ドル円の急伸一服とリラ安で4日ぶり小反落だが、7日午前は上昇再開
〇トルコリラ円、ドル円追いかけ9/7午前5.52近辺へ再上昇、ドル円上昇継続感で底固い動き続くか
〇対ドル、9/6は概ね26.86から26.43の取引レンジ、9/7午前に27リラに到達、リラ安再燃の動き
〇トルコ経済指標、総じて低調さ続く
〇ドル/トルコリラ最安値更新なら、追加利上げがインフレ抑制より景気自体を圧迫しかねない状況
〇5.48を上回るうちは上昇余地ありとし、5.53超えからは5.55への上昇を想定
〇5.48割れからは5.45前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の9月6日は概ね5.51円から5.48円の取引レンジ、7日早朝の終値は5.49円で前日終値の5.51円から0.02円の円高リラ安だった。
9月1日夜の米雇用統計発表直後の円高により5.41円へ下落したが、ドル円の急反騰に合わせて9月4日早朝には一時5.59円へ上昇、4日夕刻に5.46円まで反落したところから再上昇して6日未明にはドル円が年初来高値を更新する上昇となったことを追いかけて一時5.56円へ切り返した。
9月6日午後にはドル円の反落で5.48円まで下げたもののドル円の持ち直しを見てその後は5.50円を挟んだ揉み合いでしっかりした。
ドル円の上昇を見ながら9月1日から5日まで3連騰したが、ドル円が148円手前で足踏みしたことでトルコリラ円も4日ぶりに小反落したのだが、7日午前にドル円が6日午前高値を超えたために5.52円近辺へ上昇している。引き続きドル円の上昇継続感により底固い動きを続けやすいと思われる。
ドル円は9月1日の米雇用統計発表直後のドル安局面で144.44円へ急落したが、売り一巡と米長期債利回りの上昇を見て146円台を回復し、5日は147円台へ続伸、6日午前には147.81円を付けて1月16日安値127.22円以降の最高値を更新した。神田財務官による強いトーンでの円安けん制発言も見られたために148円超えへ進めずにいったん仕切り直しに入って6日午後には147.01円まで下げたが、円安継続感は健在で、6日夜の米8月ISMサービス業景況指数が予想を上回る改善となりFRB高官らによる追加利上げへの言及もあって米10年債利回りが3連騰したために7日午前序盤には147.70円台へ切り返し、7日9時台には6日午前高値を上抜いている。
ドル円が148円を超えて続伸に入ればトルコリラ円もそれを追いかけて5.50円台後半へ上昇する可能性もあると注目したい。
【対ドルでは7日午前に27リラに到達、リラ安再燃の動き】
ドル/トルコリラの9月6日は概ね26.86リラから26.43リラの取引レンジ、7日早朝の終値は26.79リラで前日終値の26.76リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。
トルコ中銀による超大幅利上げをサプライズとして直前の27リラ近辺から25.02リラへ急伸したものの、リラ買いが一巡してからは急騰幅の解消へ向けてリラ安が再燃している。9月4日に26.92リラまで安値を切り下げ、5日と6日は安値更新には至らなかったものの、7日午前序盤には27.01リラを付けて8月24日以来の27リラ台に到達している。
9月6日はトルコ経済指標の発表はなく手掛かり難だったが、米長期債利回り上昇と米国の利上げ状態長期化への懸念でドル高優勢となりユーロやポンド、豪ドルが6日夜へ安値を更新したためにトルコリラに対してもドル高圧力がかかったようだ。
【トルコ経済指標の低調さ続く】
9月に入ってからのトルコ経済指標は総じて悪化ないし低調なものが続いている。
9月1日発表の8月イスタンブール製造業PMIは7月の49.9から49.0へ悪化、8月のイスタンブール小売物価指数は前月比8.8%上昇で7月の9.84%から低下したものの高水準の伸びとなり、9月4日に発表された8月CPI(消費者物価指数)は前月比9.09%で予想の7%を上回り、前年比は58.94%で予想の55.90%を上回った。
8月の貿易速報では貿易赤字が7月の123.8億ドルから88.8億ドルへ減少したものの依然として輸入が輸出を大幅に上回る構造的な赤字から抜けられず、年初からの赤字累計は前年を上回るペースとなっている。
トルコ中銀は8月24日に政策金利の週間レポレートを17.5%から25.0%へと大幅に引き上げたが、それでも消費者物価指数の上昇率と比較すれば実質マイナス金利状態にあり、インフレ克服にはまだかなりの時間を要する。
NY原油が連騰して年初来高値を更新してきているが、原油及び石油製品の国際価格が上昇すればトルコのインフレにも影響が大きく、財政再建のために付加価値税等を引きげた7月の増税ラッシュの影響も企業のコスト高へ直結する。
また2021年12月のリラ暴落時に導入されたリラ預金の為替差損を補填する保護預金制度(KKM)の運用縮小が始まっており、リラ保護預金から外貨預金への流出が顕著となっていることも、超大幅利上げで一時落ち着いたかに見えたリラ安を再燃させつつある。
ドル/トルコリラは8月24日の利上げで急伸した際の高安レンジ内に留まっているが、最安値を更新するようだとリラ安が勢いを増し、通貨安がインフレを助長し、中銀の追加利上げがインフレ抑制よりも景気そのものを圧迫しかねない状況にあると懸念される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月1日夜の米雇用統計発表後に一段安してから急伸したために9月4日午前時点では1日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、9月6日午後に反落してから持ち直しているため、6日午後安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしているとみて11日午前から13日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし、6日午後安値5.48円を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして11日午後から13日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月6日午後安値からの反騰により遅行スパンは好転しやすい位置に来ており、先行スパンからもいったん転落したものの再び上抜き返しやすい位置にある。このため先行スパンを上抜き返すところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし、6日午後安値5.48円割れからは下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は9月6日午後の下落時に40ポイント台序盤へ低下したがその後の反発で50ポイント台を回復したため、50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイントを目指す上昇余地ありとする。ただし、45ポイント割れからは下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.48円を下値支持線、5.53円を上値抵抗線とする。
(2)5.48円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.53円超えからは5.55円への上昇を想定する。5.55円以上は反落注意とするが、5.50円を上回っての推移なら8日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.48円割れからは5.45円前後への下落を想定する。5.45円以下は反騰注意とするが、5.48円以下での推移なら8日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月7日
20:00 週次 外貨準備高 9月1日時点 グロス (8月25日時点 759.6億ドル)
20:00 週次 外貨準備高 9月1日時点 ネット (8月25日時点 143.4億ドル)
23:30 8月 財務省現金残 7月 (192.96億リラ)
9月11日
16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 1.6%)
16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 0.6%)
16:00 7月 失業率 (6月 9.6%)
16:00 7月 経常収支 (6月 6.74億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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