ドル円 イベント前後で円高へ振れる可能性大(週報10月第5週)

今週前半はドル材料よりも円材料で振れる可能性が高いと言えます。

ドル円 イベント前後で円高へ振れる可能性大(週報10月第5週)

イベント前後で円高へ振れる可能性大

〇先週のドル円、木曜に150.78レベルの高値をつけるも依然として介入警戒感はかなり強い
〇今週は火曜が最大のヤマ場、日銀がYCC再修正に動くのかどうか
〇10/3の3円近い急落が介入だったのかどうかも財務省の介入実績発表で判明
〇FRBは現状維持の可能性が高く、日銀会合と財務省発表の内容次第でドル円の動きが決まる週に
〇テクニカルには上下ともに限界的な状況、円高方向への動きが鈍っておりそろそろ円高に動く可能性も
〇今週は148.30レベルをサポートに150.00レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週前半にはやや下押ししたもの既に149円台前半ではドル買いが出てくる状態で、その後は上昇、木曜には一時150.78レベルの高値をつけました。しかし、高値から急速に反落する動きを見ると、依然として介入警戒感はかなり強いことも確認できました。週末にかけてはポジション調整のドル売りに加え、株式市場が大幅安となる動きからリスクオフの円買いも入っていた様子でした。

ドル円は今週火曜が最大のヤマ場で日銀はイールドカーブコントロール(YCC)の再修正に動くのかどうか、また財務省が発表する10月の介入実績で3日の3円近い急落が介入だったのかどうか判明することとなります。水曜にはFOMCもありますが、FRBが現状維持となることはほぼ間違いないでしょうから、今週前半はドル材料よりも円材料で振れる可能性が高いと言えます。

週後半には米国求人件数、雇用統計など雇用関連の数字が連日出てきます。発表直後こそ上下の振れは見られるでしょうが、現在の米国の雇用状況はほぼ完全雇用状態であることを考えると大きな流れに変化を与えるということになるとも思えず、日銀会合と財務省発表の内容次第でドル円の動きが決まる週になると思われます。

日銀会合についてはコンセンサスは現状維持でしょうが、10年債利回りが0.88%まで上昇しドル円も150円台を見ていることを考えると、個人的にはYCCの再修正に動く可能性は高いと思います。小刻みに変化させて行くよりも、YCC自体を撤廃した方がその後の政策運営がやりやすくなりますし、円安圧力を抑える効果もあり、個人的シナリオとしてはYCC撤廃という見方でシナリオを立てています。

そうなると、円金利上昇と為替市場では円高の動きとなりますが、財務相による10月の介入実績発表前に、円高に動いたところで追撃の介入をするとより効果が高いですから、こちらは半分期待込みで追っかけ介入の可能性も5割くらいありうる、という見方をしておこうと思います。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

150円台半ばでの上値の重さから現在は149円台半ばへと下げて来ていますが、最近は上下ともに限界的な状況、かつ円高方向への動きが鈍ってきていることを考えると、そろそろ円高に動く可能性も出て来ているように思います。

テクニカルにもこれまでの平行上昇チャンネルを下抜けし始めてきました。10月3日の下ヒゲを除くと148円台前半がサポート水準となっていますので、同水準まで下げる可能性は高いように思います。上値は150円の大台が警戒感もありレジスタンスとなるでしょう。今週は148.30レベルをサポートに150.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

イベント前後で円高へ振れる可能性大

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月30日(月)
**:**  欧州冬時間開始 ☆
09:30 豪州9月小売売上高
17:00 リトアニア中銀総裁講演
18:00 ドイツ7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月消費者信頼感
22:00 ドイツ10月CPI速報値 ☆

10月31日(火)
06:45 NZ9月建設許可件数
08:30 本邦9月失業率・有効求人倍率
09:00 豪州10月企業信頼感
10:30 中国10月製造業PMI
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆

