東京市場のドルは143円台半ばまで上昇、相対的には欧州通貨が強含む地合い継続か
【本日の東京市場】
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、円が主要通貨に対して弱い地合いが継続したことから、143円44銭と昨年11月以来の水準まで円安・ドル高が進行した。
昨日の海外時間では、スイスやノルウェー、英国など欧州圏中央銀行が相次いで政策金利の引き上げを発表。特にノルウェー中央銀行と英中央銀行は想定を上回る利上げを発表したことなどから、改めて中央銀行の金融政策の格差が意識されて円売りが進行し、ドルは143円台まで買われた。
東京時間では、日経平均が下落したにも関わらず、円安・ドル高は進行。昨年11月以来の水準までドルは上昇した。なお、朝方発表された日本の5月全国消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)は、前年同期比3.2%上昇と市場予想(同3.1%上昇)を上回ったが、為替市場への影響は限定的となった。
ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:143円06銭
高値:143円44銭
安値:142円81銭
終値:143円39銭
ユーロ・円(日本時間8時―15時)
始値:156円71銭
高値:156円83銭
安値:156円34銭
終値:156円77銭
豪ドル・円(日本時間8時―15時)
始値:96円70銭
高値:96円84銭
安値:95円75銭
終値:96円02銭
ポンド・円(日本時間8時―15時)
始値:182円38銭
高値:182円52銭
安値:181円64銭
終値:182円20銭
日経平均(日本時間9時―15時)
始値:33458円35銭
高値:33533円47銭
安値:32575円56銭
終値:32781円54銭
【本日の海外市場の重要指標】日本時間
17時00分、欧、ユーロ圏製造業PMI、前回:44.8、市場予想:44.7
17時00分、欧、ユーロ圏サービス業PMI、前回:55.1、市場予想:54.9
18時15分、米、ブラード・セントルイス連銀総裁が講演
21時45分、欧、パネッタECB理事がBIS年次会議に出席
22時45分、米、製造業PMI、前回:48.4、市場予想:48.6
22時45分、米、サービス業PMI、前回:54.9、市場予想:54.1
22時45分、米、コンポジットPMI、前回:54.3、市場予想:53.6
26時40分、米、メスター・クリーブランド連銀総裁がイベント挨拶
※予定は変更することがございます。
【テクニカル分析】
日足ベースのドル・円をボリンジャーバンド(20日移動平均線(MA)、±2σ)で確認すると、バンド下限の−2σ水準で下影(3月24日安値129円65銭)を残した後は反発。6月15日に1円超の上影(上ひげ)を残したが、翌16日には上影を吸収し年初来高値を更新する強い地合いが見られる。
日足の一目均衡表では、雲上限(135円85銭)を明確に上放れており、「三役好転」が示現している。140円レベルでのもみ合いを上放れ、半年ぶりの水準まで上昇していることから引き続き需給面は良好である。
主要通貨に対する円の弱さが際立っており、ポンド・円は2015年12月以来、ユーロ・円は2008年9月以来、スイスフラン・円は1973年の変動相場制移行後の高値を更新している。ドルも上昇しているが、欧州通貨の上昇スピードよりは弱い。市場では、為替介入水準と見られている145円が近づいていることから、相対的に欧州通貨よりもドルの上値は重くなっている印象だ。
欧州通貨に対する為替介入は、財務省が公表している「外国為替平衡操作の実施状況」を見ると、2003年5月9日に「ユーロ買い・円売り」を776億円行ったのが最後である。この時は、りそな銀行が国有化され為替市場が混乱をきたしており、当時、新卒証券営業員だった私も、株式、為替市場の混乱状態をはっきり記憶している。つまりユーロに対する為替介入はこの20年間で一度も行われておらず、為替介入実施というニュースでの対象通貨は常にドルだった。こうした背景もあり、足元の円全面安の地合いでは、欧州通貨が相対的にドルよりも強含むと考える。
なお、昨日、個人的に注目していたトルコ中央銀行は、政策金利を650ベーシス引き上げ15.0%とした。エルカン新総裁のデビュー戦ともいえる最初の政策発表だったが、市場予想は20.0%、金融機関によっては40.0%が見込まれていたことから、インフレ対応に不十分とネガティブな見方が先行。トルコリラは主要通貨だけではなく、円に対しても急落した。
今晩のドルは、欧州通貨よりは上値が重いものの、引き続き円安を背景にしっかりを想定する。本日の上値メドは、年初来高値水準を上回る144円00銭、下値メドは東京時間の安値水準でもある142円80銭とする。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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