ドル円見通し 米小売とPPIは決め手にならなかったが、147円台前半の持ち合いから上放れを試す(23/9/15)

147円台前半で持ち合いを形成しつつ、13日夜高値および9月7日午前の年初来高値147.87円超えに挑戦しやすい位置に付けている。

ドル円見通し 米小売とPPIは決め手にならなかったが、147円台前半の持ち合いから上放れを試す(23/9/15)

米小売とPPIは決め手にならなかったが、147円台前半の持ち合いから上放れを試す

〇ドル円、9/14夜の米8月小売売上高・PPI発表直後に147.56へ上昇したが、8/13夜高値147.71に届かず
〇9/14深夜147.00へ下げたが、9/15早朝にかけて長期債利回り上昇を見て147.50に迫るところまで戻す
〇来週のFOMCや日銀金融政策決定会合を控え、やや慎重な動きとなる可能性
〇昨日発表の米経済指標は、まちまちの結果
〇米長期債利回りは低下後に上昇、ダウは3日ぶりの反発、ナスダックは連騰
〇147.00以上で推移中は上昇余地あり、147.71を上抜く場合147.85から148円手前の水準を試すとみる
〇147.00割れから戻せずに146.90近辺を割り込む場合は、146円台中盤を試す下落を想定する

【概況】

ドル円は9月14日夜の米8月小売売上高が予想を上回り、8月米PPI(生産者物価指数)もコア指数の前年比が7月から鈍化したものの全体の前年比が予想を上回ったため、発表直後には147.56円へ上昇したが13日夜の米8月CPI(消費者物価指数)の発表直後に付けた高値147.71円には届かず、米長期債利回りも当初は方向感に欠けたためにNY市場の序盤には147.00円まで下げた。15日早朝にかけては米長期債利回り上昇を見て147.50円に迫るところまで戻している。
9月11日に植田日銀総裁インタビュー記事におけるマイナス金利解除への言及により9月9日早朝高値147.86円から11日夕安値145.89円まで2円近い急落となったが、円安けん制の口先介入として急落商状が落ち着くと金融緩和継続感は変わらないとして13日には147円後半を回復した。14日は午前に147.02円まで下げ、深夜も147.00円を付けたもののいずれも買い戻されており、147円台前半で持ち合いを形成しつつ、13日夜高値および9月7日午前の年初来高値147.87円超えに挑戦しやすい位置に付けている。

9月15日は日中に8月の中国鉱工業生産と小売売上高および都市部固定資産投資、欧州時間では7月ユーロ圏貿易収支、米国時間では9月米NY州製造業景況指数と8月の米輸出入物価指数及び8月米鉱工業生産と設備稼働率などの発表がある。経済指標に一喜一憂しつつ来週のFOMCや日銀金融政策決定会合を控えてやや慎重な動きとなるのではないかと思われる。

【米経済指標はまちまち】

米商務省による8月小売売上高は前月比0.6%増となり、7月の0.5%増および市場予想の0.2%増を上回って5か月連続のプラスで前年同月比は2.5%増だった。自動車・同部品を除くと前月比0.6%増で市場予想の0.4%増を上回り前年同月比は2.0%増、ガソリンを除くと前月比0.2%増で前年同月比は3.7%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと前月比0.2%増で前年同月比は3.7%増だった。総じて金融引き締めが続く中で景気は堅調を維持していると市場は受け止めて株高要因となった。

米労働省による8月PPI(生産者物価指数)は全体の前月比が0.7%上昇となり、市場予想の0.4%を上回って7月の0.3%から伸びを加速させ、前年同月比は1.6%上昇で7月の0.8%および市場予想の1.2%を大幅に上回った。
エネルギーと食料品を除いたコアPPIは前月比0.2%上昇で市場予想と一致したが7月の0.4%上昇からは鈍化し、前年同月比は2.2%上昇で予想と一致して7月の2.4%上昇から鈍化した。原油相場の高騰が全体の上昇率を押し上げているがコア指数の伸びは落ち着いている印象となり、米FRBに対して追加利上げを要請するほどの数字ではないと市場は受け止めたが、利上げ状態が長期化する懸念を残している。
米労働省による新規失業保険申請件数は9月9日までの週間で前週比3000件増の22万件となり、5週ぶりに悪化し、失業保険受給者総数は9月2日までの週間で168万8000人となり、前週から4000人増加した。

【米長期債利回りは上昇、ダウは反発】

9月14日の米長期債利回りは総じて上昇した。8月のPPIで全体の伸び率が予想を上回ったもののコア指数の伸びが鈍化したために、発表後はいったん低下する場面も見られたが、NY原油が90ドルを突破して年初来高値を更新したこともあり、利上げ状態の長期化への懸念から上昇に転じた。
長期金利指標の10年債利回りは一時4.22%まで低下した後、前日比0.04%高の4.29%へ戻した。30年債利回りは一時4.31%まで低下した後に上昇に転じ、前日比0.03%高の4.38%で終了した。利上げに敏感な2年債利回りは4.96%まで低下後、反騰に転じて前日比0.03%高の5.01%で終了した。
一方でNYダウは米小売売上高の堅調さを見て前日比331.58ドル高と上昇して3日ぶりの反発となり、ナスダック総合指数も112.46ポイント高となり前日から連騰した。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は9月11日の急落が一巡して11日夕刻安値145.89円から上昇期に入ったが、13日夜高値147.71円で戻り一巡となり、いったん仕切り直しに入って147円台前半を中心とした持ち合いを形成している。
9月13日夜高値を超えないうちは18日夕刻にかけての下落余地ありとみるが、14日の147.00円近辺を買われて底固さを見せているため、すでに新たな上昇期に入っている可能性があると注意し、13日夜高値を上抜く場合は20日夜にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月14日深夜からの反発で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月14日午前に30ポイント台へ低下した後はしっかりしており繰り返し60ポイントを試しているので、50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台中盤への上昇を想定する。ただし45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.00円を下値支持線、147.71円を上値抵抗線とする。
(2)147.00円以上での推移中は上昇余地ありとし、13日夜高値147.71円を上抜く場合は147.85円から148円手前にかけての水準を試すとみるが、148円手前は反落警戒とするが147.50円以上を維持しての推移なら週明けに148円台前半を目指す可能性もあると考える。
(3)147.00円割れから戻せずに146.90円近辺を割り込む場合は、下落再開とみて146円台中盤(146.65円から146.35円)を試す下落を想定する。146.50円以下は反発注意とするが、147円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/15(金)
11:00 (中) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.5%、予想 3.0%)
11:00 (中) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 3.7%、予想 3.9%)
13:30 (日) 7月 第三次産業活動指数 前月比 (6月 -0.4%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調済 (6月 125億ユーロ)
18:00 (欧) 7月 貿易収支・季調前 (6月 230億ユーロ)
21:30 (米) 9月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (8月 -19.0、予想 -10.0)
21:30 (米) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 輸出物価指数 前月比 (7月 0.7%、予想 0.4%)
22:15 (米) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 1.0%、予想 0.1%)
22:15 (米) 8月 設備稼働率 (7月 79.3%、予想 79.3%)
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (8月 69.5、予想 69.1)



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