ドル円、143円台半ばへ急上昇。前週末金曜日以降の下げ幅の全値戻しを概ね達成(8/9朝)

8日(火)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、143円台半ばへ急上昇。前週末金曜日以降の下げ幅の全値戻しを概ね達成(8/9朝)

ドル円、143円台半ばへ急上昇。前週末金曜日以降の下げ幅の全値戻しを概ね達成

〇ドル円、アジア時間朝方にかけ142.40まで軟化後、米国時間に143.50まで急伸
〇本邦6月勤労統計における実質賃金低下、米長期金利の低下幅縮小等が背景
〇ユーロドル、伊政権の突然の銀行超過利潤課税等に米国時間朝方にかけて安値1.0930まで下落
〇ドル円、ローソク足が主要テクニカルポイントの上で推移、買いサインも継続、地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード継続期待がサポート
〇明日に米インフレ指標の発表控え、本日は静かな動きか
〇本日の予想レンジ:143.00ー144.00

海外時間のレビュー

8日(火)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値142.40まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の底堅い動き(リスク選好の円売り圧力)や、(2)本邦6月勤労統計における実質賃金(結果▲1.6%、前回▲0.9%)の更なる低下、(3)上記2を背景とした日銀による金融緩和の修正観測の後退(実質賃金の伸び率鈍化→物価目標達成時期の後ろ倒しリスク→金融緩和の長期化観測再燃)、(4)円金利低下に伴う円売り圧力、(5)短期筋のショートカバー(米CPIや米PPIを控えたポジション調整)、(6)米長期金利の低下幅縮小が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値143.50まで急伸しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/9午前5時30分現在)では、143.40前後で推移しております。尚、昨日はフィラデルフィア連銀ハーカー総裁より「金利を安定的に維持できる段階にあると思う」「おそらく来年利下げを開始することになるだろう」といったハト派的な発言が見られた一方、リッチモンド連銀バーキン総裁より「依然としてインフレ率が高すぎる」とのタカ派的な発言が見られました。

8日(火)のユーロドル相場は急反落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力を背景に、アジア時間引けにかけて、高値1.1012まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)イタリア政府による銀行に対する40%の超過利潤税の課税承認や、(3)上記2を背景とした欧州金融株の急反落(欧州金融株下落→欧州株連れ安→市場心理悪化→リスク回避のユーロ売り再開)、(4)ECB月次調査によるユーロ圏の期待インフレ率の更なる低下(向こう12カ月間の期待インフレ率は前回の3.9%から3.4%に低下、今後3年間の期待インフレ率は前回の2.5%から2.3%へと低下)、(5)上記4を背景としたECBによる金融引き締め休止観測が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0930まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/9午前5時30分現在)では、1.0953前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は8/3に記録した約1カ月ぶり高値143.88をトップに反落に転じると、週明け8/7に一時141.52まで急落しましたが、昨日は一転して買い戻しが優勢となり、米国時間午後にかけて143.50まで急伸しました(全値戻しを概ね達成)。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上限、ボリンジャーミッドバンド、21日線、50日線、90日線、200日線)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(来週前半には強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」も成立見込み)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる年内追加利上げ観測の残存(利上げサイクル継続にも係わらず米経済は堅調さを維持→賃金インフレ継続→追加利上げ観測再燃)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は指値オペを通じて円金利の上昇を抑え込む姿勢を明確化→円売り安心感)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの継続期待など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(6/30に記録した直近高値145.07も射程圏内)。

但し、本日は中国7月消費者物価指数(10:30)や、中国7月生産者物価指数(10:30)、米MBA住宅ローン申請指数(20:00)以外に目立った経済イベントが予定されておらず、また、明日以降に今週のメインイベントとして注目されている米国のインフレ指標(8/10の米7月消費者物価指数、8/11の米7月生産者物価指数)が控えているため、様子見ムードの影響からアジア時間・欧米時間共に静かな動きが続きそうです。

本日の予想レンジ:143.00ー144.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、143円台半ばへ急上昇。前週末金曜日以降の下げ幅の全値戻しを概ね達成

ドル円日足

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