介入警戒くすぶるなか、ドルは上値拡大も(6/28夕)

28日の東京市場はドルが強保ち合い。ドル高基調は継続したものの、上値も重く144円台では上げ渋った。

介入警戒くすぶるなか、ドルは上値拡大も(6/28夕)

介入警戒くすぶるなか、ドルは上値拡大も

〇本日東京市場のドル円、144円をはさんだ一進一退をたどる。ドル高基調は継続
〇当局介入警戒感もあり上値は重いものの、昨日144円台を一時回復したことで145円も視界内に
〇ECBフォーラム、ラガルド総裁、パウエルFRB議長、植田日銀総裁、ベイリー英中銀総裁らの発言要注視
〇ドル高円安方向は昨日高値144.17が最初の抵抗、抜ければ介入マジノラインとも言われる145円目指す
〇ドル安円高方向は、東京安値143.75レベルの攻防に注目、下回れば143.30レベルなどがターゲット
〇欧米時間のドル円予想レンジは143.40-144.60

<< 東京市場の動き >>

28日の東京市場はドルが強保ち合い。ドル高基調は継続したものの、上値も重く144円台では上げ渋った。

ドル/円は144.05円レベルで寄り付いたものの、それより上を積極的に買っていく向きは少ない。ドルの高値は144.10円レベルまで。しかし下値を売り込む向きも少なく、143円後半では底堅い。結局、144円挟みの一進一退をたどるなか、16時現在では143.95-00円で推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは「欧州金融政策」と「ワグネルの反乱」について。
前者は、ポルトガルで開催中のECB年次フォーラムの講演で、ラガルドECB総裁が、「見通しに大きな変化がない限り、7月も利上げを続ける」などと強気発言を連発したことがポジティブサプライズに。156円後半で推移していたユーロ/円は157円を超えると、そののち158円近くまで一時値を上げている。
そのほかにも、ラトビア中銀総裁から「インフレ率が高過ぎることから景気が減速してもECBは次回会合以降も利上げを継続する見通し」、ベルギー中銀総裁も「コアインフレが緩和しない場合はさらなる措置が必要」と発言していたようだ。

対して後者は、先週末に一日で終戦となった「ワグネルの乱」以降、消息不明だったワグネル創設者のプリゴジン氏だが、国営通信がルカシェンコ大統領の発言として「プリゴジン氏はベラルーシにいる」と報じ、ようやく居場所が明らかになった。ただ、暗殺など今後不審死に繋がる動きを懸念する声も多く、引き続き動静には要注意だ。
一方、依然としてウクライナに向けた軍事侵攻などについてロシアの犯罪行為を取り沙汰する声が多いなか、前述した「ワグネルの乱」を鎮静化させたとして一部からはプーチン氏称賛の声も挙がっている。北朝鮮に続き、ハンガリーからもそうしたコメントが聞かれたうえ、オルバン首相からは「プーチン政権が弱体化しているとの見方を否定した」と伝えられていた。

<< 欧米市場の見通し >>

週明け26日には失敗したドルの高値更新だが、昨日は再び達成。一時144円台を回復する局面も観測されている。ドル高基調に変化はみられず、昨日示現した戻り高値144.17円を更新する展開に一応注意しておきたい。しかし、本日東京時間にも鈴木財務相などから口先介入が聞かれるなど、145円が近づくなか、市場の円安警戒感はさらに強まりつつある。仮にドルが高値を更新するとしても、右肩上がりにドル高が進行する展開は見込みにくいのかもしれない。

日米欧を中心とした各国金融政策が注目されるなか、前述したように昨日はECB年次フォーラムにおけるラガルド発言が市場の波乱要因となっていた。一方、本日も同じECB年次フォーラムに、ラガルド氏のほかパウエルFRB議長や植田日銀総裁、ベイリー英中銀総裁などが顔を揃え講演を行う予定だ。場合によっては市場の波乱要因になる可能性もあり注意したい。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は当局の介入警戒感もあり上値は重いものの、ドル高方向のリスクが高いという状況に変化は見られない。近くて遠い存在という気もする145円レベルだが、昨日144円台を一時回復したことで視界内には捉えられてきた。早ければ週内にもトライ、あるいは上抜ける局面があっても不思議はない。

ただ、日本当局の介入スタンスには要注意。実弾介入が観測されれば、なし崩し的なドルの下押しもありそうだ。
本日は米経済指標として、5月の小売在庫などが発表されるものの、正直注目度はさほど高くない。しかし、パウエルFRB議長らの講演が予定されているうえ、夏季ダボスも引き続き開催中だ。各種の要人発言にも一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは143.40-144.60円。ドル高・円安方向は昨日高値144.17円が最初の抵抗。抜ければ「介入マジノライン」などとも言われる145円を目指す。
対するドル安・円高方向は、東京安値の143.75円レベルの攻防にまずは注目。下回れば143.30円レベルなどがターゲット。それでも基本的に底堅いイメージながら、実弾介入が観測されればかなりの深押しも。

介入警戒くすぶるなか、ドルは上値拡大も

ドル円日足


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