ドル円、年初来高値を連日で更新。日本政府・当局による口先介入の効果は限定的(8/16朝)

15日(火)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、年初来高値を連日で更新。日本政府・当局による口先介入の効果は限定的(8/16朝)

ドル円、年初来高値を連日で更新。日本政府・当局による口先介入の効果は限定的

〇ドル円、米長期金利の上昇と人民元のサプライズ利下げによるドル買いに145.87まで上昇
〇その後、鈴木財務相、神田財務官の円安けん制発言、米株軟調に米国時間朝方に145.10まで反落
〇売り一巡後は持ち直し145円台半ばでの推移、米7月小売売上高は予想を上回る
〇ユーロドル、中国の指標不調、米長期金利の上昇に一時1.09割れるも買い戻される
〇ドル円、ローソク足が主要テクニカルポイントの上で推移、買いシグナルも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも円キャリートレード継続期待など、ドル円相場上昇材料揃う
〇昨年高値151.95を抜けてくるまでは当局が実弾介入に踏み切らない可能性高いか
〇本日の予想レンジ:144.75ー146.25

海外時間のレビュー

15日(火)のドル円相場は堅調な値動き。(1)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米2年債利回りは7/7以来の高水準となる5.00%へ急上昇、米10年債利回りは昨年10/24以来の高水準となる4.27%へ急上昇)や、(2)対人民元でのドル買い圧力(中国の主要経済指標が軒並み予想比下振れ→中国人民銀行によるサプライズ利下げ→人民元相場急落→米ドル急伸→ドル円連れ高)、(3)前日高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、昨年11/10以来、約9カ月ぶり高値となる145.87まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)日本政府・当局による介入警戒感(昨日は鈴木財務相より「投機筋の動きがあればしかるべき措置をとる」との発言が見られた他、神田財務官からも「為替相場について過度な変動は望ましくなく、高い緊張感を持って注視している」との発言あり)や、(5)米長期金利の上昇一服、(6)米主要株価指数の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値145.10まで反落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間8/16午前5時40分現在)では、145.57前後で推移しております。尚、昨日発表された米経済指標は、米7月小売売上高(結果0.7%、予想0.4%、※前月比)が市場予想を上回る一方、米8月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果▲19.0、予想▲0.9)や、米8月NAHB住宅市場指数(結果50、予想56)が市場予想を下回るなど、強弱まちまちの結果となりました。

15日(火)のユーロドル相場は振れを伴いつつも方向感を見出せず。(1)中国経済の先行き不透明感(昨日発表された中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、中国7月固定資産投資は軒並み冴えない結果)や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)ECBによる金融引き締め休止観測が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0897まで下落しました。しかし、前日安値1.0875をバックに下げ渋ると、(4)米長期金利の上昇一服や、(5)ドイツ債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力(ドイツ10年債利回りは3/7以来の高水準となる2.72%へ急上昇)が支援材料となり、日本時間22時過ぎに、高値1.0953まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間8/16午前5時40分現在)では、1.0903前後で推移しております。尚、昨日発表されたドイツ8月ZEW景況感指数(結果▲12.3、予想▲15.0)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は連日で年初来高値を更新するなど、力強い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、1時間足や4時間足などの下位足でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(昨日はミネアポリス連銀カシュカリ総裁より「利下げまでは程遠い」「利上げが終了したと宣言する準備は私にはない」とのタカ派的な発言あり)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(円金利の上昇余地限定的)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード継続など、ドル円相場の更なる上昇を連想させる材料が揃っています。政府・当局による口先介入が都度上値を抑制する可能性があるものの、昨年の介入時と現在を比較すると、悪い円安か否かといった点で大きな違いが見られることから、昨年10/21に記録した直近高値151.95を抜けてくるまでは実弾介入に踏み切らない可能性が高いと考えられます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(まずは心理的節目146.00の突破を試すシナリオを想定)。尚、本日は、米7月住宅着工件数や、米7月建設許可件数、米7月鉱工業生産、米7月設備稼働率、米FOMC議事要旨(7/26ー7/27開催分)などに注目が集まります。

本日の予想レンジ:144.75ー146.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、年初来高値を連日で更新。日本政府・当局による口先介入の効果は限定的

ドル円日足

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