当面は高値圏でのもみあいが続く
〇先週のドル円、ECBフォーラムで改めて欧米日の金融政策の差が明確に、6/30に一時145円台乗せ
〇日米金利差はあと0.5%広がる可能性があるが、145円を明確に超えない限り当局介入はなさそう
〇今週は7/7米雇用統計発表に向け連日雇用関連の数値発表、特に7/6 JOLTS求人件数に注目
〇ドル円の水準が145円に近い場合、警戒感からドル高方向への動きは鈍くなりそう
〇今週は143.50レベルをサポートに145.20レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は、引き続き金融政策の方向性の違いから円安の流れが続きました。水曜のECBフォーラムでは主要中銀総裁の講演が行われパウエルFRB議長とラガルドECB総裁がタカ派な発言をしたのに対し、植田日銀総裁は現状維持と改めて円安の流れを再確認し、金曜東京市場では一時145円台乗せとなりました。しかし、当局からの円安けん制発言も連日出ていることから警戒感もあり、目先の高値を見た格好となっています。
ECBフォーラムではパウエル議長が年内2回の利上げを考えるFOMCメンバーが多いことにも言及し、日米金利差はあと0.5%広がる可能性があり、特に理由が無い限りドル円でのドル売りポジションは持ちにくい流れになっていいます。理由があるとすれば当局の発言が一段警戒感を上げる時ですが、これまでは神田財務官の発言が一番強い口調ではあったと思いますが、145円を明確に超えて来ない限りは介入は無さそうですし、参加者としてもどこまでならば買ってよいのかを見極めたいという動きは今後も続くと見られます。
今週は4日が米国の独立記念日で休場となり、3日も短縮取引となることから本格的に動きが出てくるのは水曜以降となりそうです。そして7日の米国雇用統計発表に向けて、連日雇用関連の数字が出てきますので、今週は週半ば以降の米国雇用関連の数字で思惑による上下、そして本番雇用統計がコンセンサスからブレたらそちらに動きやすい週ということになります。
ちなみに現時点での予想は失業率が3.7%(前回3.7%)、NFPが+21.3万人(前回+33.9万人)となっていて、NFPが前回より下がっていますが前回の数字が強かっただけで絶対的な水準としては十分な数字です。ADP雇用者数も事前に発表され参考にする人は多いのですが、ADPの方向と本番雇用統計のNFPの方向は異なることのほうが多く、実際にはあまり参考になりません。それよりも最近注目度が上がっているJOLTSの求人件数の増減を気にした方が良いでしょう。
米国の数字次第で米金利が上下しドルの方向性に影響を与えるわけですが、ドル円の水準が145円に近い場合にはドル高方向への動きは警戒感から鈍くなってきそうです。
テクニカルには日足チャートをご覧ください。
先週示した次のターゲット大台145円を達成しましたので、残すターゲットは昨年高値と今年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しとなる146.64となります。しかし、まだ距離もありますし145円台で新高値をつけてくる時にはより強いけん制発言が出てくるであろうことを考えると、145円よりも円安の水準は誤差の範囲に留まりやすいと言えます。
いっぽうで下値は堅く142円台半ばのサポートよりも上、143円台半ばでは既に買いが出てくると考えられます。介入が出るまでは警戒しながらもドル買いに動くというこれまでの展開に大きな変化は無いと思われます。
今週は143.50レベルをサポートに145.20レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月3日(月)
07:45 NZ5月住宅建設許可
08:50 日銀短観 ☆
10:30 豪州5月住宅建設許可
10:45 中国6月MarkIt製造業PMI ☆
16:00 トルコ6月製造業PMI
16:50 フランス6月製造業PMI
16:55 ドイツ6月製造業PMI
17:00 ユーロ圏6月製造業PMI
17:30 英国6月製造業PMI
22:45 米国6月製造業PMI
23:00 米国6月ISM製造業景況指数 ☆
23:00 米国5月建設支出
**:** 米国市場短縮取引 ☆
7月4日(火)
**:** 米国市場休場
13:30 豪中銀政策金利発表 ☆
15:00 ドイツ5月貿易収支
7月5日(水)
10:45 中国6月MarkItサービス業PMI ☆
15:45 フランス5月鉱工業生産
16:00 トルコ6月CPI
16:50 フランス6月サービス業PMI
16:55 ドイツ6月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏6月サービス業PMI
17:30 英国6月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏5月PPI ☆
20:00 フランス中銀総裁講演 ☆
23:00 米国5月製造業新規受注
27:00 FOMC議事録公表 ☆
29:00 NY連銀総裁講演 ☆
7月6日(木)
10:30 豪州5月貿易収支
15:00 ドイツ5月製造業新規受注
17:30 英国6月建設業PMI
18:00 ユーロ圏5月小売売上高
20:30 米国6月チャレンジャー人員削減数
21:15 米国6月ADP全国雇用者数 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数 ☆
21:30 米国5月貿易収支
21:45 ダラス連銀総裁講演 ☆
22:45 米国6月サービス業PMI
23:00 米国5月求人件数 ☆
23:00 米国6月ISM非製造業景況指数 ☆
24:00 週間原油在庫統計
7月7日(金)
15:00 ドイツ5月鉱工業生産
15:45 フランス5月貿易収支
17:30 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:30 米国6月雇用統計 ☆
25:45 ラガルドECB総裁講演 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月26日(月)
ドル円は金曜に目先の高値をつけたと見られ東京市場ではじり安、欧州市場序盤に官房長官が円安牽制発言を行ったことで143円割れとなったものの143円割れでは押し目買いも根強くNY市場で東京朝方の水準へと戻して引けました。
6月27日(火)
ドル円は東京市場では様子見の横ばい、海外市場に移ってから改めて円売りの動きがドル円、ユーロ円ともに見られました。欧州市場前場に143.94レベルまで買われたものの、警戒感にユーロドルの買いも加わり143.30レベルへと反落。NY市場では前場に強い経済指標をきっかけとして高値を144.18レベルまで切り上げ、高値圏での引けとなりました。
6月28日(水)
ドル円は上下しながらも高値を切り上げる展開が続きました。ECBフォーラムでパウエル議長がタカ派な発言をしたのに対し、植田日銀総裁は緩和維持と改めて日米金利差拡大思惑によるドル買いとなりました。
6月29日(木)
ドル円は上下する動きを挟みながらも着実に高値を切り上げる1日となりました。NY市場では強い経済指標を受けて米金利が上昇する動きとともに144.90レベルの高値をつけ若干押して引けています。
6月30日(金)
ドル円は東京前場に一時145.07レベルの高値をつけたものの週末前かつ牽制発言による警戒感もあってすぐに反落、後場には144円台半ばへと水準を下げました。その後海外市場に移ってからも上値の思い展開が続き、米金利低下によるドル売りが対ユーロで目立った動きからドル円はじり安、144.20レベルまで下げて安値圏で引けました。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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