「介入水準」接近、ドル上値追いどこまで!?
〇本日東京市場のドル円、145円レベルを目前に日本当局の介入警戒感などから調整的な下押しが先行
〇144.10-15まで下落後に反発、144.70レベルまで続伸して年初来高値を更新、欧米市場を迎える
〇単純な金利差から見るとドル高・ユーロ高・円安だが、この先のドル買いには慎重さが求められそう
〇本日は米1-3月期のGDP統計確報、週間ベースの新規失業保険申請件数等の発表予定
〇ドル高円安方向は145円が意識され、しっかり抜ければ146.15レベルがターゲット
〇ドル安円高方向は昨日のNY以降144円を下回っておらず、まずはその攻防に注目
〇欧米時間のドル円予想レンジは143.90-145.00
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場はドルが小高い。一時144.70円レベルまで続伸し、再び年初来高値を更新している。
ドル/円は144.45円レベルで寄り付いたものの、介入警戒感などもあり、調整的な下押しが先行。144.10-15円まで小緩んだ。しかし、ジワリと反発に転じるとドルは小じっかり。前日記録した144.62円を超え、144.70円レベルまで続伸し、16時現在ではそのまま高値圏を維持、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「日米などの金融政策」と「ワグネルの反乱」について。
前者は、ECB年次フォーラムに、ラガルドECB総裁のほかパウエルFRB議長や植田日銀総裁、ベイリー英中銀総裁など主要国の中銀トップが顔を揃え実施した講演が話題に。それぞれ自国の金融政策等について発言したわけだが、そのなかでパウエル氏は「FOMCが7月と9月の会合で政策金利を引き上げる可能性がある」ことを排除しなかった。一方、ラガルド氏は「基本シナリオが続くなら7月に利上げする」と発言。また、植田氏からは「インフレが上向くと確信を持てれば、金融政策の正常化に着手することはあり得る」との考えが示されていたようだ。
対して後者は、ドイツ首相から「ワグネルの武装蜂起でプーチン政権は弱体化した」との発言が聞かれたものの、反面でウクライナのゼレンスキー大統領は「プリコジン氏移動後も戦線に変化はない」として警戒を続ける考えを示していた。なお、ようやく消息が明らかになったプリゴジン氏だが、ベラルーシ大統領から「プーチン氏はプリゴジン氏の『抹殺』を一時企てていた」とのコメントが聞かれたほか、ロシア紙は「プリゴジン氏に近い将校、ロシア軍のスロビキン上級大将が拘束された」と報道。依然としてプリゴジン氏の身の危険が感じられる。
<< 欧米市場の見通し >>
日本当局の円買い介入警戒が根強いなか、ドル高・円安にバイアスのかかった展開は継続。ドル/円は本日東京時間に144.70円レベルまで値を上げ、年初来高値をまたもや更新している。改めて指摘するまでもなく、リスクは依然としてドル高方向。しかし、昨年9月に当局が円買い介入を実施した145円レベルが間近に迫るなか、当局の対応を含めてさらに市場の警戒感は高まってきた。動静には十分に注意を払いたい。
日米欧の金融政策が注目されるなか、開催されていたECB年次フォーラムで米欧の中銀トップがともに追加利上げを示唆した反面、植田日銀総裁は政策転換に含みを残しつつも、「インフレ率の2%回帰を持続的に達成するにはまだ幾分の距離がある」と慎重なスタンスを維持していた。単純な金利差ということでは、やはりドル高・ユーロ高・円安といった感がある。ただ、レベル的にはかなり危険なゾーンに到達しており、ここからのドル買いには慎重さが求められそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は2日続けての年初来高値更新。ドル高基調にも変化はみられない。材料的にも目立った「死角」は見当たらないが、ひとつ気になるのが今年のドル上昇パターン。たとえば、5月4日安値133.50円を起点にした際には同30日140.93まで、約1か月かけて7円強上昇し、一旦ピークアウトとなった。翻り今回は、1日安値138.44円を起点に29日高値144.70円レベルまでやはり1ヵ月、6円強の上昇をたどっている。目先の天井はかなり近づきつつあるのかもしれない。
本日は米経済指標として、1-3月期のGDP統計確報や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定だ。また、最終日を迎える夏季ダボス会議、30日まで実施されるEU首脳会議等も場合によっては波乱要因となるかもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.90-145.00円。ドル高・円安方向は心理的な意味も含めて145円が名実ともに「抵抗」として意識されている。しっかり抜ければフィボナッチポイントの146.15円レベルがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日のNY以降144円を下回っておらず、まずはその攻防に注目か。ただ、下回っても実弾介入でないなら下値は限られそう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2024.11.25
ドル円週間見通し リスク回避的円高とユーロ安等によるドル高で板挟み(24/11/25)
11月15日高値156.74円から11月19日安値153.28円まで失速した後は、153円台へ下げたところを買われつつ155円台後半で売られるやや乱調な騰落を続けている。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:中島 光牙
2023.06.29
東京市場のドルは144円台半ばで推移、連日の年初来高値更新で145円が視野に (23/6/29)
東京時間のドル・円は、円安けん制発言を警戒し上値が重くなる一方、日米欧の金融政策格差が再認識されて144台半ばの年初来高値圏での推移となった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。