上値トライ仕切り直し、本日も米指標に注意
〇本日のドル円、買い戻しが優勢、日経平均株価の好調も安心感に
〇米CPI鈍化に米利上げ停止観測が再び強まるも、日米金利差から積極的なドル売りにはならず
〇米下院「つなぎ予算案」可決で政府機関閉鎖回避の動きも好材料、ドルは底堅い値動きになるか
〇150.30円台まで切り上がってきた21日MAが短期的にはサポートとして意識
〇本日、10月小売売上高や同生産者物価指数などの米経済指標発表予定
〇欧米時間ドル円予想レンジ150.10-151.40。ドル高円安方向は151円レベルが最初の抵抗
〇ドル安円高方向、21日MAが位置する150.30台、昨日安値150.16などの攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
15日の東京市場でドルが小高い。前日NY時間に150円台前半まで下押しが入ったものの、本日は買い戻しが先行していた。
ドル/円は150.35-40円で寄り付いたのち、日中安値である150.25-30円へと小緩むも、その後は緩やかな買い戻しが優勢に。日経平均株価が終値ベースで800円を超える上昇をたどったことなども、ドルの買い安心感を醸していたという。しかし高値の150.80円レベルを示現したのちは、やや上げ渋り。レンジ取引の様相を強めるなか、16時現在150.60-65円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策など」と「中国情勢」について。
前者は、昨日東京時間にブルームバーグが「10月から医療保険料の算出方法が変更され、短期的には総合CPIに上昇圧力をかけると広く予想されている」−−などと報じ、一部では上方修正期待も取り沙汰された注目の米消費者物価指数が発表されたが、結果はまさかの悪化。事前にジェファーソンFRB副議長から「強力な金融政策が必要になる可能性がある」といったコメントも聞かれ、優勢となりつつあった強気ムードを一気に吹き飛ばす格好となった。ドル/円は段階を経てだが、結局1.5円強も下落している。
対して後者は、15日に予定されている米中首脳会談をめぐり市場では様々な思惑が飛び交う。なかでも、両国間の緊張緩和を期待する声が多いなか、バイデン米大統領からは「会談の目標は、両国の軍のコンタクトを含む通常の意思疎通を再開すること」との発言が聞かれていた。それに対し、日中首脳会談開催については、岸田首相が15日からの米国訪問に合わせ「対話の機会をつくっていきたい」とのべ、秋波を送っていたものの決定事項には至っていないもようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は13日に昨年高値151.94円に面合わせする151.92円を示現したが、そののち失速。昨日は逆に下値を探る展開となり、一時150円前半も。高値更新はお預けとなった。しかし、昨日示現した安値150.16円で、目先のドル安値を記録したなどという強気派の声も聞かれるなど、さらなるドル安進行には否定的な声も少なくないようだ。しばらくは150-151円台で揉み合いながら、次の方向性を探る展開も。
市場は引き続き日米欧の金融政策会合に注目。昨日発表された米消費者物価指数の内容を受け米利上げ停止観測が再び強まったことは間違いないが、現実的に日米金利差が縮小したわけではなく、積極的にドルを売っていく環境にないなどとした声も。また米連邦議会下院が、いわゆる「つなぎ予算案」を可決し、政府機関閉鎖の回避に向けた展望が広がっていることもドルにとっては好材料か。ドルは底堅い値動きをたどる可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場の基本的なリスクは引き続きドル高方向にバイアスが掛かるものの、152円突破が再び失敗に終わり、上値トライはまたぞろ仕切り直しか。
それに対し、ドルの下値は昨日も150.30円台まで切り上がってきた移動平均の21日線が結果としてサポートになった感があり、短期的にはこのあともサポートとして意識されそうだ。とは言え、21日線をしっかりと下回るようだとドル高という大きな流れに変化が生じる可能性もある。しっかりと注意しておきたい。
本日は米経済指標として、10月の小売売上高や同生産者物価指数などが発表される予定となっている。前述したように、昨日は消費者物価指数が市場のかく乱要因となっただけに、本日も同様の値動きには要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは150.10-151.40円。ドル高・円安方向は昨日割り込んできた151円レベルが最初の抵抗。超えれば151円半ばを再び目指す。
対するドル安・円高方向は、移動平均の21日線が位置する150.30円台、そして昨日安値150.16円などの攻防に注目。ただし、仮に下回っても基本的には底堅そう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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