ドル円見通し 145円到達からの下落一服、週末からやや持ち直す(23/7/18)

137.98円まで失速したが、7月のNY連銀製造業景況指数が市場予想を上回ったことで米長期債利回りが一時的に上昇した局面で139.40円へ高値を切り上げた。

ドル円見通し 145円到達からの下落一服、週末からやや持ち直す(23/7/18)

ドル円見通し 145円到達からの下落一服、週末からやや持ち直す

〇ドル円、7/14午前137.24を付けた後、夜の経済指標発表後139.15まで戻したが、139円台維持できず
〇7/17は137.98まで失速するも、7月NY連銀製造業景況指数が市場予想を上回り139.40へ上昇
〇7/14発表のミシガン大消費者調査の期待インフレ率上昇、ドル安に若干のブレーキをかける
〇米長期債利回りは大幅低下一服の様相、NYダウは6連騰
〇ドル円、7/12当日高安で2円を超えた大陰線を解消出来なければ、一段安懸念残る
〇137.98を上回るうちは、139.40超えから139円台後半を目指す上昇を想定する
〇137.98割れからは7/14午前安値137.24試しとし、底割れからは136円、135円を順次試すと考える

【概況】

ドル円は6月30日の145.06円以降は持ち合い推移から下値追いの展開となり、7月12日夜の米6月CPI前年比が12か月連続の鈍化となったことで138.15円へ下落。さらに13日夜の米6月PPIも鈍化傾向を示したことで14日午前には137.24円を付けて6月30日高値からの下げ幅は7.82円となった。
7月14日夜にかけては137円台序盤に対する売られ過ぎ警戒感から買い戻され、14日夜のミシガン大消費者調査における期待インフレ率の上昇で139.15円まで戻したが、139円台を維持できずに138.74円で週を終えた。週明けの7月17日は週末の戻りに対する修正安で137.98円まで失速したが、7月のNY連銀製造業景況指数が市場予想を上回ったことで米長期債利回りが一時的に上昇した局面で139.40円へ高値を切り上げた。ただ、139円台を維持できず138円台中盤へ下げている状況で、上値の重さが意識されている。

【ミシガン大消費者調査の期待インフレ率は上昇】

米CPIとPPIの鈍化によるドル安にミシガン大の期待インフレ率上昇が若干のブレーキをかけた。7月12日に発表された6月の米CPI(消費者物価指数)前年同月比は3.0%となり、5月の4.0%から大きく鈍化して市場予想の3.1%を下回り12か月連続の鈍化となった。7月13日に発表された6月の米PPI(生産者物価指数)の前年同月比も0.1%で5月の0.9%から大幅に鈍化して市場予想の0.4%も大きく下回り、2020年8月以来の低水準となった。米FRBは6月FOMCで年内あと2回の利上げ見通しであり年内の利下げはないとの姿勢を示したが、7月7日の米雇用統計での就業者増加が鈍かったこととCPIおよびPPIの鈍化により、市場は7月FOMC(7月25-26日開催)での0.25%利上げが既定路線としても9月や11月に追加利上げされずに利上げの打ち止めとなるのではないかと見られて米長期債利回り低下・ドル安反応となった。

7月14日に発表された米ミシガン大による消費者信頼感指数は72.6となり、6月確定値の64.4から大幅に上昇して市場予想の65.5を上回った。2021年9月以来の高水準となり、インフレ指標として注目されている1年先期待インフレ率は6月の3.3%から3.4%へ上昇、5年先期待インフレ率も6月の3.0%から3.1%へ上昇した。消費者信頼感がしっかりして期待インフレ率が前月から上昇したことが米長期債利回り低下とドル安にとっては若干のブレーキ役となり、前日までの6営業日続落による大幅下落に対する突っ込み警戒感をもたらしたようだ。
7月17日夜に発表された7月のNY連銀製造業景況指数はプラス1.1となり、6月にプラス6.6から低下したものの市場予想のマイナス4.3を上回ったことで一時的なドル高反応を招いたいが影響は限定的だった。インフレ指標としては支払い価格が6月の22.0から16.7へ低下、受取価格が9.0から3.9へ低下している。

【米10年債利回りは低下一服の持ち合い、ダウは6連騰】

7月17日の米長期債利回りは概ね低下した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.03%上昇の3.81%となった。7月7日に一時4.094%を付けて3月2日の4.091%を超えて2022年11月以来の高水準に達したが、7月10日から13日にかけて4営業日連続低下で3.76%まで下げたが、14日に0.07%上昇の3.84%へ戻し、17日は3.78%まで低下してから上昇したもののマイナスに終わっており、7月13日の日足陰線レンジ内で下げ渋り的な持ち合いとなっている。
30年債利回りは先週末比変わらずの3.93%となった。7月10日に4.09%まで上昇して2022年11月以来の高水準としたところから4営業日連続で低下し、14日に3.88%まで下げたところから前日比0.03%上昇としたが17日は3.88%から3.95%のレンジで方向感に欠け、7月13日の下落解消には至らずにいる。

