欧米のPMI悪化で一時141円を割り込んだところを買われて上昇基調維持
〇ドル円、7/24の欧米PMI悪化を受け140.77まで下げたもののしっかり買われ、本日早朝141.50超え
〇独英欧等に比べ米PMIは製造業が予想を上回る、ドル売りは早々に一巡して反発に転じる
〇日銀の現状維持姿勢を背景に、ドル円は小反落を買われながら高値切り上げを試しやすい状況
〇米10年債利回りは上昇、ダウは11連騰、目先はやや調整的に債券売り・利回り上昇反応が優勢
〇141円を上回るうちは141.94超えから142円台前半を目指す上昇を想定
〇141円割れからは弱気転換注意として140.77試し、割りこんでくると140円台序盤への下落を想定
【概況】
ドル円は6月30日の年初来高値145.06円からの下落が7月14日安値137.24円で落ち着いて上昇再開に入った。7月18日には日銀植田総裁がG20財務相・中銀総裁会合後の会見で金融緩和維持姿勢を述べ、21日夕には7月27-28日の日銀金融政策決定会合での現状維持見通しとの報道をきっかけに141.94円まで急伸した。その後、神田財務官による円安けん制もあって142円手前からいったん調整安に入り、24日は欧米のPMIが軒並み悪化する中で140.77円まで下げたものの、しっかり買われて25日早朝には141.50円を超えてきている。
今週はFOMC(7/25-26開催、27日未明に政策金利発表とパウエルFRB議長会見)、27日夜にECB理事会(追加利上げ予想、ラガルド総裁会見)、日銀金融政策決定会合(7/27-28日開催、昼頃政策発表、午後に植田総裁会見)と重要イベントが続くため金融市場全般が大きく動きやすいところだが、ドル円は日銀の現状維持姿勢を背景に小反落を買われながら高値切り上げを試しやすい状況と思われる。
【欧米のPMIは総じて悪化】
7月24日は欧米のPMI速報値の発表が相次いだがいずれも予想を下回る悪化となった。
S&Pグローバルによるドイツの7月製造業PMIは38.8となり、6月の40.6から悪化して市場予想の41.0を下回った。サービス業PMIは52.0となり、6月の54.1から悪化して市場予想の53.1も下回った。総合PMIは48.3で6月の50.6から悪化して予想の50.3を下回った。
7月のユーロ圏製造業PMIは42.7となり、6月の43.4から悪化して市場予想の43.5への若干の改善期待を裏切り、サービス業PMIは51.1となり6月の52.0から悪化して市場予想の51.6を下回った。総合PMIは48.9で6月の49.9から悪化して8か月ぶりの低水準に落ち込んだ。
7月の英製造業PMIは45.0となり、6月の46.5から悪化して市場予想の46.0を下回り、サービス業PMIは51.5で6月の53.7から悪化して市場予想の53.0も下回った。
7月の米製造業PMI速報値は49.0となり、6月の46.3から上昇して市場予想の46.1に反して改善したが、サービス業PMIは52.4で6月の54.4から悪化して市場予想の54.0を下回った。総合PMIは52.0で6月の53.2から悪化して予想の53.0を下回った。
独PMIの悪化発表等をきっかけにユーロドルが急落、ユーロ円も下げたため、ドル円はユーロ安円高により141円割れへ失速し、 米PMI発表直後に140.77円まで安値を切り下げたが、独英欧等に比べて米PMIは製造業が予想を上回りサービス業と総合で50以上を維持したためにこの件でのドル売りは早々に一巡、米長期債利回りが上昇したのを見てドル円は反発に転じた。
【米10年債利回りは上昇、ダウは11連騰】
7月24日の米長期債利回りは総じて上昇した。7月25-26日のFOMCにおける0.25%利上げについては既定路線としてほぼ確実視されているが、9月ないし11月の追加利上げについてはまだ可能性が残るため、目先はやや調整的に債券売り・利回り上昇反応が優勢のようだ。またNYダウの連騰による株買い債券売りも影響していると思われる。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の3.88%、7月7日に4.09%まで上昇したところから19日に3.73%まで低下したが、その後は持ち直している。30年債利回りは0.03%上昇の3.93%、7月10日の4.09%から19日に3.83%まで低下したがその後はやや持ち直している。2年債利回りは0.07%上昇の4.92%、7月6日の5.12%から7月13日に4.61%まで下げた後は持ち直している。
一方でNYダウは前日比183.55ドル高と上昇して2017年2月以来の11連騰となり、ナスダック総合指数も26.06ポイント高と反発した。ナスダックは長期金利上昇を嫌っているものの、ダウは企業業績の好調さによりこれまでの金融引き締めによる景気減速は限定的なものにとどまってリセッションを回避するとの楽観が優勢だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は7月19日夜の上昇で7月17日夜高値を超えたため、7月14日午前安値137.24円と7月18日夜安値137.71円をダブル底とした上昇期に入っているとし、高値形成期を7月17日夜高値を基準として20日夜から24日夜にかけての間と想定した。
