ドル円、下落後に全値戻しを達成、下値の堅さが鮮明に。年初来高値更新が射程圏内
〇ドル円、米国時間に144.09まで下落するも、米長期金利上昇等で144.76まで反発
〇無難なFOMC議事要旨、FRB関係者のタカ派発言に米10年債利回りは3.95%に上昇
〇ユーロドル、欧州指標不冴え等に米国時間午後にかけ一時1.0851まで下落
〇ドル円、テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズもドル円続伸の材料揃う
〇引き続きドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日雇用系含め米重要指標発表多く要注意
〇本日の予想レンジ:144.00ー145.75
海外時間のレビュー
5日(水)のドル円相場は下落後に全値戻し。(1)公表相場決定にかけてのドル買い・円売り(5・10日要因)や、(2)日経平均株価の下げ幅縮小、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力(日米金利差拡大に着目したドル買い・円売り)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、一時144.74まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)政府・日銀による介入警戒感や、(5)欧米株の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(6)米5月製造業受注指数(結果+0.3%、予想+0.8%)の市場予想を下回る結果、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値144.09まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)米長期金利の再上昇(米10年債利回りが3/9以来となる3.95%へ急上昇)や、(9)上記8を背景とした対主要通貨での米ドル急伸、(10)FOMC議事要旨の無難な結果(ノーサプライズだったことに伴う安堵感)、(11)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレ率が依然として高過ぎることに満足していない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値144.76まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間7/6午前5時30分現在)では、144.68前後で推移しております。
5日(水)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)仏5月製造業生産(結果+1.4%、予想▲0.3%)の良好な結果や、(2)仏5月鉱工業生産(結果+1.2%、予想▲0.2%)の良好な結果、(3)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「さらなる利上げが必要となるだろう」「引き締めはまだ終わっていない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0909まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)ユーロ圏6月総合PMI(結果49.9、予想50.3)の冴えない結果や、(5)ユーロ圏5月生産者物価指数(結果▲1.9%、予想▲1.7%)の市場予想を下回る結果、(6)ECBによる「1年先の期待インフレ率が前回5月調査時点の4.1%から3.9%へ低下した」との結果発表、(7)イタリア中銀ビスコ総裁による「さらなる利上げのみがインフレ抑制のために必要な方法ではない」との慎重な発言、(8)欧州株の冴えない動き、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0851まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/6午前5時30分現在)では、1.0854前後で推移しております。
本日の見通し
昨日のドル円は下落後に全値戻し(144.74→144.09→144.76)を達成するなど、下値の堅さを再確認する結果となりました。1時間足、4時間足、日足、週足の全てが主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て地合いは極めて強いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(米金利上昇→米ドル買い)や、それに伴う円キャリートレード継続への安心感(円売り安心感)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。政府・日銀による介入警戒感は依然として燻っているものの、昨年高値151.95を突破するまでは、口先介入に留まる(実弾介入には踏み切らない)と見られることから、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(本日は6/30に記録した年初来高値145.07を突破するシナリオを想定)。
尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数(20:00)を皮切りに、米6月チャレンジャーレイオフ調査(20:30)、米6月ADP雇用統計(21:15)、米5月貿易収支(21:30)、米新規失業保険申請件数(21:30)、ダラス連銀ローガン総裁発言(21:45)、米6月総合PMI確報値(22:45)、米6月ISM非製造業景況指数(23:00)、米5月JOLT雇用動態調査(23:00)など、米経済イベントが複数予定されています。この中でも特に、米6月ADP雇用統計と、米5月JOLT雇用動態調査への注目度が高く、これらの数字が市場予想を上回れば、週末7/7に予定されている米6月雇用統計に対する上振れ期待から、ドル買い・円売りに拍車がかかる可能性もあり、米国時間帯のドル円急伸リスクに注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:144.00ー145.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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