ドル円、年初来高値更新後に急反落。政府・日銀による介入観測がドル円急落の背景(10/4朝)

3日(火)のドル円相場は年初来高値更新後に大幅下落。

ドル円、年初来高値更新後に急反落。政府・日銀による介入観測がドル円急落の背景(10/4朝)

ドル円、年初来高値更新後に急反落。政府・日銀による介入観測がドル円急落の背景

〇ドル円、米雇用動態調査の強い結果に米国時間に150.16まで急伸後、数分で147.33まで下落
〇政府・日銀による介入観測広まり戻りは149円前後まで
〇ユーロドル、米長期金利急上昇に上値重く一時1.0448まで急落、年初来安値を更新
〇財務省幹部は介入実施の有無はコメントせず、プライスアクション的には介入の可能性大
〇但し、介入による押し下げ効果は持続しづらく、一巡後に再び反発に転じるシナリオを想定
〇本日の予想レンジ:148.00ー150.00

海外時間のレビュー

3日(火)のドル円相場は年初来高値更新後に大幅下落。(1)鈴木財務相による「為替相場はファンダメンタルズ反映して安定推移が重要」「あくまで水準そのものは判断基準ではない、ボラティリティーが問題」「引き続き高い緊張感もって万全の対応をしてゆく」との円安牽制発言(政府・日銀による介入警戒感)や、(2)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(3)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りが重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時149.66まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米8月JOLTS雇用動態調査(結果961.0万件、予想880.0万件)の市場予想を上回る結果や、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(6)心理定期節目150.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、年初来高値150.16まで急伸しました。もっとも、その後は、(7)政府・日銀による市場介入観測(レートチェックや実弾介入が入ったとの観測)が重石となる中、僅か数分で147.33まで急落する荒々しい値動きとなりました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/4午前5時20分現在)では、148.80前後で推移しております。

3日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。欧州時間朝方にかけて、高値1.0494まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)欧米金融政策の方向性の違いに着目したユーロ売り・ドル買い圧力や、(2)リトアニア中銀シムカス総裁による「インフレは低下傾向にある」とのハト派的な発言、(3)米8月JOLTS雇用動態調査の市場予想を上回る結果、(4)上記3を背景とした米長期金利の急上昇、(5)欧州株の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、年初来安値1.0448(昨年12/7以来の安値圏)まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)対円での米ドル急落(日本政府・日銀によるレートチェックや実弾介入の噂→ドル円急落→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間10/4午前5時20分現在)では、1.0470前後まで持ち直す動きとなっております。尚、昨日はレーンECB専務理事より「賃金からくる物価上昇圧力は残っている」「インフレは依然目標に達していない、まだやることが残っている」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は年初来高値更新後に急落する動きとなりました。財務省幹部より「介入を実施したかどうかについてはコメントせず」との発言があったものの、プライスアクション的に実弾介入に踏み切った可能性は極めて高く、昨年高値151.95を抜けるまでは実弾介入に踏み切ることはないだろうといった市場の油断の隙をつかれた形となっております。但し、昨年の介入時と比較して、今回はドル円の押し下げ効果が著しく弱かった点に留意が必要でしょう。背景には、昨年のドル円上昇が「円独歩安」が起点だったことに対して、今年のドル円上昇は「ドル独歩高」を起点としている点などが挙げられます。つまり、日米金融政策格差といったファンダメンタルズにきちんと沿った形でのドル高・円安であるため(投機的なドル高・円安では無く、ポジティブキャリーを裏付けとしたドル高・円安であるため)、介入による押し下げ効果は持続しづらく、一巡後に再び反発に転じるシナリオが想定されます(ドル円ショートはネガティブキャリーとなるため、長期間保有しづらい)。

事実、通貨オプション市場では、昨日の介入観測を受けても尚、ドル円のダウンサイドリスクを織り込む動きは殆ど見られておりません。本日予定されている米9月ADP雇用統計や、米9月ISM非製造業総合指数が市場予想を上回る結果となれば、米FRBによる金融引き締め長期化観測→米長期金利上昇→米ドル買いの経路で、ドル円が再び150円に向けて値を戻すシナリオ(全値戻し)も想定されるため、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(介入による押し下げ効果が弱いと見なされた場合、失望感から今まで以上に円安が進んでしまうリスクあり)。

本日の予想レンジ:148.00ー150.00

ドル円、年初来高値更新後に急反落。政府・日銀による介入観測がドル円急落の背景

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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