7月21日夕刻に142円へ迫ってから24日夜に一時141円を割り込んだため、21日夕高値で目先のピークを付けて調整安に入ったが、すでに24日夜安値を押し目形成として上昇再開に入っている可能性がある。
7月21日夕高値141.94円を超えないうちは24日夜安値140.77円割れから下落継続に入って27日夜にかけての安値試しを続ける可能性が残るが、21日夕高値超えからは新たな上昇期入りとして28日夕にかけての上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月24日夜の下落時に遅行スパンが悪化したがその後の反発で好転しやすい位置につけている。先行スパンの上部を試したもののその後の反騰で上抜いた状況を維持している。このため遅行スパン好転からは高値試し優先とするが、先行スパンに潜り込むところからは下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は7月21日夕刻の急伸時に80ポイントを超えてから24日夜に40ポイント割れまで反落したが、その後の切り返しにより60ポイントまで戻しているので、目先の調整を消化して上昇再開に入っている印象だ。50ポイント以上を維持するうちは70ポイント台への上昇を想定し、次に45ポイントを割り込むところからは下げ再開を警戒する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.00円を下値支持線、7月21日夕高値141.94円を上値抵抗線とする。
(2)141円を上回るうちは141.94円超えから142円台前半(142.10円から142.40円)を目指す上昇を想定する。142.30円以上は反落警戒とするが、141円台を維持しての推移なら26日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)141円割れからは弱気転換注意として24日夜安値140.77円試しとし、割りこんでくると140円台序盤(140.25円から140.00円)への下落を想定する。140.20円以下は反発注意とするが、140.77円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7/25(火)
IMF、世界経済見通し
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
14:00 日銀 基調的なインフレ率を捕捉するための指標
17:00 (独) 7月 IFO企業景況感指数 (6月 88.5、予想 88.0)
22:00 (米) 5月 連邦住宅金融局FHFA住宅価格指数 前月比 (4月 0.7%、予想 0.6%)
22:00 (米) 5月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (4月 -1.7%、予想 -2.2%)
23:00 (米) 7月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (6月 109.7、予想 111.8)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 -7、予想 -10)
26:00 (米) 財務省5年債入札
7/26(水)
08:50 (日) 6月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (5月 1.6%、予想 1.5%)
10:30 (豪) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 5.6%、予想 5.5%)
10:30 (豪) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (1-3月 1.4%、予想 1.0%)
10:30 (豪) 4-6月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (1-3月 7.0%、予想 6.2%)
14:00 (日) 5月 景気一致指数CI・改定値 (速報 113.8)
14:00 (日) 5月 景気先行指数CI・改定値 (速報 109.5)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数(年率換算) (5月 76.3万件、予想 72.4万件)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数 前月比 (5月 12.2%、予想 -5.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 5.00-5.25%、予想 5.25-5.50%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、記者会見
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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