ドル下値リスク軽減か、151円台乗せも
〇本日のドル円、レンジは狭いが底堅く推移し、夕方には150.70レベルと前日高値に面合わせ
〇目先高値151.72から安値149.18までの61.8%戻し(150.75)も間近
〇欧米時間で東京を超えれば151円台乗せ、全戻しの可能性も
〇植田日銀総裁「賃金上昇をともなう物価高はまだ弱い」と低金利政策の維持を改めて表明
〇本日、MBA住宅ローン申請指数や9月卸売売上高などの米経済指標が発表予定
〇欧米時間のドル円予想レンジは150.00-151.20。ドル安・円高方向は150.20-35の攻防にまずは注目
〇ドル高・円安方向は東京で抜けられなかった150.80から151円レベルが最初の抵抗
<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場はドルが小高い。夕方に掛けて昨日高値に面合わせするも、しっかりとは抜け切れなかった。
ドル/円は150.35-40円で寄り付いたのち、レンジは狭いがドルは底堅く推移。夕方に掛けては150.70円レベルと、前日高値に面合わせするも抜け切れず。なお、一連の過程のなかで、植田日銀総裁から「為替はファンダメンタルズに沿って安定的推移が望ましい」、「賃金上昇をともなう物価高はまだ弱く、育てていくために金融緩和を維持している」との発言が聞かれている。16時現在、ドル/円は150.65-70円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の政治情勢」と「中国情勢」について。
前者は、東京で7-8日にG7外相会議が開催されるが、昨7日にワーキングディナー方式で初日の討議が実施されている。ガザ情勢などについて議論され、議長を務める上川外相は「戦闘の人道的休止を訴えた」という。一方、そうしたなか来日中の欧米要人と日本の閣僚らの会談も相次いでおり、たとえば岸田首相はブリンケン米国務長官と会談し、日米連携を確認したもよう。また、日本と英国の外務・防衛閣僚協議、いわゆる「2プラス2」も行われたようだ。
対して後者は、ブルームバーグが、中国共産党の習指導部「何副首相が経済・金融政策および欧米との通商協議を統括するトップに就いた」とのテコ入れを伝えるなか、中国人民銀行の張副総裁は参加した講演で、中国経済について「あまり懸念していない」と述べたと伝えられている。不動産リスクなどが引き続き取り沙汰されるなか、楽観論を演出した感があるものの、実際のところは如何なるものか。なお、中国商務省は、重要鉱物であるレアアースの輸出管理を強化したと発表しており、いわゆる西側諸国の対応などが気に掛かる。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は目先高値151.72円から149.18円まで下押しが入るも、前述したように昨日そして本日と連日150.70円レベルまで戻している。フィボナッチでいうのなら、すでに半値(150.45円)以上戻している計算で、61.8%戻し(150.75円)も程近い。先週の米雇用統計発表後のドル下押しがすっかりなかったことにされており、先のフィボナッチからすると本日東京を超えれば151円台乗せ、そして全戻しの可能性も否定できなくなりそうだ。
市場は早くも12月に実施される日米欧の金融政策会合に関心を移すなか、日本については先でも取り上げたように植田日銀総裁が「賃金上昇をともなう物価高はまだ弱い」などとしたうえで、低金利政策の維持を改めて表明している。そのため、金利差に着目した円売りはまだ当面続く見通しだが、新たに思惑を呼んでいるのはユーロ/円などクロス主導の円安進行。本日付け日経新聞でも「対ドル以外、円安止まらず」と報じていたが、円買い介入警戒感の弱さなどもあり、確かに要注意かもしれない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は3日の149.18円を目先ボトムにドルの戻り歩調。150円後半まで値を戻してきた。基本的なドル高基調に戻ってきたと考えられるが、唯一気になるのは昨日もレポートした「日足以下のチャート形状がヘッド&ショルダーを形成中のようにもみえる」こと。「右肩」にあたる151円程度で頭を打ち、ドルが再び軟化するようだと再び下値リスクが顕在化する可能性もある。
本日は米経済指標として、MBA住宅ローン申請指数や9月の卸売売上高などが発表されるものの関心はさほど高くない。影響は基本的に限られそうだ。ただ、NY連銀総裁の講演や、前述したG7外相の2日目討議が実施され、声明発表なども予定されている。そちらは一応要注意か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは150.00-151.20円。ドル高・円安方向は東京で抜けられなかった150.80円から151円レベルが最初の抵抗。超えれば151.72円が再び視界内に入ってくる。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値を含めた150.20-35円の攻防にまずは注目だ。下回ると、このあと150円台までレベルを切り上げてくる移動平均の21日線がターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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