ドル円見通し 8月23日夜の急落を解消、FRB議長講演控え買い戻し優勢で146円を超える(23/8/25)

24日夜高値で145.95円を付けて146円に迫った。NY市場序盤に145.40円へ反落したところも買われて、25日午前序盤には146円台に到達している。

ドル円見通し 8月23日夜の急落を解消、FRB議長講演控え買い戻し優勢で146円を超える(23/8/25)

8月23日夜の急落を解消、FRB議長講演控え買い戻し優勢で146円を超える

〇ドル円、経済指標改善による10年債利回りの再上昇を見て、8/24日夜高値で145.95を付け146円に迫る
〇NY市場序盤に145.40へ反落したところも買われ、8/25午前序盤には146円台に到達
〇昨日発表の耐久財受注は冴えなかったが、新規失業保険申請件数改善への反応からドル高基調
〇今夜のジャクソンホール会合でのFRB議長講演、ドル全面高か、逆にドル安へのトリガーとなるのか注目
〇米10年債利回りは反発、NYダウは前日の上昇分を解消する反落
〇145.50を上回るうちは上昇余地ありとし、146.20超えからは8/17高値146.54を試す上昇を想定する
〇145.50割れから続落に入る場合は戻り一巡による下落期入りとみて、145円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は8月23日夕刻の独欧総合PMIの悪化に続いて23日夜の米総合PMIも予想を下回る悪化となったことで米10年債利回りが急低下したために24日未明安値で144.54円へ下落した。その後は安値更新を回避して底固さを見せて午前には145円台を回復していたが、前夜に反騰したユーロやポンドが夕刻から急落したことに加え、米週間新規失業保険申請件数が改善したことによる米10年債利回りの再上昇を見て24日夜高値で145.95円を付けて146円に迫った。NY市場序盤に145.40円へ反落したところも買われて、25日午前序盤には146円台に到達している。
今夜はカンザスシティー連銀が主催する毎年恒例のジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長講演に注目。24日夜は揺れ返しがみられたが、議長講演等をきっかけとしてドル全面高へ進むのか、逆にドル安へ向かうトリガーとなるのか注目される。

【新規失業保険申請件数は改善、耐久財受注は冴えず】

米労働省による新規失業保険申請件数は8月19日までの週間で前週比1万件減の23万件となり、市場予想の24万件を下回って2週連続の改善だった。1週遅れの失業保険受給者総数は8月12日までの週間で170万2000人となり、前週から9000人減少して市場予想の170万8000人を下回った。労働市場の堅調さが再認識されたことがドル高を助長した。
米商務省による8月耐久財受注は前月比5.2%減となり、市場予想の4.0%減を下回り6月の4.4%増(速報の4.7%増から下方修正)に対する反動で悪化した。輸送機器を除くと前月比0.5%増で予想の0.2%および6月の0.2%(速報の0.6%増からは下方修正)を上回ったが、設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は前月比15.6%減で予想の0.1%増を大幅に下回った。
耐久財受注が冴えなかったものの失業保険統計の改善への反応が優先され、これら発表を通過した後もドル高基調が続いた。

【ジャクソンホール会合に注目】

今夜のジャクソンホール会合では23時過ぎにパウエルFRB議長の講演がある。
FRBは7月のFOMCで0.25%利上げを決定した上で9月会合以降は指標次第として利上げ継続も利上げ停止もあり得る姿勢を示したが、7月の米CPIとPPIが再上昇したことや労働市場の堅調さによる賃金インフレ感の継続から追加利上げの可能性が若干残り、利上げ停止の場合も早期の利下げには至らず利下げ開始時期は2024年4-6月期辺りまでずれ込むとの見方が優勢となっている。
6月のFOMCでは米銀破綻問題を考慮して利上げをいったん見送って7月に利上げ再開としたわけだが、8月に入って米銀への格下げ見通し報道も相次いでいること、米経済指標は深刻なリセッション入りへ進んでいないことにより、今回の議長講演では先行きの利下げを期待させるハト派姿勢を示すものにはならず、指標次第で追加利上げもあり得るし、このまま停止するかもしれないという内容になるのではないかと憶測されている。

追加利上げ継続へのタカ派姿勢が示されればドル全面高へ進み、利下げへの言及等でハト派姿勢を示せばドル全面安となる可能性もあるだろう。
因みにFOMCでの投票権を持つフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は2日のインタビューで「年内に追加利上げを実施する必要があるとは想定していない」と述べたが、「FRBがいつ利下げに着手できるかを予測する準備はできていない」として利下げ再開への期待に対してはややけん制した。

【米10年債利回りは反発、ダウは反落】

8月24日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは8月10日から17日へ6連騰し、21日に一時は4.35%を付けて昨年10月のピークを超えて2007年11月以来凡そ16年ぶり高水準に達してから失速、23日は前日比0.14%の大幅低下となり、24日は4.18%まで低下してから反騰入りして前日比0.05%上昇の4.24%となった。
30年債利回りは0.03%上昇、2年債利回りは0.05%上昇の5.02%となった。いずれも新規失業保険申請件数の改善と25日のFRB議長講演を控えて前日の急低下に対する修正で上昇した印象だ。

一方でNYダウは前日比373.56ドル安と下落して23日の184.15ドル高を解消して8月1日高値以降の安値を更新した。ナスダック総合指数も23日まで3連騰していたが24日は257.06ポイント安の急落となった。ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長講演を控えて調整安という印象だ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は8月21日深夜と22日午前の高値では8月17日午前高値超えへ進めずに一時145.50円を割り込むなど軟調な推移となったために23日午前時点では22日午前高値を起点として安値試しの時間帯に入っているとし、19日未明安値を基準として目先の安値形成期を25日未明にかけて想定した。
24日未明へ一段安したために24日午前時点ではまだ一段安余地が残るとし、145.25円超えからは上昇期入りとしたが、24日夜へ急伸して25日午前には146円台へ到達したため、24日未明安値を起点とした上昇期と考える。目先の高値形成期は29日午前にかけて想定。FRB議長講演を強気で通過する場合は29日午前への続伸を想定するが、議長講演から下落の場合は戻り一巡による下落期入りとなる可能性があると注意する。

60分足の一目均衡表では8月24日夜への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避するうちはその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とする。

60分足の相対力指数は8月24日未明への急落で20ポイントを割り込んだが、その後の反騰で24日夜には70ポイントに到達した。55ポイント以上での推移中は一段高余地ありとみるが、50ポイント割れからは戻り一巡による下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.50円を下値支持線、146.20円を上値抵抗線とする。
(2)145.50円を上回るうちは上昇余地ありとし、146.20円超えからは8月17日高値146.54円を試す上昇を想定する。FRB議長講演を通過して上昇が勢い付く場合は週明けへの続伸で147円を目指す可能性もあるとみる。
(3)145.50円割れから続落に入る場合は戻り一巡による下落期入りとみて145円前後への下落を想定するが、FRB議長講演から下げ足が速まる場合は週明けへの続落で8月23日安値144.54円を試して行く流れとみる。

【当面の主な予定】

8/25(金)
米ジャクソンホール会合(8/26まで)
15:00 (独) 4-6月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP・改定値・季調済 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
15:00 (独) 4-6月期 GDP・改定値・季調前 前年同期比 (速報 -0.6%、予想 -0.6%)
17:00 (独) 8月 IFO企業景況感指数 (7月 87.3、予想 86.7)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、インタビュー
23:00 (米) 8月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 71.2、予想 71.2)
23:05 (米) パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長、講演


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