東京市場のドルは145円台に乗せる場面も、達成感と介入警戒で上値重いか
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、強い経済指標を受けた米利上げ観測の高まりや、日米欧の金融政策格差の再確認などを背景に145円台に乗せる場面が見られた。
昨日の海外時間では、1−3月期米国民総生産(GDP)確定値は、前期比年率2%増に上方修正されたほか、先週の米新規失業保険申請件数は、2021年10月以来の大幅減となった。想定以上に強い米経済が確認されたことで、市場は年内2回の利上げ余地が意識されて、国債は下落。2年債利回りは4.9%台手前まで拡大したことで、ドルは144円台後半まで上昇した。
東京時間では、朝方に発表された6月の東京消費者物価が前年同月比3.2%上昇と市場予想(同3.4%上昇)を下回ったことから日銀の緩和政策継続機運が高まりドルは上昇。昨年11月10日以来の水準である145円07銭まで買われた。ただ、その後、開催された記者会見で、鈴木財務相が「行き過ぎた動きに対して適切に対応する」と円安けん制発言を行ったことからドル買いは一服。144円60銭台まで押し戻された。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:144円75銭
高値:145円07銭
安値:144円62銭
終値:144円68銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:157円28銭
高値:157円59銭
安値:157円21銭
終値:157円25銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:95円84銭
高値:96円08銭
安値:95円59銭
終値:95円92銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:182円57銭
高値:182円96銭
安値:182円48銭
終値:182円71銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:33068円36銭
高値:33232円89銭
安値:32918円77銭
終値:33189円04銭
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
18時00分、欧、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(概算値速報)(前年比)、前回:6.1%、市場予想:5.6%
18時00分、欧、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)(コア)(前年比)、前回:5.3%、市場予想:5.3%
18時00分、欧、ユーロ圏失業率、前回:6.5%、市場予想:6.5%
21時30分、米、個人所得(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.3%
21時30分、米、個人支出(前月比)、前回:0.8%、市場予想:0.3%
21時30分、米、PCEデフレータ(前年比)、前回:4.4%、市場予想:3.8%
21時30分、米、PCEコアデフレータ(前年比)、前回:4.7%、市場予想:4.7%
22時45分、米、シカゴ購買部協会景気指数(PMI)、前回:40.4、市場予想:44.1
23時00分、米、ミシガン大学消費者信頼感指数、前回:63.9、市場予想:63.9
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円をボリンジャーバンド(20日移動平均線(MA)、±2σ)で確認すると、バンド下限の−2σ水準で下影(3月24日安値129円65銭)を残した後は反発。6月15日に1円超の上影(上ひげ)を残したが、翌16日には上影を吸収し年初来高値を更新する強い地合いが見られる。
日足の一目均衡表では、雲上限(137円54銭)を明確に上放れており、「三役好転」が示現している。140円レベルでのもみ合いを上放れ、半年ぶりの水準まで上昇していることから需給面は非常に良好である。目先、昨年一回目の為替介入が入った9月の水準である145円の水準に乗せたことから達成感も意識されよう。
本日の鈴木財務相の記者会見でのコメントは、よくある口先介入の一つであるが、心理的なターゲットだった145円台を付けたことでいったんドル買いは一服している。この水準が昨年9月に一回目の「円買い・ドル売り介入」が発動された水準だったことも、ドル買い一服の要因と考えられる。「為替介入」の有無に対して、円安にポジションを傾けてきた投機筋はセンシティブになっており、145円手前でもみ合いとなる可能性は高い。仮に本日、財務省と金融庁、日本銀行による三者会合が開催されていれば、一気に144円台も割り込む場面はあったかもしれない。
大きなイメージとして、昨日記載した通り「7月末辺りの円買い・ドル売り(ユーロ売りも入る可能性)介入実施」を想定しているが、145円という目先のターゲット達成に伴い、今晩の海外時間は円全面安及びドル高は一服となろう。
今晩のドルは、上記の理由から144円台半ばから145円手前でのもみ合いとなろう。本日の上値メドは、年初来高値水準を下回る145円00銭、下値メドは昨日の安値水準でもある144円10銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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