ドル円見通し 6連騰、151.90円付け年初来高値更新、一時急落も買い戻される(23/11/14)

ドル円はNY市場の序盤に151.90円を付けて10月31日高値151.71円を超えて年初来高値を更新した。

ドル円見通し 6連騰、151.90円付け年初来高値更新、一時急落も買い戻される(23/11/14)

ドル円見通し 6連騰、151.90円付け年初来高値更新、一時急落も買い戻される

〇ドル円、NY市場序盤に151.90を付け、10/31高値151.71を超えて年初来高値を更新
〇直後には一時的な急落で151.20まで下げるも早々に買い戻され、11/14早朝には151.70台へ戻す
〇政府が昨年10/21高値151.94ないし152円を超える場合に円買い介入を実施するのか、試される状況
〇今夜米10月CPI発表、結果次第では米長期債利回りと為替に影響も
〇昨日の米長期債利回りは総じて低下、NYダウは連騰、ナスダックは小幅下落
〇151.40以上で推移中は一段高余地ありとし、151.90超えからは152円台前半への上昇を想定する
〇151.40割れからは下向きとし、151.20割れからは150.70、150.50を順次試す下落を想定する

【概況】

ドル円はNY市場の序盤に151.90円を付けて10月31日高値151.71円を超えて年初来高値を更新した。直後には売り注文の連鎖とみられる一時的な急落で151.20円まで下げたものの早々に買い戻されて14日早朝には151.70円台へ戻した。
10月31日の日銀金融政策決定会合と11月2日未明のFOMCおよび11月3日夜の米10月雇用統計等を通過してドル円は10月30日深夜安値148.80円から11月1日未明高値151.71円へ急伸し、11月3日夜安値149.20円まで反落する乱高下となったが、重要イベント通過による買い戻し優勢感と円安継続感により11月6日から10日まで5連騰で上昇してきたが、週明けの13日も連騰を伸ばした。
今夜は米10月CPI( 消費者物価指数 )の発表があり、医療費等計算変更による上ぶれの可能性も指摘されているが、ドル円としては152円突破への口実となるか、いったん仕切り直しの下落期に入るのか試されるところだ。

【市場介入への警戒感と円安加速の可能性が交錯】

11月13日午後、ドル円は10月31日高値151.71円を超えたが、鈴木財務相は記者団の取材に対して「為替はファンダメンタルズに基づいて決まるものであり、急激な変動は好ましくない」、「よく市場を注視し、緊張感を持って見ながら、しっかりした万全の対応をしていきたい」と述べるに留まった。市場介入への警戒心を煽るようなけん制のエスカレートは見られなかった印象だ。
ドル円が151.71円を付けてその時点の年初来高値を更新した際は、財務省の神田財務官が11月1日朝に「過度な変動に対しては、あらゆる手段を排除せず、適切な行動を取る」、市場介入については「スタンバイだ」と述べてそれまでの円安けん制発言と比較してより厳しい姿勢を示したために発言後は10月30日深夜安値148.80円から3円近い急伸に対する修正安入りのきっかけとなった。

政府が昨年10月21日高値151.94円ないし152円を超える場合に円買い介入を実施するのかどうか試される状況にあるが、仮に実弾介入がみられない場合には政府の防衛ラインを試すように円安が加速する可能性がある。実弾介入がある場合でも、昨年9月や10月と同規模程度の介入なら一度の介入では円安は止まらないとして急落したところはバーゲンハント買いされる可能性がある。
円安の背景は日本の低成長と主要国が金融引き締めに走ったのに反して金融緩和政策を継続してきたことによるものであり、ファンダメンタルズに即した円安といえる。昨年の市場介入では米国も理解を示しており、現状においても市場介入姿勢を抑制しようという動きはないと思われるが、政府の円安阻止へ向けた姿勢の強さが市場をねじ伏せる程の決意を背景としていないなら、152円到達では収まりのつかない円安継続となりかねないのではないかと予想される。

【今夜、米10月CPI(消費者物価指数 )発表】

11月14日夜に米10月CPI(消費者物価指数 )の発表がある。市場の事前予想では全体の前月比が9月の0.4%から0.1%へ鈍化し、前年比も9月の3.7%から3.3%へ鈍化するとみられ、コアCPIは前月比が9月と変わらずの0.3%、前年比も9月と変わらずの4.1%と見込まれている。医療保険料の算出方法変更により若干押し上げられる可能性も指摘されており、結果が予想を上回る場合には米長期債利回り上昇とドル高を招き、予想を下回る場合は米長期債利回り低下とドル安を招くと思われる。ドル高反応の場合にはドル円が152円突破へのきっかけとなるか試される。

ニューヨーク連銀が11月13日に発表した10月消費者調査における1年先期待インフレ率は3.57%となり、9月の3.7%から低下して今年7月以来の低下となった。3年先は前月と変わらずに3.00%だった。
11月10日のミシガン大による消費者調査における期待インフレ率は1年先で4.4%、10月の4.2%から上昇して2022年11月以来の高水準となり、5年先は3.2%で10月の3.0%から上昇して2011年以来の高水準となっている。NY連銀とミシガン大の調査結果にはズレもあり、インフレが再加速しかねない状況なのか落ち着いて低下傾向へ進むのか、まだ判断が定まらない状況ともいえる。