利上げに敏感な2年債利回りは0.04%低下の4.74%となった。7月6日に5.12%を付けて今年3月8日の5.08%を超えて2007年以来16年ぶりの高水準に達したところから低下に転じて13日に4.61%まで下げたが、14日は0.14%上昇と戻したものの17日に小幅低下して勢いが続かなかった。
いずれも大幅低下は一服しているもののFRBによる追加利上げ姿勢が鈍るとの見方が優勢となった状況を反映している。
一方でNYダウの7月17日は前日比76.32ドル高となり7月10日から6営業日続伸した。ナスダック総合指数は7月10日からの4連騰後に14日は24.87ポイント安と下げたが17日は131.25ポイント高と上昇して昨年10月13日安値20088.83ポイント以降の高値を14274.41ポイントまで伸ばしている。株式市場は利上げ終了ヘ向けたプロセスを先取りし、金融引き締めによる今後の景気減速もリセッションには陥らないと楽観して強気優勢の流れとなっている。

【7月12日の日足大陰線を超えないうちは一段安懸念が残る】

ドル円は7月6日から13日まで6営業日連続の日足陰線で下落したところから14日は安値を切り下げてからの反発で7営業日ぶりに戻した。6月30日高値から7月14日安値まで7.82円の下落幅だが、3月8日高値137.91円から3月24日安値129.63円までの下落幅8.28円に迫った。下げ幅はまだ小さいが下落角度は3月よりもきつい印象だ。
日足の一目均衡表では9日転換線割れから下落に入り、26日基準線割れから下げ足を速め、遅行スパンが悪化して先行スパンの上部に達した。1月16日と3月24日の安値を結ぶ下値支持線は135円近辺にあり、先行スパンの下限よりも低いため、7月14日安値を割り込む場合は先行スパンの下限から下値支持線の来る135円前後を試す可能性も出てくるところであり、安値更新を回避して戻す場合は7月12日に当日高安で2円を超えた大陰線(高値140.37円)を解消すれば上昇再開感が高まるものの超えないうちは次の下落で安値更新へと進みやすくなると注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

短期的には7月14日午前安値で目先の底を付けて戻しているところであり、138円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは19日にかけての上昇余地ありとするが、7月17日夜安値(137.98円)割れからは弱気転換注意として14日安値137.24円試しとし、底割れからは6月30日高値以降の下落継続として21日午前にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では7月14日午前安値からの反発で遅行スパンが好転して先行スパンからも上抜けたが、両スパンともに悪化への余裕も乏しい。遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落再開と一段安警戒とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は7月14日深夜高値から17日夜高値への高値切り上げに際して指数のピークがほぼフラットな弱気逆行気配がみられるので、55ポイント超えからは上昇継続として60ポイント台後半へ進む可能性があるとみるが、40ポイント割れからは下落再開として20ポイント台への低下へ進むとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月17日夜安値137.98円を下値支持線、7月17日夜高値139.40円を上値抵抗線とする。
(2)137.98円を上回るうちは139.40円超えから139円台後半(139.60円から140円手前)を目指す上昇を想定する。139.75円以上は反落注意とするが、139円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)137.98円割れからは14日午前安値137.24円試しとし、底割れからは136円、135円を順次試す下落期入りと考える。137.98円を割り込んでの推移なら19日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/18(火)
G20財務相・中央銀行総裁会議、関連会合最終日(インド・ガンディーナガル)
10:30 (豪) 豪中銀(RBA) 金融政策会合議事要旨公表
13:30 (日) 5月 第三次産業活動指数 前月比 (4月 1.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 6月 小売売上高 前月比 (5月 0.3%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 小売売上高・除自動車 前月比 (5月 0.1%、予想 0.3%)
22:15 (米) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 -0.2%、予想 0.0%)
22:15 (米) 6月 設備稼働率 (5月 79.6%、予想 79.5%)
23:00 (米) 5月 企業在庫 前月比 (4月 0.2%、予想 0.2%)
23:00 (米) 7月 NAHB住宅市場指数 (6月 55、予想 56)

7/19(水)
休場 インドネシア、マレーシア
07:45 (NZ) 4-6月期 CPI(消費者物価) 前期比 (1-3月 1.2%、予想 0.9%)
07:45 (NZ) 4-6月期 CPI(消費者物価) 前年同期比 (1-3月 6.7%、予想 5.9%)
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (5月 0.7%、予想 0.4%)
15:00 (英) 6月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (5月 8.7%、予想 8.2%)
15:00 (英) 6月 CPIコア指数 前年同月比 (5月 7.1%、予想 7.1%)
15:00 (英) 6月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (5月 11.3%、予想 10.9%)
18:00 (欧) 6月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 5.5%、予想 5.5%)
18:00 (欧) 6月 HICPコア指数・改定値) 前年同月比 (速報 5.4%、予想 5.4%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前月比 (4月 -0.4%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前年同月比 (4月 0.2%)

21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算 (5月 163.1万件、予想 148.0万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 前月比 (5月 21.7%、予想 -9.3%)
21:30 (米) 6月 建設許可件数・年率換算 (5月 149.1万件、予想 149.9万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数 前月比 (5月 5.2%、予想 0.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る