ドル円、レンジ上下を達成、基本は往来相場か(週報11月第4週)

先週のドル/円相場は結果「行って来い」。一時ドル安に振れ147円台前半、3ヵ月ぶり安値を示現するも続かなかった。

ドル円、レンジ上下を達成、基本は往来相場か(週報11月第4週)

レンジ上下を達成、基本は往来相場か

〇先週のドル円、11/13の151.92で目先高値、11/21の147.15が目先安値
〇しばらくは147.15-151.92というややワイドなレンジ内での往来相場か
〇リスク的には、週間を通し一度も150円台に乗せられず上値が重いドル安方向の動きに注意
〇今週は米10月PCEデフレーター、ISM製造業景況指数の発表、12/1のFRB議長発言に要注意
〇予想レンジは147.80-151.30、ドル高・円安は先週一度も超えられなかった150円が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、149円台まで切り上がってくる一目の雲上限をめぐる攻防にまずは注目

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結果「行って来い」。一時ドル安に振れ147円台前半、3ヵ月ぶり安値を示現するも続かなかった。

前週末に閉幕したAPEC首脳会議は、首脳宣言でウクライナと中東に触れることなく無難な内容に。逆に言えば、機能不全が改めて示された格好になった。一方、イスラエルとハマスがガザでの戦闘を5日間休止することで暫定合意したと報じられている。
そうした状況下、ドル/円は149.65円レベルで寄り付いたのち、週間高値の149.99円を示現。しかし150円にはとどかず反落に転じると、週間安値の147.15円まで一気に値を下げた。その後は上下に振れる荒っぽい変動をたどるも、基本はレンジ内。また、週末に掛けては日米市場の休場などもあり動意が細ったこともあり、値幅は149円台に収斂されると、週末NYはそのまま149円半ばで取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「北朝鮮情勢」と「中国情勢」について。
前者は、今月22日から12月1日のあいだに「人工衛星」を黄海と東シナ海の方向に打ち上げる−−などと事前に日本や韓国に通告していた北朝鮮だったが、期日前にあたる日本時間の21日午後10時40分ごろ「人工衛星」と称するミサイルを発射。また、翌22日の午後11時ごろ、再びミサイルを発射したようだ。そうした状況を受け、韓国は「南北軍事合意を一部停止する」ことを明らかにした反面、北朝鮮はさらに強力な、南北軍事合意によって停止していたすべての軍事的措置を再開するとともに、軍事境界線付近に「強力な武力と新型軍事装備を配置する」と宣言していた。朝鮮半島情勢が一気に緊迫したムードに包まれてきた模様だ。

対して後者は、相変わらず中国軍と西側諸国との小競り合いなどが観測され話題に。たとえば、豪国防相からは「中国が豪軍艦に音波探知を作動させるという危険を実施した」との懸念が表明され、それに対する中国サイドからの反論も観測されるなど泥沼の様相もうかがえた。その一方、習国家主席はAPEC首脳会議に参加し演説を実施したほか、22日にオンライン形式で開催されたG20首脳会議には李強首相が出席し、やはり発言機会を得るなど国際的な孤立回避に向けた積極的な外交も。なお、それとは別に先週の為替市場においては、ドル/人民元で大きくドル安・人民元高が進行。それが対円などでのドル安に一時寄与していたとの指摘も聞かれている。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は13日の151.92円で目先高値、先週21日の147.15円が目先安値になった感がある。つまり、短期的には147.15-151.92円というややワイドなレンジを形成したわけで、しばらくはレンジ内での往来相場か。ただ、リスクがあるとすれば、先週は週間を通して一度も150円台に乗せられないなど、上値が非常に重くなってきたことで、ドル安方向の動きにより注意が必要かもしれない。
引き続き日米欧の金融政策会合が注目されるなか、今週はなかなか重要な米経済指標の発表が予定されている。まずは、その内容に注目だ。ただ、仮に数値が改善されても強力なドル高の起爆剤にはなりにくい、といった声も少なくない。一方、それとは別に気になるのは世界的な地政学リスクの高まりで、ロシアのウクライナ侵攻が続く環境下、中東情勢不安が台頭。さらに、前述したように朝鮮半島においても地政学リスクが聞かれている。状況次第ではリスク回避志向から、ドル買いが強まるといった展開がないとも限らない。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円週足は陰線引けながら、下ヒゲを2円以上残す格好。逆にドルの底堅さを感じさせる足形と言えよう。確かに、一時割り込んだ一目均衡表の先行帯の雲の上限を、そののち回復するなどある種の底堅さはうかがえるものの、一目の雲の上限は今週半ば以降149円台まで切り上がってくると見られるだけに、果たして維持することが出来るのか注目だ。
対するドルの抵抗は、150円台前半に位置する移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目を要する。

そうしたなか今週は、10月のPCEデフレーターや11月のISM製造業景況指数などの米経済指標が発表されるほか、欧米要人の発言機会も少なくない。なかでも12月1日に予定されているパウエルFRB議長によるトークイベント参加が警戒されており、発言内容如何では相場の波乱要因に。

そんな今週のドル/円予想レンジは、147.80-151.30円。ドル高・円安については、先週一度も超えられなかった150円が最初の抵抗。超えれば21日線が位置する150.20-30円さらには151円台も。
対してドル安・円高方向は、前述した今週半ば以降149円台まで切り上がってくる一目の雲の上限をめぐる攻防にまずは注目だ。割り込むと147円半ばまでレベルを上げてきた移動平均の90日線が意識される可能性もある。

レンジ上下を達成、基本は往来相場か

ドル円日足



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