一時149円割れへ急落するも再び150円に迫る
〇ドル円、10/17のNY時間に149.85をつけ10/13の149.82を超える
〇米小売売上高、鉱工業生産がいずれも予想上回り、米長期債利回り上昇とドル円上昇に寄与
〇米10年債利回りは前日比0.13%上昇の4.84%
〇12月FOMC利上げ確率の市場予想4割超え、1月は6割、11月据え置きでも追加利上げの可能性高まる
〇日銀、次回会合で消費者物価見通しを上方修正する公算大と一部メディア報じる
〇149.50以上での推移中は一段高余地ありとし、149.85超えからは150円台序盤への上昇を想定する
〇149.30割れからは149.00前後への下落を想定し、149円以下は反騰注意とする
【概況】
ドル円は10月17日の日中を149.50円を挟んだ揉み合いで小動きとなり夕刻にかけてややジリ高の推移だったが、19時過ぎに一部メディアが日銀の物価見通し上方修正の可能性を報じたことをきっかけに148.81円へ急落した。追認する報道がなく早々に149円台序盤へ戻し、21時半の米小売売上高やその後の米鉱工業生産が堅調だったことと米長期債利回りの上昇によりNY時間には149.85円を付けて13日の149.82円を超えた。
一部メディアは複数の関係者の話として日銀が10月30-31日の次回金融政策決定会合で展望リポートの2023年度と2024年度の消費者物価見通しを上方修正する公算が大きいと報じた。10月3日夜に150.15円を付けてから147.41円まで一時的に急落したこともあり、市場介入と売り注文の連鎖に対する警戒感も高いところでの報道だったために市場も過敏に反応したようだが、突っ込んだところは早々に買い拾われている。
【米小売、鉱工業生産は堅調】
10月17日に米商務省が発表した9月小売売上高は前月比0.7%増となり、8月の0.8%増(速報の0.6%増から上方修正)を下回ったものの市場予想の0.3%増を大幅に上回った。変動の激しい自動車・同部品を除くと0.6%増で市場予想の0.2%増を大幅に上回り、ガソリンを除いて0.7%増、自動車・同部品・ガソリンを除いて0.6%増と堅調さを示した。
米FRBによる9月の鉱工業生産指数は前月比0.3%上昇して8月の0.4%から低下したものの市場予想の0.0%を大幅に上回った。製造業は0.4%上昇で8月の0.1%低下から改善した。設備稼働率は79.7%で8月の79.5%を上回った。
小売売上高、鉱工業生産がいずれも予想を上回ったことは米長期債利回りの上昇とドル円の上昇に寄与した。
【米長期債利回りは連騰、ダウは小幅高】
10月17日の米長期債利回りは米経済指標が予想を上回り堅調さを示したことで総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.13%上昇の4.84%となった。10月12日に4.53%まで低下したところから上昇に転じており、16日の0.09%上昇からの連騰で一時は4.86%をつけて直近のピークである10月6日の4.89%に迫った。
30年債利回りは前日比0.08%上昇の4.93%となり16日の0.09%上昇から連騰し、2年債利回りは前日比0.11%上昇の5.21%となり16日の0.04%上昇から連騰して直近のピークである9月21日の5.20%を超えて一時は5.24%をつけた。
米金利先物市場におけるFOMCの利上げ確率は12月の利上げについて4割を超えるところまで上昇、来年1月の利上げについては6割に達しており、11月は据え置かれてもその後に追加利上げされる可能性が高まっている。
一方でNYダウは長期金利の上昇に圧迫されたものの終盤の買いで前日比13.11ドル高とプラス圏に戻して3営業日続伸したが、ナスダック総合指数は34.23ポイント安と下落した。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月13日未明高値で目先のピークを付けてややジリ安基調に入ったため、17日午前時点ではまだ下落余地ありとしたが、17日夜に148.81円へ急落してから18日未明に149.85円まで反騰したため、17日夜安値を目先の底とした上昇期に入ったとみる。高値形成期は18日未明から20日未明にかけての間と想定され、150円手前での反落警戒感もあるので、149.50円を上回るうちは上昇余地ありとするが、149.50円割れからは下向きとし、149.30円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて24日夜にかけての下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月17日夜の一時的急落から反騰したために遅行スパンが好転して先行スパンも上回っているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は40ポイント割れを回避して戻したものの60ポイント前後に抵抗感がみられる。65ポイント超えからは上昇が勢い付いて70ポイント台前半を試すとみるが、50ポイント割れからは下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント弱への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、149.30円を下値支持線、149.85円を上値抵抗線とする。
(2)149.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは一段高余地ありとし、149.85円超えからは150円台序盤への上昇を想定する。150円到達では10月3日夜のように売り注文の連鎖による急落も警戒されるが、反落がみられなければ上昇が勢い付いて150円台中盤へ向かう可能性もあるとみる。149.50円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)149.30円割れからは149.00円前後への下落を想定する。149円以下は反騰注意とするが、勢い付く場合には148円台後半(148.85円から148.50円)へ下値目途を引き下げる。149.30円以下での推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/18(水)
11:00 (中) 7-9月期 GDP 前期比 (4-6月 0.8%、予想 1.0%)
11:00 (中) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 6.3%、予想 4.4%)
11:00 (中) 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 4.6%、予想 4.9%)
11:00 (中) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 4.5%、予想 4.3%)
15:00 (英) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.3%、予想 0.5%)
15:00 (英) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 6.7%、予想 6.6%)
15:00 (英) 9月 コアCPI 前年同月比 (8月 6.2%、予想 6.0%)
15:00 (英) 9月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (8月 9.1%、予想 8.9%)
18:00 (欧) 9月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 4.3%、予想 4.3%)
18:00 (欧) 9月 コアHICP・改定値 前年同月比 (速報 4.5%、予想 4.5%)
21:30 (米) 9月 住宅着工件数・年率換算 (8月 128.3万件、予想 138.0万件)
21:30 (米) 9月 建設許可件数・年率換算 (8月 154.3万件、予想 145.0万件)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
25:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加
26:00 (米) ボウマンFRB理事、イベント挨拶
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
28:15 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
10/19(木)
日銀支店長会議、日銀地域経済報告「さくらリポート」
07:55 (米) クックFRB理事、講演
08:50 (日) 9月 通関貿易収支・季調前 (8月 -9305億円、予想 -4250億円)
08:50 (日) 9月 通関貿易収支・季調済 (8月 -5557億円、予想 -5004億円)
09:30 (豪) 9月 新規雇用者数 (8月 6.49万人、予想 2.00万人)
09:30 (豪) 9月 失業率 (8月 3.7%、予想 3.7%)
17:00 (欧) 8月 経常収支・季調済 (7月 209億ユーロ)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.9万件、予想 21.1万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 170.2万人、予想 170.5万人)
21:30 (米) 10月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (9月 -13.5、予想 -6.9)
22:00 (米) ジェファーソンFRB理事、会議挨拶
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算 (8月 404万件、予想 388万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -0.7%、予想 -4.0%)
23:00 (米) 9月 コンファレンス・ボード景気先行指数 前月比 (8月 -0.4%、予想 -0.4%)
25:00 (米) パウエルFRB議長、講演
26:20 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動5年債入札
26:30 (米) バーFRB副議長、講演
29:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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