ウォラーFRB理事による政策金利の引き下げ示唆で大幅下落。続落リスクに要警戒
〇ドル円、ウォラーFRB理事等による利下げ示唆発言と米長期金利低下に、一時147.32まで急落
〇ユーロドル、ECB関係者のタカ派発言、欧州指標の好調、米金利低下に一時1.1009まで上昇
〇ドル円、一目均衡表雲上限や90日移動平均線を下抜け、テクニカルの地合いの悪化警戒される
〇本日の米指標次第で、大規模ロスカット誘発からドル円がもう一段値崩れを起こす恐れも
〇向こう1週間程度の短期的なドル円相場見通しを強気から弱気へと変更
〇中長期のドル円相場については上昇予想を維持
〇目先は一目均衡表雲下限の147.31、11/21安値147.15を下抜けられるかに注目
〇本日の予想レンジ:146.00ー148.00
海外時間のレビュー
28日(火)のドル円相場は大幅下落。欧州時間朝方にかけて、高値148.84まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米11月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲5、予想+1)の市場予想を下回る結果や、(2)シカゴ連銀グールズビー総裁による「全体としてインフレに関しては良好な進展が見られた」とのハト派的な発言、(3)ウォラーFRB理事による「インフレ率がさらに数カ月間低下し続ければ政策金利を引き下げる根拠は十分にある」とのハト派的な発言(利下げ示唆発言)、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力、(5)ドル円ロング勢の大規模ロスカット(仕掛け的なドル売り・円買い)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値147.32(11/21以来の安値圏)まで急落しました。その後も、(6)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレ率の低下が励みになっている」とのハト派的な発言などが上値を抑え、本稿執筆時点(日本時間11/29午前5時35分現在)においても、147.50前後で推移しております。
28日(火)のユーロドル相場は急上昇。欧州時間朝方にかけて、安値1.0934まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「ECBはまだ利下げを検討すべき段階にはない」とのタカ派的な発言や、(2)ドイツ12月GFK消費者信頼感指数(結果▲27.8、予想▲28.2)の市場予想を上回る結果、(3)フランス11月INSEE消費者信頼感指数(結果87、予想84)の市場予想を上回る結果、(4)米当局者による相次ぐハト派発言、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力、(6)心理的節目1.1000突破に伴う仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1009(8/10以来、約3カ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/29午前5時35分現在)では、1.0980前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時147.32まで急落するなど冴えない動きが続いています。日足ローソク足が市場参加者に意識されていた一目均衡表雲上限や90日移動平均線を下抜けしたことや、市場のトレンドとオシレータ系インジケータが逆行する「ベアリッシュ・ダイバージェンス」が発生していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。本日予定されている米7ー9月期GDP統計が市場予想を下回る場合や、クリーブランド連銀メスター総裁よりハト派的な発言が見られる場合、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で景気減速やインフレ鈍化傾向が示される場合などには、米金利低下→米ドル売り→ドル円ロング勢の大規模ロスカット誘発の経路で、ドル円相場がもう一段値崩れを起こすシナリオも想定されるため、当方では、向こう1週間程度の短期的なドル円相場見通しを「ブル」から「ベア」へと変更いたします(中長期的なドル円相場見通しについては引き続き「ブル」を維持)。
尚、目先は、一目均衡表雲下限が位置する147.31や、11/21に記録した安値147.15を下抜けられるか否かに注目が集まります。同水準を下抜けできれば、心理的節目147円・146円・145円を一気に割り込み、9/1に記録した安値144.44辺りへの大規模調整が視野に入ってくるため、本日もドル円相場のダウンサイドリスクに警戒が必要でしょう。
本日の予想レンジ:146.00ー148.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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