ドル円 底堅い展開ながら短期高値をつけ反転か(週報9月第3週)

先週のドル円は週末に植田日銀総裁が条件が整えばマイナス金利解除に動く可能性に言及したことから、月曜早朝に1円近く大きくギャップダウンして始まることとなりました。

ドル円 底堅い展開ながら短期高値をつけ反転か(週報9月第3週)

底堅い展開ながら短期高値をつけ反転か

〇先週のドル円、前週末の植田総裁の発言受け1円近くギャップダウンして始まる
〇その後は絶対的な日米金利差から、米国CPI等のイベント通過によるドル買い再燃という動きに
〇今週水曜のFOMC、FF先物の現状維持見通し99%で9月利上げ無しがコンセンサス
〇前回は年末時点であと1回の利上げが見込まれていたドットプロットが変化するのかが最大の注目点
〇金曜の日銀会合、総裁会見で先週末の発言の真意をどのように回答するのかを注視
〇今週は146.25レベルをサポートに148.50レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週末に植田日銀総裁が条件が整えばマイナス金利解除に動く可能性に言及したことから月曜早朝のドル円は珍しく1円近く大きくギャップダウンして始まることとなりました。しかし、植田日銀総裁がマイナス金利解除に動くとしても来年以降の話であり、短期的には絶対的な日米金利差が存在することから、イベント通過によるドル買い再燃という動きにつながりました。

その後注目された米国CPIは予想よりも強くドル買い、翌日のECB理事会ではややサプライズの利上げとなりましたが、景気減速見通しに反応してのユール売り・ドル買いと材料的にはドル買いを後押しする内容が目立ちました。また金曜には日銀筋から前週末の植田日銀総裁の発言に対する市場の解釈にはギャップがあると、そこまでタカ派なものでは無いとする発言も出たことで、いったん植田総裁発言は帳消しになっての週末クローズになったと考えられます。

そして今週は水曜にFOMC、金曜に日銀会合がありますが、FOMCは先週のECB利上げに関係なくFF先物の現状維持見通しは99%と、9月はFRBの利上げは無いという見方がコンセンサスです。今回のFOMCでは金利見通しも示されますが、前回のドットプロットでは年末時点であと1回の利上げが見込まれていましたが、それが変化するのかどうかが最大の注目点となります。

年末はかなり近づいていますので、前回同様であればあと1回の利上げがコンセンサスとして固まりそうですし、現状維持となれば急速に利上げ思惑が後退することとなります。現時点のFF先物の利上げ織り込み度では前回利上げで利上げは終了、来年5月まで現状維持、6月から利下げに転じるという見方がコンセンサスです。市場参加者のコンセンサスに対して、FRBがどのように考えているのか、直近2か月の強いCPIとも併せて気になるところです。

日銀会合は現状維持は良いとして、総裁会見で先週末の発言の真意について質問が出ることは間違いないでしょうから、どのように回答するのかで改めて円売りに動くかどうかが決まってきそうです。ただ、金曜まで日数もありますので、それまでの動き次第で発射台がどの位置にあるのかによって反応は変わってきそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

あまりに底堅いので引き直しましたが、ピンクのラインで挟まれたウェッジの中の動きであることに変化はありません。ただ、やや急角度で上がってきていることから、もう一段の上昇を、見た後に調整が入るという見方をしたいところです。上値の目途としては介入警戒感もあり148円台半ばから上は要注意、ただ下は146円割れでは既にドル買いオーダーも出てくるというイメージです。

今週は146.25レベルをサポートに148.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

底堅い展開ながら短期高値をつけ反転か

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

9月18日(月)
**:** 東京市場休場
18:00 デギンドスECB副総裁講演
23:00 米国9月NAHB住宅指数

9月19日(火)
10:30 豪中銀理事会議事要旨公表
18:00 ユーロ圏8月CPI
21:30 エルダーソンECB理事講演
21:30 米国8月住宅着工・建築許可

9月20日(水)
08:50 本邦8月通関統計
15:00 英国8月CPI
15:00 ドイツ8月PPI
17:00 南ア8月CPI
18:00 ユーロ圏7月建設支出
20:00 南ア7月小売売上高
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC結果公表
27:30 パウエルFRB議長会見

9月21日(木)
07:45 NZ4〜6月期GDP
15:00 フランス9月企業景況感
16:30 スイス中銀政策金利発表
20:00 英中銀MPC・議事要旨公表
20:00 トルコ中銀政策金利発表
21:30 米国新規失業保険申請数
21:30 米国9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
**:** 南ア中銀政策金利発表
23:00 米国8月中古住宅販売
23:00 米国8月景気先行指数
23:00 ユーロ圏9月消費者信頼感速報値
23:40 シュナーベルECB理事講演

9月22日(金)
07:45 NZ8月貿易収支
08:01 英国9月消費者信頼感
08:30 本邦8月CPI
(12:00) 日銀会合結果発表
15:00 英国8月小売売上高
15:30 植田日銀総裁会見
16:15 フランス9月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ9月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏9月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国9月製造業・サービス業PMI速報値
22:45 米国9月製造業・サービス業PMI速報値
26:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月11日(月)
週末の植田日銀総発言(物価上昇に確信が持てればマイナス金利の解除がありうる、年末までにそのデータが揃う可能性がある)をきっかけに週明けのドル円は大きくギャップダウンして始まり、一時的に買い戻しは見られたものの、欧州市序盤には145.90レベルの安値をつけました。欧州市場では急速に買い戻しが入ったものの147円には乗せられず、NY市場では売りも出て146円台半ばで引けました。

9月12日(火)
目立った材料がない中で円売りの動きが続きました。水曜の米国CPI、木曜のECB理事会を前に目先は絶対的な日米金利差の存在が改めて円売りの動きにつながりました。日銀の政策変更はあるとしても来年の話であり、いったん週末の植田日銀総裁の話よりも実際の金利差に目が向きやすいという地合いで、NY市場では147.23レベルまで上昇し前日高値に迫っての引けとなりました。

9月13日(水)
ドル円は底堅いものの米国CPIを前に高値圏でのもみあいが続きました。CPIは予想よりも高い3.7%と2か月連続の上昇、米金利が上昇したことで147.75レベルの高値をつけました。しかし来週のFOMCでの現状維持は変わらずとの見方から米金利はすぐに下げに転じドル円も147円台半ばに押して引けました。

9月14日(木)
ECB理事会を前にしたユーロが主役ということで、ドル円は上下ともにオーダに挟まれる動きとなり、終日のレンジも54銭とドル円にしては静かな値動きの一日となりました。

9月15日(金)
ドル円は東京市場では小動き、欧州市場序盤にユーロが前日の調整で対ドルだけでなく対円でも強含む動きとともにじり高の動きとなり、一時147.95レベルへと高値を更新する動きを見せました。その後のNY市場では東京3連休を前に動意薄となり高値圏でもみあいのまま引けました。

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