良好な米経済指標を材料に節目144円台を突破。約7カ月半ぶり高値圏へ
○ドル円、アジア時間朝方に143.28まで軟化後、米国時間にかけて年初来高値144.21まで急伸
○日米金融政策格差に着目したドル買いや、各種の米経済指標の好結果が支援材料
○ユーロドル、ラガルドECB総裁らによるタカ派的発言を受け、米国時間朝方にかけて1.0977まで上昇
○ドル円、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上抜けに成功、テクニカルの地合い極めて強い
○ファンダメンタルズも、FRBの金融引き締め・日銀の緩和長期化観測など続伸を連想させる材料揃う
○ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
○本日の予想レンジ:143.50ー145.00
海外時間のレビュー
27日(火)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値143.28まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日米金融政策格差に着目したドル買い・円売り(円キャリートレード)や、(2)中国株の堅調推移(李強中国首相による「第2四半期の経済成長は第1四半期を上回る見通し」との楽観発言→リスク選好ムード→クロス円上昇→ドル円連れ高)、(3)米5月耐久財受注(結果1.7%、予想▲1.0%)の市場予想を上回る結果、(4)米4月住宅価格指数(結果0.7%、予想0.4%)の市場予想を上回る結果、(5)米4月ケースシラー住宅価格(結果▲1.70%、予想▲2.55%)の市場予想を上回る結果、
(6)米5月新築住宅販売件数(結果76.3万件、予想67.4万件)の市場予想を上回る結果、(7)米6月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果109.7、予想103.8)の市場予想を上回る結果、(8)米6月リッチモンド連銀製造業指数(結果▲7、予想▲13)の市場予想を上回る結果、(9)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(10)米主要株価指数の堅調推移が支援材料となり、米国時間にかけて、年初来高値144.21(昨年11/10以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/28午前4時50分現在)では、144.05前後で推移しております。
27日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0903まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)中国株の堅調推移(李強中国首相による「第2四半期の経済成長は第1四半期を上回る見通し」との楽観発言→リスク選好ムード)や、(2)ラガルドECB総裁による「ターミナルレートに到達した兆候はない」「ユーロ圏のインフレは高すぎる、賃金上昇からの影響が最近増加」とのタカ派的な発言、(3)リトアニア中銀シムカス総裁による「利上げサイクルはまだ終わっていない」「インフレ目標2%を達成するため、制約的な金利水準まで引き上げる必要がある」とのタカ派的な発言、(4)ラトビア中銀カザークス総裁による「インフレ率が高過ぎることから景気が減速してもECBは次回会合以降も利上げを継続する見通し」とのタカ派的な発言、
(5)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(6)欧州株の堅調推移が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0977まで上昇しました。もっとも、その後は、(7)米経済指標の良好な結果や、(8)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/28午前5時00分現在)では、1.0962前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時144.21まで急伸するなど、約7カ月半ぶり高値圏へと急伸しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、21日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、昨年10/21高値151.95と本年1/16安値127.22を起点としたフィボナッチ61.8%戻し142.50など)の上抜けに成功していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、1時間足や4時間足など下位足に留まらず、週足などの上位足でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て地合いは極めて強い(短期的にも中長期的にも更なる上昇を示唆)と判断できます(心理的節目145.00や、昨年11/8に記録した高値146.96が射程圏内)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(パウエルFRB議長は先週、タカ派的なスタンスを強調→今週発表された米経済指標も良好な結果→年内2回の利上げ観測再燃・早期利下げ観測大幅後退→米金利上昇→米ドル買い)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は先週、ハト派的なスタンスを強調→円売り)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に伴う円キャリートレードの活発化)、(4)日本とその他各国との金利差拡大(オーストラリア中銀、カナダ中銀、欧州中銀、スイス中銀、ノルウェー中銀、トルコ中銀、英中銀が利上げ実施→クロス円に上昇圧力→ドル円連れ高)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。
本邦当局者による円安牽制発言は既に効力を失いつつあるため(昨日も鈴木財務相より「為替、急速で一方的な動きが見られる」「強い緊張感を持って注視、行き過ぎた動きに適切に対応」との牽制発言が見られたがドル円相場は殆ど反応せず)、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数(20:00)や、米5月卸売在庫速報値(21:30)、米5月小売在庫(21:30)、主要4中銀総裁(パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁、植田日銀総裁、ベイリー英中銀総裁)のECBフォーラムでの講演会(22:30)が予定されております。特に主要4中銀総裁による講演会に注目が集まりそうです(日本と米・欧・英との金融政策格差が意識されれば、もう一段ドル円・クロス円の上昇に繋がる可能性あり)。
本日の予想レンジ:143.50ー145.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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