東京市場のドルは値幅3円超の乱高下、YCC運用柔軟化の影響を見極める必要あり
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日銀金融政策決定会合の結果発表後、上下の値幅が3円を超える乱高下する展開となった。
昨晩の海外時間では、28日まで開催されている日銀会合にて、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の修正案を議論すると報じられたことから、円が主要通貨に対して買われる展開となった。ドルは1%超の下落で138円76銭まで下落。ユーロは2%超下落し、152円19銭と今年6月15日以来の水準まで売られた。
東京時間では、12時30分頃、日銀会合の結果「YCC運用の柔軟化」が伝わった。発表直後は、ドルが買われ141円台をつける場面も見られたものの、新発10年国債利回りの上昇を受けて、138円07円まで売られる乱高下に。株式市場では、日経平均の下げ幅が800円を超す場面が見られるなど、為替市場、株式市場、債券市場ともに荒い動きとなった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:139円14銭
高値:141円08銭
安値:138円07銭
終値:139円12銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:152円83銭
高値:154円92銭
安値:151円41銭
終値:152円87銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:93円42銭
高値:94円22銭
安値:91円81銭
終値:92円81銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:178円10銭
高値:180円60銭
安値:176円32銭
終値:178円02銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:32444円42銭
高値:32846円97銭
安値:32037円55銭
終値:32759円23銭
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
18時00分、欧、ユーロ圏景況感指数、前回:95.3、市場予想:95.1
21時30分、米、雇用コスト指数(前期比)、前回:1.2%、市場予想:1.1%
21時30分、カ、実質GDP(前月比)、前回:0.0%、市場予想:0.4%
21時30分、米、個人所得(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.5%
21時30分、米、個人支出(前月比)、前回:0.1%、市場予想:0.3%
21時30分、米、PCEデフレータ(前年比)、前回:3.8%、市場予想:3.0%
21時30分、米、PCEコアデフレータ(前年比)、前回:4.6%、市場予想:4.2%
23時00分、米、ミシガン大学消費者信頼感指数、前回:72.6、市場予想:72.6
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円をボリンジャーバンド(20日移動平均線(MA)、±2σ)で確認すると、7月6日以降は、6営業日連続陰線示現というきつい下げとなり、バンド下限を下回る場面が見られたものの、100日MA(137円37銭)水準がサポートラインとして意識され反発。足元、20日MA(140円80銭)に頭を押さえられた格好となっている。
日足の一目均衡表では、雲上限(141円07銭)水準を割り込んでおり、雲下限(137円97銭)手前で何とか下げ止まった。本日の乱高下を受けて、日足ベースでは上下に長い影(ひげ)を残す公算が大きく、方向感がつかみにくい。
日銀は本日の会合で、長期金利の上昇抑制を目的に国債を買い入れる指値オペの水準を0.5%から1.0%に引き上げたほか、長期金利の上下0.5%程度の許容変動幅に「メド」との表現を加えた。債券市場では、長期金利が上昇し、2014年9月以来の0.575%をつけた。日米間だけではなく、日本と主要国との金利差の縮小が意識されて円は主要通貨に対して買われやすい地合いとなりそうだ。
ただ、東京時間での株式、為替、債券各市場の乱高下は、今回の決定内容に対して消化不良を起こしているように見える。まずは日本の長期金利がどのような推移を示すのかを見極める必要があるだろう。基本的には円が主要通貨に対して買われやすい地合いに変わりつつあると推測するが、来週まで各市場の方向性を見極めたいところだ。
なお、同時に発表された「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、2023年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを前年度比2.5%上昇(従来は1.8%上昇)に大幅に引き上げた。一方、2024年度は同1.9%上昇と従来の水準(同2.0%上昇)に引き下げ、2025年度は同1.6%上昇を維持した。2024年度見通しを引き下げたことに伴い、「粘り強く金融緩和を行っていく」という日銀の大義名分は維持できたと言えよう。
今晩のドルは、東京時間ほどではないが上下に振れる地合を想定する。上値メドは、20日MA水準の140円80銭、下値メドは本日の安値水準である138円00銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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