ドル円見通し 148円手前で足踏み、米長期債利回り上昇と市場介入警戒感が交錯(23/9/7)

ドル円は、7日未明には147.74円まで切り返し、その後も147.50円以上を維持して高値更新を伺う位置に付けている。

ドル円見通し 148円手前で足踏み、米長期債利回り上昇と市場介入警戒感が交錯(23/9/7)

148円手前で足踏み、米長期債利回り上昇と市場介入警戒感が交錯

〇ドル円、円安けん制発言を受け9/6朝下げるも、147.81まで再上昇し年初来高値を更新
〇米要人による年内あと1回の利上げ余地発言により米長期債利回りが上昇、ドル高に
〇ISMの8月米サービス業景況指数、PMIは強め、ベージュブックも景気の底堅さを示す
〇9/6の米長期債利回りは総じて上昇、ダウは続落
〇今夜発表の経済指標が強く、FRB高官のタカ派姿勢が顕著な場合は148円台突入もあり得るか
〇147.20以上での推移中は147.81超えから148円前後を目指す上昇を想定
〇147.20割れからは9/6午後安値147.01試しとする

【概況】

ドル円は9月6日未明に147.79円へ上昇、6日朝に神田財務官が円安けん制発言を行ったことでいったん下げたものの6日午前には147.81円まで再上昇して年初来高値を更新したが、その後は介入警戒感もあり6日午後には147.01円まで下げた。147円割れを回避して持ち直しに入った後は、米ISMの8月サービス業景況指数が7月の52.7から54.5へと改善し、ボストン連銀のコリンズ総裁や前セントルイス連銀総裁のブラード氏が年内あと1回の利上げ余地に言及したことで米長期債利回りが上昇してドル高となり、7日未明には147.74円まで切り返し、その後も147.50円以上を維持して高値更新を伺う位置に付けている。
米国の9月FOMCでの利上げ見送りとその後の利上げ停止感が優勢ではあるものの、利上げ状態が長期化する可能性、レーバーデー連休後の社債大量発行による債券需給のゆるみによる米長期債利回りの上昇により、ドル円は市場介入を警戒しつつも日銀の金融緩和継続感による押し上げが継続しているところと思われる。
今夜は米週間新規失業保険申請件数、ボウマン理事の講演等があり、経済指標が強めでFRB高官のタカ派姿勢が顕著になるようだと148円台突入もあり得るところか。

【米経済指標は強め】

米商務省による7月貿易赤字は前月比2.0%増の650億2200万ドルとなり、赤字額は3か月振りに拡大したが、輸入が前月比1.7%増、輸出も1.6%増と堅調だった。貿易赤字の上位は中国、メキシコ、ベトナムで日本は6番目だった。
ISMによる8月サービス業景況指数は54.5で7月の52.7から上昇して市場予想の52.5も上回り今年2月以来の高水準となった。内訳では新規受注が7月の55.0から57.5へ、雇用が50.7から54.7へ、価格が56.8から58.9へ上昇した。
S&Pグローバルによる8月の米サービス業PMI確報値は50.5となり、速報の51.0から下方修正されて7月確報値の52.3から低下した。総合PMI確報値は50.2で速報の50.4から下方修正されて7月確報値の52.0から低下したが50を上回っている。

FRB(米連邦準備制度理事会)による全米12地区連銀景況報告(ベージュブック)では、大半の地区で7月と8月にわずかな経済成長を遂げたとし、景気の底堅さを示した。消費支出は旅行等で予想を上回り調査対象企業の多くがコロナ禍後の需要が盛り返したとしている。また雇用の伸びは全国的に抑制気味だったが熟練労働者に対する需給がひっ迫し、物価は大半の地区で伸びが鈍化したがコスト増が企業収益を圧迫しているとした。

ボストン連銀のコリンズ総裁は9月6日の講演において「FRBは金融引き締め姿勢を続ける一方で、忍耐強さと指標全体の点検が求められる局面にある」とし、「政策金利は暫くは景気抑制的な水準で維持する必要がある」、「指標次第では一段の引き締めが妥当」として利上げ状態の長期化や追加利上げ余地に言及した。

