テクニカルにはドル続落にも要注意(週報12月第1週)

先週のドル/円相場はドル弱含み。一時は146.60円台と、9月半ば以来の安値を記録していた。

テクニカルにはドル続落にも要注意(週報12月第1週)

テクニカルにはドル続落にも要注意

〇先週のドル円、上値重く一度も150円に届かず、146.80レベルと9月半ば以来の安値圏で越週
〇週末のパウエルFRB議長の発言が予想以上に弱気に受け止められ、いったん持ち直したドル売り再燃
〇今年のドル円相場、高値から概ね8円程度の下げで底入れする傾向の為、144円レベルが下値メド
〇今週、11月ISM非製造業景況指数や雇用統計など非常に重要な米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向、90日MAがある148円前後が最初の抵抗。超えれば21日MAがある149円後半目指す
〇ドル安円高は7月安値137.25を起点とした上昇に対するフィボナッチ38.2%押し146.30-35の攻防
〇今週のドル円予想レンジ、145.00-149.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドル弱含み。一時は146.60円台と、9月半ば以来の安値を記録していた。

前週末は、日中韓外相会談などが開催され、北朝鮮の事実上の「ミサイル発射」が議論されている。それとは別に、中国北部で子どもの肺炎が急増していると話題になっていた。
そうした状況下、ドル/円は149円半ばで寄り付いたのち、週間高値の149.67円を示現。しかしドルの上値は重く、週間を通して、米金利情勢に一喜一憂しつつ一度も150円にとどかないまま、徐々にドル売りに押される展開をたどっている。週の半ば以降は146.65-148.50円といった低位の揉み合い。週末NYはそのまま146.80円レベルと、ドルは安値圏で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、11月28日に発表された11月の消費者信頼感指数など米経済指標は好悪混在。しかし、ウォラーFRB理事から「景気回復などとは無関係に、インフレ率が低下したという理由のみで政策金利を引き下げ始めることができる」とのコメントが発せられたことで、一気に米利下げ機運が強まると、実際の米金利も低下しドル売りを後押ししたようだ。その後、リッチモンド連銀総裁やアトランタ連銀総裁からは根強いインフレについての懸念発言が聞かれ、ウォラー発言の影響が幾分軽減されるも引き続きドルの上値は重い。そうしたなか、週末には注目のパウエルFRB議長の発言が伝えられ、「金融緩和の時期を推測するのは時期尚早だ」とコメントしつつも、「我々は得たいと思ったものを得つつある」、「一段の利上げの必要性はデータが教えてくれる」−−などと予想以上に弱気にとれる発言を行ったことで、いったん持ち直したドル売りが再燃する格好に。

対して後者は、北朝鮮が11月21日と22日に実施した「人工衛星」と称するミサイル発射だが、うち21日の発射は成功裏に終わったと見られている。そうした状況下、朝鮮中央通信は「軍事偵察衛星がソウルや在韓米軍基地といった敵側の重要標的地域を撮影した」、「米ホワイトハウスや国防総省、ノーフォーク海軍基地の米空母の写真を撮影」−−などと連日報道。打ち上げ成功アピールが相次いでいた。一方、そんな北朝鮮情勢を受け、国連安保理が緊急会合を開催。しかし、米国を中心とした西側諸国と中露が激しい対立をみせ、結局今回も一致した対応を取れず、機能不全を露呈したにとどまった。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は一時146.60円台と、9月半ば以来の安値を示現。そのなかで、移動平均では21日線に続き90日線、一目均衡表では先行帯の雲の上限だけでなく下限も「しっかり」と割り込んできた感がある。少なくとも週末NYクローズで大きく割り込んできた。リスクはドル安方向に考えざるを得ず、さらなる続落にも要注意だ。7月安値137.25円を起点とした上昇に対するフィボナッチはと言うと38.2%押しは146.30-35円となり、まずはその攻防に注目。また、半値押しは144.60円レベルとなる。
引き続き日米欧の金融政策会合に市場の関心が集まるなか、前述したように先週は米金利情勢が相場の波乱要因となっていた。今週も発表される雇用統計など米経済指標にまずは要注意。その内容に一喜一憂する展開が基本的には続きそうだ。一方、それとは別に気になるのは世界的な地政学リスクの高まりだろう。ロシアのウクライナ侵攻が続く環境下、中東情勢不安が台頭し、さらに朝鮮半島も予断を許さない。場合によっては「有事のドル買い」が強まる可能性も。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円週足は実体部だけで2円を超える、かなりしっかりした陰線。これだけのものは今年7月10-14日以来だ。前述したように、移動平均や一目均衡表におけるテクニカルポイントも次々割り込んでくるなど、リスクはドル安方向に高いと言わざるを得ない。
なお、今年のドル/円相場は高値から大きな調整が入った場合、おおむね8円程度の下げで底入れするという傾向がある。今回の起点が151.92円であることを考えると144円レベルが一応の下値メドということになりそうだが果たして如何に。

そうしたなか今週は、11月のISM非製造業景況指数や同雇用統計といった非常に重要な米経済指標が発表される。一方、それとは別に気になるのは、4日に香港での清算申し立て審理を迎える中国不動産大手・恒大集団の動静。ロイターによると、「債務再編の新たな提案を策定し、清算の回避を目指している」という。

そんな今週のドル/円予想レンジは、145.00-149.00円。ドル高・円安については、移動平均の90日線が位置する148円前後が最初の抵抗。超えれば再び下降に転じてきた21日線が位置する149円後半を目指す展開も。
対してドル安・円高方向は、先週二度下げ止まった146.65円レベルをめぐる攻防にまずは注目。割り込むとフィボナッチポイントの146.30-35円、そして145円などがターゲットとなる。

テクニカルにはドル続落にも要注意

ドル円日足



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