15:30 フランス7〜9月期GDP速報値 ☆
15:30 フランス9月消費支出
16:00 ドイツ9月小売売上高、輸入物価
16:00 トルコ8月貿易収支
16:45 フランス10月CPI速報値 ☆
16:45 フランス9月PPI
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏10月CPI速報値 ☆
19:00 本邦10月介入金額公表 ☆
21:00 南ア9月貿易収支
21:30 米国7〜9月期雇用コスト ☆
22:00 米国8月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
22:45 米国10月シカゴ購買部協会景況指数 ☆
23:00 米国10月消費者信頼感 ☆

11月1日(水)
06:45 NZ7〜9月期失業率
09:30 豪州9月建設許可件数
10:45 中国10月MarkIt製造業PMI
16:00 英国10月住宅価格
16:00 トルコ10月製造業PMI
18:30 英国10月製造業PMI

21:15 米国10月ADP全国雇用者数 ☆
22:45 米国10月製造業PMI
23:00 米国9月求人件数 ☆
23:00 米国10月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国9月建設支出
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果発表 ☆
27:30 パウエルFRB議長会見 ☆

11月2日(木)
09:30 豪州9月貿易収支
17:50 フランス10月製造業PMI
17:55 ドイツ10月製造業PMI
18:00 ユーロ圏10月製造業PMI
20:30 米国10月チャレンジャー人員削減数
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
21:30 英中銀総裁会見 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国7〜9月期単位労働コスト速報値
23:00 米国9月製造業新規受注

11月3日(金)
**:** 東京市場休場
10:45 中国10月MarkItサービス業PMI
16:00 ドイツ9月貿易収支
16:00 トルコ10月CPI
16:45 フランス9月鉱工業生産
18:30 英国10月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏9月失業率
21:30 米国10月雇用統計 ☆
22:45 米国10月サービス業PMI
23:00 米国10月ISM非製造業景況指数 ☆

11月5日(日)
**:** 米国冬時間に移行 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月23日(月)
週明けのドル円はNY市場までは高値もみあいを続けましたが、米国10年債利回りが一時5.021%まで上昇した際も149.99レベルが高値と、150円の大台に対して異常なまでの警戒感が見られました。その後米金利が急反落しユーロドル上昇に引っ張られてドル円も149.56レベルまで下押ししましたが、引けにかけてはやや戻しました。

10月24日(火)
ドル円は前日海外市場で下げた動きを継続、後場には米金利が前日水準を下回った動きも手伝ってストップも巻き込み一時149.32レベルの安値をつけました。しかし海外市場に移ってからユーロドルが大幅安となったことからドル円でもドル買い戻しが入り、NY市場で149.93レベルまで上昇後、そのまま高値圏での引けとなりました。

10月25日(水)
ドル円は金融政策ウィークを控え、日銀の動向に対して見方が分かれてきたこともあって東京市場では動きが鈍くなっていました。海外市場に移り底堅くなってきたところに、強めの米国経済指標をきっかけにドル買いが強まり、3日高値を上抜けると150.32レベルまで上昇し、高値圏での引けとなりました。

10月26日(木)
ドル円はNY市場での円売りの動きを続け、東京後場には一時150.78レベルの高値をつけました。しかし、介入警戒感もある中で仕掛けのドル売りに反応し、149.82レベルと1円ほどの急落を見ることとなりました。介入かと疑心暗鬼になる水準だったものの介入ではないとわかるとすぐさま買い戻しが入り150円台半ばへと戻しましたが、150円台半ばでの上値が重くなり、上下しながらも150円台前半での引けとなりました。

10月27日(金)
ドル円は週末を前にしたポジション調整を中心に東京寄り付き水準を高値にじり安の展開をたどっていました。NY市場に入り経済指標は予想通りだったものの、逆に買い材料とはならなかったことや、イスラエル情勢が緊迫化し株式市場が大幅安となる動きを見ながら円買いの動きが強まり、149.46レベルまで水準を下げ若干戻して引けました。

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