ドル円見通し 142円台到達後の修正安局面、今夜のパウエルFRB議長証言に注目(23/6/21)

ドル円は6月20日午前高値で142.24円を付けて1月16日安値127.22円以降の高値を更新したが、142円台到達に対する高値警戒感から売り優勢となり141円台序盤へ失速している。

ドル円見通し 142円台到達後の修正安局面、今夜のパウエルFRB議長証言に注目(23/6/21)

ドル円見通し 142円台到達後の修正安局面、今夜のパウエルFRB議長証言に注目

〇ドル円、6/20午前高値で142.24を付けたが、142円台到達に対する高値警戒感から141円台序盤へ失速
〇経済指標発表直後141.74まで戻すも、6/21日未明141.20へ下落し、午前高値から1円超の下落幅となる
〇本日夜パウエルFRB議長が下院金融委員会で証言の予定、発言に注目集まる
〇米長期債利回りは総じて低下、米株価はNYダウ・ナスダックともに続落
〇141.74を下回るうちは下落余地ありとし、141円割れからは140円台中盤への下落を想定する
〇141.74超えからは上昇再開とみて、6/20高値142.24試しと想定する

【概況】

ドル円は6月20日午前高値で142.24円を付けて1月16日安値127.22円以降の高値を更新したが、142円台到達に対する高値警戒感から売り優勢となり141円台序盤へ失速している。
6月20日は中国人民銀行が昨年8月以来の利下げを決定したものの当局の景気刺激策への期待が満たされずに上海総合株価が失速して中国景気減速感が強まると欧米の長期債利回りが低下に転じたため、ドル円は米長期債利回り低下を見ながら下落した。

6月20日夜の米5月米住宅着工件数が前月比21.7%増の163万1000戸となり、前月からプラスに転じて市場予想の140万5000戸を大幅に上回ったため、発表直後に米長期債利回りが上昇してドル円も141.74円まで戻したが、日中からの欧米長期債利回り低下傾向は変わらずに米長期債利回りが再び低下したため、21日未明には141.20円へ安値を切り下げて午前高値からは1円を超える下落幅となった。
6月21日早朝にかけては買い戻しで141.50円に届かず安値更新への余裕が乏しくなっている。
ドルストレートでは6月16日にかけてのドル安が一巡、20日夜はユーロやポンド、豪ドルなどが下落し、NYダウの下落もあり金融市場全般がリスクオフ型の動きを見せたために、クロス円の下落とともにドル円も下げた印象だ。

【今夜、パウエルFRB議長の下院議会証言】

6月21日23時からパウエル米FRB議長の半期に一度の下院金融委員会での証言が行われる。22日は上院銀行委員会での証言がある。また21日夜には米上銀行委員会でFRB副議長・理事人事の公聴会も開かれる。
米FRBの副議長に指名されているジェファーソンFRB理事は6月20日夜に指名承認公聴会における冒頭証言内容を公表し、「インフレの勢いは弱まり始めている」が「2%物価目標の達成に全力を挙げる」として金融引き締め姿勢を示した。「インフレ、銀行業界へのストレス、地政学的な不安定さなどの複数の課題に直面している」として金融政策判断の難しさも示しているが、先週のFOMC声明やメンバーの金利予想等と比較すればタカ派的でもハト派的でもない印象を与えた。
FRBのクック理事は「高インフレは米経済の持続的な拡大にとって深刻な脅威だ」とし、「高インフレ抑制のため急速で強力な金融引き締めを一貫して支持してきた」「政策当局者として、指標に基づいたアプローチを採る」としてややタカ派的な姿勢を見せた。

6月13-14日に開催された先のFOMCでは利上げが停止されたものの7月以降の追加利上げ余地があと2回程度ある見通しを示した。米金利先物市場においては7月のFOMCで追加の0.25%利上げが決定される確率を74%、9月は再び利上げ停止となる確率を66%と予想した推移となっている。
追加利上げがあと1回ないし2回としても、利上げサイクルの終了期に来ているとの認識は変わらないが、日銀の大規模金融緩和政策の続行により日米金利差は短期的に縮小しても中長期的には高水準を維持する可能性があり、ドル円としては短期的な修正安を消化しながら年初来高値更新への挑戦を続けるのではないかと思われる。

