ドル高基調は継続だが、目先は上昇も一服か
〇本日のドル円、145.30-70の狭いレンジ内での一進一退に終始、積極的な売買は手控えられた
〇フィッチ「金利高が長引き銀行の資金調達コストの上昇で収益悪化する懸念がある」
〇JPモルガンなど米銀大手含む70行以上格下げする可能性ありと表明、米銀株は軒並み不冴え
〇リスクは引き続きドル高方向、当局の円買い介入警戒が強く短期的にはドル高傾向が一服する可能性も
〇本日、7月住宅着工件数や鉱工業生産指数等の米経済指標や7月FOMC議事録発表予定
〇欧米時間の予想レンジ144.80-146.00、ドル安円高方向は昨日安値145.11めぐる攻防に注目
〇ドル高円安方向は昨日高値145.86が最初の抵抗、超えれば146円台乗せ、146.10レベル目指す
<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場はドルが小安い。基本は145円台での保ち合いながら、終盤に掛けてはやや売りに押される値動きだった。
ドル/円は145円半ばで寄り付いたものの、積極的な動意は乏しい。145.30-70円といった狭いレンジ内での一進一退に終始。時間外で取引されている米金利市場の動きなどに一喜一憂しつつも、次の材料待ちといった様相で積極的な売買は手控えられた。16時現在では日中のドル安値圏145.35円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米格付け」と「中国情勢」について。
前者は、今月1日に米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AAプラス」に引き下げると発表し、あちこちで物議を醸したフィッチが、今度は「JPモルガンなど米銀大手を含む70行以上を格下げする可能性がある」と明らかにし再び金融市場の波乱要因に。ちなみにフィッチではその理由について、「金利高が長引き、銀行の資金調達コストが上がることで収益が悪化する」公算があるとの懸念を表明していた。そして、フィッチの発表を受け、15日のNY株式市場で米銀株は軒並み冴えない動きとなり、為替市場においてもドル売りの一因となっていたようだ。
対して後者は、「碧桂園(カントリー・ガーデン)」をはじめとする不動産リスクが取り沙汰されるなか、政府サイドからは平静を装う姿勢が目に付く。たとえば、中国国家統計局の付報道官は「中国はデフレではなく、将来もデフレにはならない」と一部で囁かれているデフレ観測を完全否定。また中国の国家統計局は、「統計をより良くすること」を理由に、最新6月データが21.3%になったと発表していた若者の失業率など年齢層別の失業率の公表を一時停止すると発表している。ただ、そののち中国の毎日経済新聞が、中国人口・発展研究センターの推計を引用して同国の出生率が昨年に過去最低の1.09に下がったと報じるなど、次から次へと気になる統計も聞かれており、警戒モードは逆に強まりつつある。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日145.86円まで上値を伸ばす展開。リスクは引き続きドル高方向に高いものの、直近の7日安値141.52円を起点としても10日足らずで4円強となかなかの上昇だ。当局の円買い介入警戒が強いということもあり、短期的にはドル高傾向が一服する可能性も少しずつ取り沙汰されていた。実弾介入が見送られればドルが大きく崩れることは予想しにくいが、それでもしばらくは上値の重い展開も。
日米金融政策への関心が依然として高いなか、市場の関心はまず来週末に掛けて実施される米ジャクソンホール会合だ。なかでも、パウエルFRB議長のコメントが注視されていることは間違いない。短期的には、そんなジャクソンホール会合に向けて発表される米経済指標の内容に要注意だが、それ以外で懸念されているのは前述したフィッチによる「米銀格下げ」警告。まだそれほど大きく材料視されている感はないものの、今後の状況如何ではドルの弱材料として意識される可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は昨日も年初来高値を更新したが146円にはとどかず。そののち、本日東京時間も145円台で上げ渋りの様相だ。ドル高という基調そのものに変化はないが、短期的なドル高の流れは一服か。
仮に、ドルが下値を探る動きとなった場合のサポートは、まず昨日安値145.11円。それを下回ると144.20円レベル、144円前後が次のサポートに。
本日は米経済指標として、7月の住宅着工件数や同鉱工業生産などが発表される予定となっている。また、7月に実施されたFOMCの議事録公開も予定されており、内容如何では相場の波乱要因に。さらに南米帰り、再び米国に立ち寄ることが見込まれている台湾副総統の動きも一応要注意かもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは144.80-146.00円。ドル高・円安方向は昨日高値145.86円が最初の抵抗。超えれば146円台乗せ、146.10円レベルを目指す。
対するドル安・円高方向は昨日安値の145.11円をめぐる攻防にまず注目。ただ、下回っても円買い介入などでなければ底堅そう。144円前半から半ばでは下げ止まりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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