東京市場は連日の高値更新、実体経済への影響を考慮すると介入は難しい?(23/8/15)

東京時間のドル・円は、為替介入への警戒感から上値は重くなったものの、米国金利が一段と上昇したことなどを受けて、145円60銭と昨年11月の水準まで買われた。

東京市場は連日の高値更新、実体経済への影響を考慮すると介入は難しい?(23/8/15)

東京市場は連日の高値更新、実体経済への影響を考慮すると介入は難しい?

【本日の東京市場】

東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、為替介入への警戒感から上値は重くなったものの、米国金利が一段と上昇したことなどを受けて、145円60銭と昨年11月の水準まで買われた。

昨晩の海外時間では目立った材料が観測されなかったが、米国金利の上昇が継続し日米金利差拡大を意識したドル買いが継続。昨日の東京時間でつけた年初来高値145円23銭をあっさり上回る展開に。15日に控えている米小売売上高への期待感もドル買いが強まる要因となった。

東京時間では、朝方、米2年債利回りが4.9775%と5.0%台に迫る水準まで利回りが拡大。ドルもそのタイミングで145円60銭まで買われた。一方、為替介入が昨年に実施された水準に達していることから、朝の買い一巡後は積極的なドル買いは手控えられた。なお、朝方発表された4−6月期の実質国内総生産(GDP)速報値(年率)が、前期比6.0%増と市場予想(同2.9%増)を大幅に上回ったことから日経平均は反発した。

ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:145円53銭
高値:145円60銭
安値:145円32銭
終値:145円46銭 

ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:158円72銭
高値:158円85銭
安値:158円53銭
終値:158円75銭

豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:94円41銭
高値:94円72銭
安値:94円00銭
終値:94円61銭

ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:184円60銭
高値:184円66銭
安値:184円35銭
終値:184円55銭

日経平均(日本時間9時―15時)
始値:32372円53銭
高値:32403円93銭
安値:32217円52銭
終値:32238円89銭

【本日の海外市場の重要指標】日本時間

18時00分、欧、独ZEW景況感指数、前回:−14.7
18時00分、欧、ユーロ圏ZEW景況感指数、前回:−12.2
21時30分、米、小売売上高(前月比)、前回:0.2%、市場予想:0.4%
21時30分、米、小売売上高(自動車除くコア)(前月比)、前回:0.2%、市場予想:0.5%
21時30分、米、NY連銀製造業景気指数、前回:1.1、市場予想:−0.8
24時00分、米、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が討論会に参加

※予定は変更することがございます。

【テクニカル分析】

日足ベースのドル・円は、7月14日に100日MA水準から反発。6月30日の高値145円08銭と8月3日の高値143円90銭を結んだ上値抵抗ラインと、7月14日の安値137円24銭と7月28日の安値138円07銭を結んだ下値支持ラインによる三角保ち合いを上放れている。6月30日の年初来高値145円08銭をクリアしているほか、日足の一目均衡表でも、雲上限(142円26銭)を上放れていることから、目先のトレンドは強い。

日米金利差拡大を受けたドル買いと、日本政府による為替介入実施への警戒感という構図だが、日本時間15日15時30分時点では、神田財務官による口先介入は行われていない。さすがに実弾による介入の前には、「一方的な為替の動きを憂慮している」「あらゆる措置を排除せず、為替市場において必要な対応をとる準備がある」「激しい動きは望ましくない」「スタンバイの状態と考えてもらってもいい」といった口先介入が必要だ。

8月7日の安値141円52銭から一週間で4円ドル高円安に振れていることから、ある程度一方的な動きと言えよう。ただ、昨年9月8日の3者会合後に神田財務官が残した「急激な円安が経済、物価に与える影響を高い緊張感をもって注視していく必要がある」とはいささか状況が異なる。昨年と比べると今年の物価高は一服(高止まり)しており実体経済に与えるインパクト(変化率)は昨年よりも軽微と言えよう。2011年の円売りドル買い介入、昨年の円買いドル売り介入、いずれも「実体経済及び国民の生活への影響を抑える」といった大義名分があった。

この大義名分がない状況下、今の為替水準では口先介入すら入れにくいのかもしれない。となれば、昨年10月の150円水準まで、ヘッジファンドなどの投機筋がドルを押し上げてくる可能性はある。神田財務官による口先介入の有無、そして、その発言内容、使用するフレーズに注目が集まる。

今晩の海外時間は、年初来高値圏でのせめぎあいのなか、「口先介入ですらまだ先」という考えの元、ドルじり高の展開を想定する。上値メドは年初来高値より上の146円30銭、下値メドは昨日安値水準の144円70銭とする。

東京市場は連日の高値更新、実体経済への影響を考慮すると介入は難しい?

ドル円日足

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