年初来高値151.72円が視界内に、攻防注目
〇本日ドル円、151.35で寄り付き151.20-40といったレンジ取引、上値が重く下値も堅い
〇ドル円は151円台が定着し、年初来高値の151.72が視界内に捉えられた様子
〇FRB議長は強気スタンス維持を示す、米経済指標次第では追加利上げの可能性が再び強まる可能性も
〇欧米時間のドル円予想レンジは150.80-151.80
〇ドル高・円安方向は、年初来高値の151.72が現実的なターゲットとして意識される
〇ドル安・円高方向は、東京安値である151.20レベルの攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場はドルが強保ち合い。上値も重く上げ渋ったが、下値も堅く一度も151円を割り込まなかった。
ドル/円は151.35円で寄り付いたものの、基本的にはレンジ取引。週末のゴトー日ということで、需給要因なども一部で取り沙汰されていたものの、結局大きな値動きには結び付かなかった。151.20-40円といった膠着相場の様相をたどるなか、16時現在では151.35-40円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、昨日発表された米雇用指標である失業保険申請件数の継続受給者数が7週連続で増加。労働市場の環境悪化が懸念されるなか、パウエルFRB議長は参加した討論会で「インフレ率は低下したが、依然として目標の2%を大きく上回っている」、「さらなる政策引き締めが適切となった場合は躊躇しない」−−などと述べ、強気スタンス維持を示していた。為替市場におけるドルの支援要因に。また、リッチモンド連銀総裁からも「FRBの仕事は終わっていない」との発言、ボウマンFRB理事は「インフレを抑制するにはさらなる利上げが必要になるだろう」と述べていたようだ。
対して後者は、16日を軸に米国での開催が検討されている岸田首相と習国家主席の会談に向け、秋葉国家安全保障局長が北京入りし、王外相と詰めの協議を行ったと伝えられている。ただ、そうしたなか中国外務省は、会談のなかで「東京電力福島第1原発処理水の海洋放出や台湾、歴史といった問題で中国の立場と懸念を表明した」と発表しており、仮に日中首脳が会談を行っても劇的な関係改善は難しそうだ。一方、それとは別にイエレン米財務長官は2日間の日程で、中国の何副首相と会談を開始。国家安全保障から気候変動まで幅広い議題で対話の継続を目指す予定となっている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、一時149.18円まで下押しが入ったのち、ついに151円台まで反発し、そして定着してきたようだ。これを受け、ドル/円は名実とも年初来高値の151.72円が視界内に捉えられたようだ。なお、本日東京でドル/円相場は終日151円台というドル高値圏で推移したにもかかわらず、これといった円安けん制発言は聞かれなかった。投機筋などが怖いもの見たさ、当局の介入スタンスを試すような動きに出る可能性もあるか。
12月の日米欧の金融政策会合をにらみつつ、市場ではすでに様々な思惑が交錯している。米国については利上げ打ち止め見通しも取り沙汰されるが、先でも取り上げたように逆にパウエルFRB議長は非常に強気だ。このあと発表される米経済指標などによっては、追加利上げの可能性が再び強まる可能性もあるだろう。一方、それに対し、対ドル以外でも円売り傾向は続きそう。ユーロ/円は連日の高値更新をたどっているが、本日も要注意だ。
テクニカルに見た場合、先月末からのドル/円推移はと言うと、151.72円→149.18円→151.40円で綺麗なVの字回復だ。ほぼ全戻しも視野に捉えられており、まずは151.72円の攻防が注視されている。
なお、ここ数日レポートしてきた「日足以下のチャート形状は、ヘッド&ショルダーを形成中のようにもみえる」状況は、昨日そして本日の動きを経て崩れたと考えられる。そうした意味では大きな目先のドル下押しも予想しにくくなった。
本日は米経済指標として、11月のミシガン大学消費者信頼感指数速報値が発表されるほか、ローガン・ダラス連銀総裁の講演なども実施される予定だ。また、この週末からはAPEC首脳会議などが実施される見込みで、来週に掛けての材料として注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは150.80-151.80円。ドル高・円安方向は年初来高値の151.72円が現実的なターゲットとして意識されている。超えれば152円台をうかがう。
対するドル安・円高方向は、東京安値である151.20円レベルの攻防にまずは注目。下回っても、基本的には150.70円レベルではかなり底堅そう。円買いの実弾介入出動などがなければ、大崩れは予想出来ない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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