米長期債利回りの乱調さを見て149.30円へ下落後に149.92円まで反騰
〇10/24午後にかけ米長期債利回り低下でユーロやポンド反騰しドル安優勢、ドル円は149.30へ下落
〇米長期債利回りが反騰に転じ、米PMIも好調で10/24深夜には149.92まで切り返す
〇PMIは欧州の低調さと米国の堅調さの対比が鮮明に
〇強い米経済指標はFRB利上げ状態の長期化感を再認識、ドル円150円突破から円安加速の可能性も
〇10/24の米長期債利回りはまちまちの動き、NYダウは10年債利回り低下を好感し5日ぶりに反発
〇150円に対する抵抗感は続いているが、149.60を上回るうちは一段高余地ありとみる
〇149.60割れからは10/24夕安値149.30試しとし、149.30割れからは149円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は10月24日午後にかけて米長期債利回りが低下したのを見てユーロやポンドが反騰してドル安優勢となる中で149.30円へ下落したが、米長期債利回りが反騰に転じたことと欧州のPMIが揃って低調だったことでユーロやポンドが反落してドル高がぶり返し、米PMIが好調だったために24日深夜には149.92円まで切り返した。
10月3日夜に150.15円を付けた直後に147.41円へ急落した波乱が落ち着いてからは徐々に底上げをして150円に迫ってきたが、10月20日に144.99円まで高値を伸ばしたものの150円には届かず、23日深夜からは米長期債利回りの反落を見ていったん仕切り直しの下落に入っていた。
10月24日夕刻安値から戻したものの依然として150円に対する上値抵抗感が残っており、一挙に150円台へ乗せる勢いに欠けた。来週は日銀金融政策決定会合、米FOMCと重要イベントがありその前では動きも慎重となりやすいが、今夜はパウエルFRB議長発言、26日夜は7−9月期の米GDP速報値や新規失業保険申請件数等の米経済指標、ECB(欧州中銀)理事会、27日夜には9月米PCE(個人消費支出)デフレーターの発表があり、内容次第では大きく動く可能性もあるところと注目してゆきたい。
【PMIによる欧米景気の温度差】
10月24日は午後から夜にかけてS&Pグローバル等によるPMI(購買担当者景況指数)の発表が相次いだが、欧州の低調さと米国の堅調さの対比が鮮明となった。
米10月PMI速報値は総合で51.0となり9月の50.2から改善して市場予想の50.0上回り3か月振りの高水準となった。製造業PMIは50.0で9月の49.8から上昇して6か月振り高水準となり市場予想の49.5を上回り、サービス業PMIは50.9で9月の50.1から上昇して市場予想の49.8を上回り3か月振り高水準となった。
一方で10月のユーロ圏PMIは総合で46.5となり9月の47.2から悪化して2020年11月以来3年振りの低水準まで落ち込み市場予想の47.4も下回った。サービス業PMIは47.8で9月及び市場予想の48.7を下回り32か月振り低水準となった。製造業PMIは43.0で9月の43.4から低下して市場予想の43.7も下回り2020年5月以来の低水準だった。
ドイツの10月PMIは製造業が40.7(9月39.6、予想40.0)、サービス業が48.0(9月50.3、予想50.0)と低調で不況感も漂う。
欧州の低調さと比較すれば米国経済は堅調であり、今後の経済指標が強めに推移すれば米FRBの利上げ状態長期化感が再認識され、米長期債利回りの上昇継続を助長する可能性があり、日銀が金融緩和の現状維持に留まるならドル円が150円突破から円安を加速させてゆく可能性もあると思われる。
【米10年債利回りは3日続落、ダウは5日ぶり反発】
10月24日の米長期債利回りはまちまちの動きだった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の4.83%で終了した。10月23日に5.02%まで上昇してから急低下したために23日は前日比0.07%低下だったが、10月22日からは3営業日続落となった。5%到達による債券買いが利回り低下を招いているようで、米著名投資家が米国債の売りポジションを解消したとの報道や、年金の債券買いがきっかけとなったようだ。中東情勢不安による安全資産買いも入っているとの声も聞かれる。
30年債利回りは前日比0.06%低下の4.92%で終了、23日に一時5.18%まで上昇してから低下に転じている。
利上げに敏感な2年債利回りは0.06%上昇の5.11%で終了、10月19日に5.26%まで上昇してから低下してきたが、23日に5.04%をつけてから戻している。
一方でNYダウは米10年債利回り低下を好感して5日ぶりに反発、前日比204.97ドル高と上昇し、ナスダック総合指数も121.54ポイント高と上昇した。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月17日夜の一時的な急落で148.81円を付けてから戻していたが、150円に届かずいったん仕切り直しに入って24日夕刻に149.30円まで下げ、その後の反騰で再び150円に迫っている。10月17日夜安値から5日目となる24日夕安値で目先の底を付けて戻しに入っているところとし、10月20日夕高値を基準として目先の高値形成期を25日午後から27日夕にかけての間と想定する。ただし、150円に対する抵抗感は継続しているので、149.60円割れからは弱気転換注意とし、24日夕安値149.30円割れからは一段安入りにより10月27日午後から31日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月24日夕刻からの反騰により遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月24日未明から夕刻への下落に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられてから反騰している。60ポイント近辺に抵抗感があるが、50ポイント以上を維持するうちは上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台への上昇を想定する。ただし45ポイント割れからは下落再開を疑い30ポイント前後への下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.60円を下値支持線、150.00円を上値抵抗線とする。
(2)149.60円を上回るうちは一段高余地ありとみる。150円に対する抵抗感は続いているが、150円超えから上昇が勢い付く場合は150.0円台中盤(150.35円から150.65円)への上昇を想定し、149.60円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.60円割れからは10月24日夕安値149.30円試しとし、149.30円割れからは149円前後への下落を想定する。149円以下は反騰注意とするが、149.30円を割り込んだ後も149.50円以下での推移なら26日も安値試しを続けやすいとみる。
【当面の予定】
10/25(水)
17:00 (独) 10月 IFO企業景況感指数 (9月 85.7、予想 85.9)
23:00 (加) カナダ中銀 政策金利 (現行 5.00%、予想 5.00%)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算 (8月 67.5万件、予想 68.0万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 -8.7%、予想 0.7%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
26:00 (米) 財務省5年債入札
10/26(木)
05:35 (米) パウエルFRB議長、挨拶
07:00 (豪) ブロック豪中銀総裁、ケント豪中銀総裁補、豪上院議会証言
08:50 (日) 9月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (8月 2.1%、予想 2.0%)
09:30 (豪) 7-9月期 輸入物価指数 前期比 (4-6月 -0.8%、予想 0.2%)
21:15 (欧) ECB(欧州中銀) 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.50%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP・速報値 前期比年率 (4-6月 2.1%、予想 4.5%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費・速報値 前期比年率 (4-6月 0.8%、予想 3.9%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCE・速報値 前期比年率 (4-6月 3.7%、予想 2.5%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.2%、予想 1.5%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 19.8万件、予想 21.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 173.4万人、予想 173.1万人)
21:30 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.1%)
21:45 (欧) ラガルドECB総裁、記者会見
22:00 (米) ウォラーFRB理事、挨拶
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前月比 (8月 -7.1%、予想 1.0%)
23:00 (米) 9月 住宅販売保留指数 前年同月比 (8月 -18.8%)
26:00 (米) 財務省7年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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