【米10年債利回りは3連騰、ダウは続落】

9月6日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.28%、一時は4.31%まで上昇し、9月1日の低下場面で付けた4.06%からの上昇を継続、日足ではレーバーデーの連休を挟んで3連騰となり、8月22日に付けたこれまでのピークである4.37%へ迫ってきた。
30年債り回りは前日比0.01%低下の4.36%となったが、一時は4.40%を付けて8月31日に付けた4.18%以降の高値を更新して徐々に8月21日に付けた4.47%へ迫ってきている。
利上げに敏感な2年債利回りは0.06%上昇の5.02%となり、9月1日から3連騰で9月1日に付けた4.76%以降の高値を更新してこの間のピークである8月28日の5.11%および7月6日の5.12%へ迫っている。

NY原油が9連騰しており、サウジの自主減産とロシアの輸出削減が予想の10月末までではなく12月末まで延長されると表明されたことや、米国の原油在庫減少が押し上げ要因となっている状況だが、原油高がインフレの高止まり感を助長していることも米長期債利回り上昇に寄与している。
米金利先物市場では9月FOMCにおける利上げ見送り確率が9割超だが、11月については金利据え置き確率が5割強である一方で0.25%の追加利上げ確率が4割強となっている。
NYダウは長期債利回り上昇を嫌って前日比198.78ドル安、5日の195.74ドル安から続落し、ナスダック総合指数は148.48ポイント安で9月1日から3営業日続落となった。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は9月6日午前高値147.81円で9月1日夜安値144.44円からの急騰が一服したが、6日午後に147.01円まで反落したところから切り返している。6日午前高値を超えないうちは6日午後安値割れから一段安入りする可能性を残し、その場合は8日夜にかけての下落を想定するが、6日午前高値を超える場合は新たな上昇局面入りとみて13日午前にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月6日午前高値からの反落とその後の反騰により遅行スパンは実線と交錯しているが、先行スパンを上回る状況は維持されている。9月6日午前高値超えからは一段高に入るので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込む場合は下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月6日午後の反落で50ポイントを割り込んだがその後の持ち直しで60ポイント近辺で推移している。65ポイント超えからは上昇が勢い付くとみて70ポイント台前半への上昇を想定するが、50ポイント割れを弱気転換注意とし、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.20円を下値支持線、9月6日午前高値147.81円を上値抵抗線とする。
(2)147.20円以上での推移中は147.81円超えから148円前後を目指す上昇を想定する。148円到達では売りも出やすいとみるが、147.20円以上での推移なら8日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.20円割れからは6日午後安値147.01円試しとし、底割れからは146円台中盤(146.65円から146.35円)への下落を想定する。146.50円以下は反騰注意とするが、147.20円以下での推移なら8日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/7(木)
休場 ブラジル
未 定 (中) 8月 貿易収支・米ドル建て (7月 806.0億ドル、予想 739.0億ドル)
10:30 (豪) 7月 貿易収支 (6月 113.21億豪ドル、予想 100.00億豪ドル)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI・速報値 (6月 108.9、予想 107.8)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI・速報値 (6月 115.1、予想 114.2)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -1.5%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 -1.7%、予想 -2.1%)
17:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
18:00 (欧) 4-6月期 GDP・確定値 前期比 (改定値 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP・確定値 前年同期比 (改定値 0.6%、予想 0.6%)

21:30 (米) 4-6月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 3.7%、予想 3.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.8万件、予想 23.4万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.5万人、予想 171.5万件)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
28:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、イベント参加
28:45 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演

9/8(金)
08:50 (日) 4-6月期 GDP・改定値 前期比 (速報 1.5%、予想 1.4%)
08:50 (日) 4-6月期 GDP・改定値 年率換算 (速報 6.0%、予想 5.6%)
08:50 (日) 7月 経常収支・季調前 (6月 1兆5088億円、予想 2兆2628億円)
08:50 (日) 7月 経常収支・季調済 (6月 2兆3459億円、予想 2兆1825億円)
08:50 (日) 7月 貿易収支・国際収支ベース (6月 3287億円、予想 1654億円)
14:00 (日) 8月 景気ウオッチャー現状判断DI (7月 54.4、予想 54.4)
14:00 (日) 8月 景気ウオッチャー先行判断DI (7月 54.1、予想 53.4)
15:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前月比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
15:00 (独) 8月 CPI(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 6.1%、予想 6.1%)
23:00 (米) 7月 卸売売上高 前月比 (6月 -0.7%)
28:00 (米) 7月 消費者信用残高 前月比 (6月 178.5億ドル、予想 160.0億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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