが主たる要因である。その証拠にドルインデックスは103.6水準と目立った動きはない。植田日銀総裁が発した「チャレンジング」に対して、アルゴリズムトレードが過敏に反応したように思えるが、発言とドル急落にタイムラグが存在することから海外時間のドル急落の主要因は正直謎である。
とはいえ、株式市場で日経平均が前日比2%ほどの大幅続落となるなか、業種別株価指数で銀行株がプラス圏で推移したことは、「日銀による金融政策正常化の前倒し観測」が市場で強まっている証拠だ。
今晩の海外時間は、米雇用統計という重要な米経済指標の発表を控えている。ただでさえ1円ほど上下させるインパクトを秘めている指標なだけに、「非農業部門雇用者数の予想下振れ、失業率も平均時給も悪化」という展開となれば、「米10年債利回りの4.0%割れに伴うドル売り」という要因が発生する可能性がある。円が主要通貨に対して買われやすいなか、こうしたドル売り要因も加わると、ドル一段安も十分ありえよう。
こうした予想しない相場付きとなった際、我々市場関係者は予想の範囲を極端に大きくすることが往々にある。とりわけ今回のようなタイムラグ(下落要因と下落開始の差)がある不可解な急変動後に重要な経済指標が発表される時は、より慎重姿勢で挑みたい。
今晩の海外時間もボラタイルな展開となろう。特に雇用統計の内容次第では、下に大きく振れると考える。上値メドは145円00銭、下値メドは141円00銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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