日米金融政策の行方注視、再び高値更新も!?
〇先週のドル円、週初に145.91をつけてから緩やかな右肩上がり、週末には年初来高値147.95示現
〇ブルームバーグ「日銀認識ほぼ変わらず」と市場解釈とのギャップ報じ、緩和修正思惑が剥げ落ちる
〇米・金利据え置き見通し優勢でも、年内追加利上げの可能性残ればドルが大きく売られることはないか
〇日本は金融緩和政策の早期修正観測再浮上の場合は波乱含みだが可能性低い
〇9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や、同製造業PMI速報値等の米経済指標が今週発表予定
〇ドル高・円安については、先週高値147.95が最初のポイントで、超えると148.80レベルを目指す
〇ドル安・円高方向は、147円レベルが強いサポート、下回ってもかなり底堅いイメージ
〇今週のドル円予想レンジは、146.50-149.50
先週のドル/円相場は、最終的にドルが強含み。週末に年初来高値を再び更新し、そのままドルの高値圏で大引けている。
ドル/円は前週末のNYクローズから1円近いギャップを空けての安寄り。前週末の植田発言が材料視されていたようで、146.80円レベルでオープンしたのち、週間安値の145.91円までドルは続落となった。9月1日以来の146円割れ。しかし、目先底値を付けたのちは緩やかな右肩上がり。結果2円強の戻りを達成し、週末には年初来高値147.87円をわずかに上回る147.95円を示現。週末NYは147.85円レベルと、そのまま最高値圏で取引を終えている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の金融政策」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、9日付けの読売新聞で報じられた植田日銀総裁インタビューが「緩和修正思惑」を呼ぶと、先でも取り上げたように上値に大きくギャップを空けてスタートする原動力に。しかし内容をよく読むと、「2%の物価安定目標の実現にはまだ距離があり、粘り強い金融緩和を続ける」としたうえで、「賃金と物価の好循環を見極めるためのデータが年内にもそろう可能性もゼロではない」と述べており、決してタカ派に転じたわけでもなさそうだ。そのため、ドル/円相場も週明けに週間安値を付けたのちは、むしろドルの買い戻しが目に付く展開。さらに週末には、ブルームバーグが植田氏インタビューについて、「日銀認識はほぼ変わらず」と市場解釈とギャップがある旨を報じたことがダメ押しとなり、修正思惑は完全に剥げ落ちた。それもあり、ドル/円は再び反騰高をたどると年初来高値を更新した。
対して後者は、建国75周年となる9日、北朝鮮が平壌で記念の軍事パレードを行った。また、それと合わせ訪朝した中国やロシアの代表団と会談したことが明らかになるなか、余韻も冷めやらぬ12日に今度は金・北朝鮮総書記がロシアを訪問。プーチン大統領と首脳会談を行ったようだ。なお、首脳会談前には米NSC報道官から、北朝鮮に対しウクライナ戦争で使用する武器をロシアに売却しないよう求めるクギを刺す旨の発言が聞かれたが、一方でロシアのペスコフ報道官は「北朝鮮と関係を築くうえで両国の利益が重要で、米国からの警告は重要ではない」と述べ警告を一蹴。また会談でも実際に、そうした内容が話し合われた可能性が極めて大きいと見られている。警告を無視したツケ、今後の制裁などに注目だ。
<< 今週の見通し >>
ドル/円はザラ場ベースであったが、先週は週明けに146円割れ。テクニカルにも、146円台までレベルを切り上げていた移動平均の21日線を一時下回ったことで、上方向の展望は遠のいたと考えていたのだが思いのほか早く復活した。週末には148円に届かなかったものの、年初来高値を更新している。引き続きレベル的には円買い介入警戒が根強くくすぶるが、リスクは依然としてドル高・円安方向にバイアスがかかりそう。ただ、大きな節目にあたる150円はさすがに近くて遠いイメージだ。
市場の関心が高い日米欧の金融政策のうち、先週はECBが先陣を切り政策金利の発表を行った。主要政策金利が0.25%引き上げられたが、一方で利上げ打ち止めの可能性も示唆されるとユーロの弱材料に。そうしたなか今週は日米の金融政策決定会合が行われる。ちなみに、米国については「金利据え置き」見通しが優勢だが、それでも年内1回の追加利上げの可能性が残されば、ドルが大きく売られることはなさそう。対して日本は、金融緩和策の早期修正観測が再浮上した場合には波乱含みながら、その可能性はかなり低いと予想する。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は過去2週間ほど推移していた145.90-147.90円の2円レンジを一時上抜けた。リスクは当然上方向にバイアスが掛かるも、「しっかり」抜けたとは言えないところが気に掛かる。前述したように、今週は日米の金融政策発表など注目材料が多いなか、しっかりと上抜けするのか否かにまずは注目だ。ちなみに、先週高値を超えた際の次の上値メドは148.80円レベルで、それも超えるといよいよ150円が視界内に。
そうしたなか今週は、9月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数や、同製造業PMI速報値などの米経済指標が発表されるものの、今週は別途米FOMCといった重要イベントが控えていることもあり、米指標で大きく動意づく展開は見込みにくいのかもしれない。また、別途実施される露中外相会談などにも一応要注意。
そんな今週のドル/円予想レンジは、146.50-149.50円。ドル高・円安については、先週記録した147.95円が最初のポイントで、超えると148.80円レベルを目指す。
対してドル安・円高方向は、147円レベルがなかなか強いサポートに育ちつつあり、それを下回っても50ポイント刻みでサポートは存在している。かなり底堅いイメージだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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