ドルに続伸リスクも基本は来週の材料待ちか
〇ドル円、140.05-10で寄り付き139.75レベルへと小幅に値を下げるも底堅く、140円挟みの往来相場
〇昨日NY時間に一時140.49まで上値を広げ、ドルはもう一段の戻りを試す可能性も
〇来週実施される日米欧の金融政策発表への関心が高い
〇欧米時間のドル円予想レンジは139.80-141.20、ドル高・円安方向は昨日高値140.49が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値139.75レベルの攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
21日の東京市場は往来相場。早い時間帯に注目の全国消費者物価指数が発表されたものの、140円挟みの一進一退にとどまった。
ドル/円は140.05-10円で寄り付いたのち、当初はややドル安。発表された注目の全国消費者物価指数が予想を上回る伸びとなったことも手伝い、139.75円レベルへと小幅に値を下げるも底堅かった。底入れしたのちはドルが再び買われ、その後は140円挟みの往来相場に。16時現在では140.25-30円で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米中覇権争い」と「黒海情勢」について。
前者は、中国外交トップの王共産党政治局員が24-25日に開かれる新興5ヵ国(BRICS)関連の安全保障会議に出席するため南アフリカを訪れるうえ、前後にナイジェリアやケニア、トルコを歴訪し各国首脳と会談することを明らかにした。それに対して、米国務省はブリンケン国務長官が来週24-29日に南太平洋の島国トンガやNZ、豪州を歴訪すると発表している。また、それとは別に9月の国連総会前後に、バイデン大統領が太平洋島しょ国首脳らとの2回目の首脳会合を開催するとの発表もされており、双方とも覇権争いがさらに活発化しているようだ。
対して後者は、ロシアによる「穀物の輸出合意離脱」を受け、黒海沿岸が新たな戦場となり緊迫度が増してきた。19日には早々に、ロシアによる黒海沿岸空爆実施が確認されたほか、今度はウクライナサイドが「すべての船舶が軍事関連物資を運搬している可能性のある船舶と見なす」と発表し物議を醸していた。そうしたなか、米国家安全保障会議(NSC)報道官はロシアが黒海で民間船舶を攻撃する恐れがあるとの警告を発したことに対し、ロシアの駐米大使は「黒海の民間船舶攻撃は計画していない」と火消しに動いていたという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は14日に安値137.25円を示現後、ドルがさらなる上値トライの動き。昨日はNY時間に一時140.49円まで上値を広げている。これは高値145.07円を起点とした下げ幅のフィボナッチで見た場合、38.2%戻し(140.25円)を上抜けており、さらなる戻りも期待できる足形だ。来週の日銀会合などにらみつつ、ドルはもう一段の戻りを試す可能性もあるだろう。
市場は日米を中心とした金融政策への関心が依然として高く、来週実施される日米欧の金融政策発表が早くも注視されている。ちなみに、米国については7月に再び利上げを実施するものの、そこで利上げは打ち止めになるといった見方が大勢か。それに対して、日本は「修正」が行われる公算はかなり低いとみられるものの、本日発表された全国消費者物価指数の上振れもあり修正期待派も一部に残存しているようだ。いずれにしても、来週の実際の日米ともに結果を見極めたいとの向きが優勢となっているようだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場のレンジが連日切り上がっている。そして本日東京時間は目先高値こそ更新できていないが、140円台を中心とした値動きで下値はさらに切り上がってきたのかもしれない。油断は禁物ながら、ドルはいま一段の戻りを試す可能性もある。昨日高値140.49円を超えたら、前述したフィボナッチの半値戻しに当たる141.15円レベルがターゲットになりそうだ。
本日はそれほど目立った米経済指標の発表は予定されておらず、そうした意味では材料難か。ただ、米企業の決算発表は引き続き予定されており、また開催される国連安保理での「穀物合意停止の影響協議」なども一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは139.80-141.20円。ドル高・円安方向は昨日高値140.49円が最初の抵抗。超えると141円乗せを目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の139.75円レベルの攻防にまずは注目。ただ割り込んでも下値は堅く昨日安値139.11円では下げ止まりか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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