ドル高基調継続するも、週末調整の動きなど注意
〇ドル円、東京休場で144.65-90レンジ。動意に欠けるも、一時戻り高値を更新
〇7月の米CPIは予想を下回る内容だったものの、FRB関係者は消極的ながら追加利上げに意欲
〇今週だけでドルは3円を超えるドル高の進行、リスクは間違いなくドル高方向にバイアス
〇ポジションの偏りはなかなかの規模でしっかりとした調整が入るなら、かなりの深押しも
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.90-145.00
<< アジア市場の動き >>
11日のアジア市場はドルが小じっかり。東京休場もあり値動きは限られたが、それでも前日の戻り高値を一時更新している。
ドル/円は144.70-75円で寄り付いたものの、東京休場もあり積極的な動意はうかがえず。値幅も144.65-90円といった30ポイントにも満たない動きだった。しかし、そのなかでも前日に記録したドルの戻り高値144.81円を更新する局面も観測されるなど、ドルは小じっかり。16時現在では寄り付きに近い144.75-80円で推移し、欧米市場を迎えている。
材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、注視されていた7月の米CPI(消費者物価指数)は予想を下回る内容。市場で失望を呼ぶなか、アトランタ連銀総裁から「FRBは高すぎるインフレ率を目標の2%まで引き下げるために懸命に取り組む」、フィラデルフィア連銀総裁は「FRBはインフレ抑制に向け前進している」、サンフランシスコ連銀総裁「インフレ抑制に向けてまだやるべき仕事がある」との発言が聞かれていた。いずれも具体的な金融政策には触れていないが、消極的ながら追加利上げに意欲を見せたと捉える向きが多く、ドル高の支援要因になっていたようだ。
対して後者は、台湾を訪問していた自民党・麻生副総裁が「戦う覚悟」と発言し、中国側による反発が聞かれるなか、中国政府が3年半ぶりに日本への団体旅行解禁を発表して話題に。一部からは「文句をいうなら、わざわざ日本に来なくてもいい」などといった辛辣な意見も聞かれていた。なお、ウィーンで開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出計画に関し、中国が処理水放出に反対姿勢を示したが、草案には盛り込まれず、逆に「IAEAの関連の取り組みを強く支持する」と表明したことが明らかになっている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、143円を上限とした小レンジに続き、144円を上限とした中レンジも上抜いてきた。今週だけでドルは3円を超えるドル高の進行で短期的にはポジションの偏り、ドル買われ過ぎが気になるものの、リスクは間違いなくドル高方向にバイアスがかかる。年初来高値145.07円がすでに現実的な次の上値メドとして意識されており、場合によっては超えていく可能性も十二分にありそうだ。
日米金融政策への関心が依然として高いなか、前述したように昨日発表された7月の米CPIは失望を誘う内容だったが、要人発言などもあり追加利上げ観測はそれほど大きく後退しなかった。米30年債入札が低調だったこともあり、逆に米金利は上昇に転じてもいたようだ。もちろん予断を許さないものの、そうした視点に立つならば、月末に予定されているジャクソンホール会合などを視野に捉えつつ、やはりドル高基調そのものはまだしばらく続く可能性もある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように144円を上限とした「中レンジ」もしっかりと上抜けてきた。一目均衡表でみると、足もと142.80円台までレベルを切り上げてきた先行帯の雲の上限をサポートに、日足もレベルを切り上げている。
なお、そんな一目の雲の上限は今週をピークに来週には142円割れまで緩やかに下降することが予想されている。ドル高基調そのものは変わらないにしても、ドルは連れる格好で上げ渋る展開になることもありそうだ。
本日は米経済指標として、7月の生産者物価指数や8月のミシガン大学消費者信頼感指数速報などが発表される予定となっている。好数字となればドル買いの反応が期待されるものの、ドルは週明けから3円を超える上昇をたどっており調整を懸念する声も少なくない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.90-145.00円。ドル高・円安方向は本日アジアで示現した144.90円レベルが最初の抵抗。超えれば、いよいよ145.07円が名実とも視界内に。
対するドル安・円高方向は144円割れ、143.90円レベルをめぐる攻防にまず注目。下回っても底堅そうだが、ポジションの偏りはなかなかの規模でしっかりとした調整が入るなら、かなりの深押しも。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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