【米長期債利回りは低下、NYダウは下落】

6月20日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.05%低下の3.72%、30年債利回りは同0.04%低下の3.81%、2年債利回りは同0.03%低下の4.69%となった。
米住宅着工および着工許可件数が市場予想を上回ったことで一時的に上昇する場面も見られたものの、中国景気減速への懸念により日中から低下していた流れを続けた。6月21日のパウエルFRB議長による議会証言内容を見たいとの思惑もあり、先週末にかけての上昇に一服感が出ている。
一方でNYダウは先週末比245.25ドル安と下落、6月16日の前日比108.94ドル安からの続落となり、ナスダック総合指数も6月16日の前日比93.25ポイント安から20日は前日比22.28ポイント安の続落となった。上海総合株価指数が続落したことも影響したようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月15日未明の米FOMCを通過して15日夕刻に141.50円へ上昇したところからいったん仕切り直しの下落で16日安値139.81円まで下げたが、その後の急伸で20日午前高値142.24円へ一段高となった。しかし142円到達後の反落で21日未明にかけて1円を超える下落となったため、20日午前高値で目先のピークを付けて下落期に入っている印象だ。
6月16日午前安値を基準として目先の安値形成期は23日午前にかけて想定されるのでまだ下落余地ありとみるが、20日夜の反発時高値141.74円を上抜くところからは上昇再開の可能性を優先し、20日午前高値142.24円超えからは27日午前にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では6月20日午前高値からの下落により遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月20日夜に40ポイント割れへ低下してからも40ポイント台にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみるが、30ポイント以下は売られ過ぎ警戒とし、50ポイント台回復からは上昇再開の可能性を優先して60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.00円を下値支持線、141.74円を上値抵抗線とする。
(2)141.74円を下回るうちは下落余地ありとし、141円割れからは140円台中盤(140.70円から140.30円)への下落を想定する。140.50円以下は反発注意とするが、141円以下での推移が続く場合や直前安値から1円を超える反騰がみられないうちは22日午前にかけて安値試しを続けやすいとみる。
(3)141.74円超えからは上昇再開とみて6月20日高値142.24円試しとし、高値更新からは142円台後半を目指す上昇を想定する。また141.74円以上で推移する場合は22日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/21(水)
15:00 (英) 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 8.7%、予想 8.4%)
15:00 (英) 5月 CPIコア指数 前年同月比 (4月 6.8%、予想 6.8%)
15:00 (英) 5月 RPI(小売物価指数) 前月比 (4月 1.5%、予想 0.5%)
15:00 (英) 5月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (4月 11.4%、予想 11.2%)
22:45 (欧) シュナーベルECB理事、ナーゲル独連銀総裁、講演
23:00 (米) パウエル米FRB議長、下院金融委員会証言
23:00 (米) 米上院銀行委員会、FRB副議長・理事人事の公聴会
25:25 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省20年債入札
29:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

6/22(木)
中国、香港、台湾
07:45 (NZ) 5月 貿易収支 (4月 4.27億NZドル)
16:30 (ス) スイス中銀 政策金利 (現行 1.50%、予想 1.75%)
17:00 (ノ) ノルウェー中銀 政策金利 (現行 3.25%、予想 3.50%)
17:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 8.50%、予想 20.00%)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 4.50%、予想 4.75%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.2万件、予想 26.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 177.5万人、予想 178.5万人)
21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -2068億ドル、予想 -2182億ドル)
22:55 (米) ボウマンFRB理事、講演

23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数・年率換算 (4月 428万件、予想 425万件)
23:00 (米) 5月 中古住宅販売件数 前月比 (4月 -3.4%、予想 -0.7%)
23:00 (米) 5月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (4月 -0.6%、予想 -0.8%)
23:00 (欧) 6月 消費者信頼感・速報値 (5月 -17.4、予想 -17.0)
23:00 (米) パウエル米FRB議長、上院銀行委員会証言
23:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
24:00 (米) EIA週間石油在庫統計
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 11.25%、予想 11.25%)
29:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る