【米長期債利回りは概ね低下】

11月13日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.01%低下の4.64%、30年債利回りは先週末比0.01%低下の4.76%、2年債利回りは先週末比0.02%低下の5.04%となった。
米国債に対しては11月10日に大手格付け会社ムーディーズが米財政赤字拡大を根拠に見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ引き下げたこと、11月17日に期限となる暫定予算後を巡り米議会で新たな暫定予算成立へ目途がまだ立たないために政府機関閉鎖の可能性が取り沙汰されていることが債券売り要因となっているが、債券安・利回り上昇はドル高円安反応につながっている。
11月13日の米長期債利回りは総じて小幅低下だったが、10年債利回りは一時4.70%まで上昇するなど11月9日に4.47%まで低下してから反騰した状況を維持している。今夜の米CPI内容次第では再上昇の可能性もあるところだ。

一方、NYダウは先週末の391.16ドル高からの連騰で前日比54.77ドル高と上昇した。8月1日の年初来高値35679.13ドルから10月27日安値32327.20ドルまで下落基調が続いたが、その後の反騰で戻り高値切り下がり基調から抜け出しており、13日もこの間の高値を伸ばして上昇再開感を強めている。ナスダック総合指数は前日比30.37ポイント安と小幅下落したが、先週末に276.66ポイント高の直後で上げ渋ったものの高止まりしてしっかりしている印象だ。
今夜の米CPIが予想よりも鈍化するようなら来年の利下げ再開期待で上昇が勢い付く可能性があるが、米国株高が日経平均やアジア株高へ波及すれば円安を加速しやすくなると思われる。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月3日安値149.20円を起点とした上昇基調を維持している。11月13日に151.90円を付けて年初来高値を更新してから151.20円へ急落したものの切り返しているところだが、11月13日深夜安値を割り込まないうちは上昇基調継続とし、11月13日夜高値を超える場合は20日夜にかけての上昇を想定する。ただし、11月13日深夜安値を割り込む場合はいったん仕切り直しの下落期に入るとみて20日深夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月13日深夜の反落が一時的だったために遅行スパンは好転を維持している。先行スパンに対しては急落時安値で上限を割り込んだもののその後の反騰で上抜き返している。波乱含みで推移しやすいところとみて、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは下落継続警戒として安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込んでもその後に上抜き返すところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はさらに下げ足が速まることもあると注意したい。

60分足の相対力指数は11月13日夜に70ポイント到達から50ポイント割れへ失速したが、その後は50ポイント割れを買われつつ60ポイントに届かない範囲での推移にとどまっている。60ポイント超えからは上昇再開感を優先して70ポイント超えを目指すとみるが、45ポイント割れからは仕切り直しの下落期に入りやすいとみて30ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月13日深夜安値151.20円を下値支持線、11月13日夜高値151.90円を上値抵抗線とする。
(2)151.40円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、151.90円超えからは152円台前半への上昇を想定する。市場介入発生の場合は直前高値から3円ないし5円規模の急落反応も考えられるが、急落が落ち着いたところでは買い拾われやすいとみる。市場介入が無ければ152.50円、153.00円と順次上値目途を引き上げてゆく上昇期に入るとみる。
(3)151.40円割れからは下向きとし、151.20円割れからはいったん仕切り直しの下落とみて150.70円、150.50円を順次試す下落を想定する。150.50円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、151.20円以下での推移が続くなら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

11/14(火)
スイス国立銀行・FRB・国際決済銀行会合(11/15まで)
16:00 (英) 9月 失業率・ILO方式 (8月 4.2%、予想 4.3%)
17:00 (欧) レーンECB理事、講演
19:00 (独) 11月 ZEW景況感 (10月 -1.1、予想 5.0)
19:00 (欧) 11月 ZEW景況感 (10月 2.3)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・改定値 前期比 (速報 -0.1%、予想 -0.1%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 0.4%、予想 0.1%)
22:30 (米) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 3.7%、予想 3.3%)
22:30 (米) 10月 コアCPI 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
22:30 (米) 10月 コアCPI 前年同月比 (9月 4.1%、予想 4.1%)

22:45 (英) ピル英中銀理事、講演
25:00 (米) メスター米クリーブランド連銀総裁、イベント挨拶
26:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、討論会参加

11/15(水)
休場 ブラジル
08:50 (日) 7-9月期 GDP・速報値 前期比 (4-6月  1.2%、予想 -0.1%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP・速報値 年率換算 (4-6月 4.8%、予想 -0.6%)
09:30 (豪) 7-9月期 賃金指数 前期比 (4-6月 0.8%、予想 1.3%)
11:00 (中) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 5.5%、予想 7.0%)
11:00 (中) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 4.5%、予想 4.3%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 0.2%)
13:30 (日) 9月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -4.6%)
13:30 (日) 9月 設備稼働率 前月比 (8月 0.5%)

16:00 (英) 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 0.5%、予想 0.2%)
16:00 (英) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 6.7%、予想 4.8%)
16:00 (英) 10月 コアCPI 前年同月比 (9月 6.1%、予想 5.8%)
16:00 (英) 10月 RPI(小売物価指数) 前月比 (9月 0.5%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (9月 8.9%、予想 6.7%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 0.6%、予想 -0.7%)
19:00 (欧) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.1%、予想 -6.3%)
19:00 (欧) 9月 貿易収支・季調済 (8月 119億ユーロ)
19:00 (欧) 9月 貿易収支・季調前 (8月 67億ユーロ)

22:30 (米) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.7%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 10月 小売売上高・除自動車 前月比 (9月 0.6%、予想 0.1%)
22:30 (米) 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 0.5%、予想 0.1%)
22:30 (米) 10月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (9月 2.2%)
22:30 (米) 10月 コアPPI 前月比 (9月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 10月 コアPPI 前年同月比 (9月 2.7%)
22:30 (米) 11月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (10月 -4.6、予想 -2.6)
24:00 (米) 9月 企業在庫 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計



注:ポイント要約は編集部

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