ドル円、約7カ月ぶり高値更新後に反落。本日はパウエル議長による議会証言に注目
〇ドル円、アジア時間朝方に142.25まで上昇後、米国時間午後にかけて安値141.22まで反落
〇昨年11月来高値への警戒感、日米株価の軟調、鈴木財務相、西村経産相の円安牽制発言が重石に
〇ユーロドル、欧州株軟調やECB関係者のハト派発言に1.09台前半で冴えない動き
〇ドル円、テクニカルの地合いは崩れておらず、上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目局面か
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇を連想させる材料揃う
〇本日パウエルFRB議長の半期に一度の議会証言への注目度高い
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:140.75ー142.25
海外時間のレビュー
20日(火)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)日米金融政策の方向性の違いや、(2)上記1を背景とした円キャリートレード再開期待、(3)5・10日仲値の需給要因が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値142.25まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)昨年11/21高値142.27を背にした戻り売り圧力(上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り)や、(5)日経平均株価の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(6)鈴木財務相による「為替動向については日々注視している」「必要であれば適切に対応する」との円安牽制発言、
(7)西村経済産業相による「過度な変動・投機的な動きはしっかりと注視しなければならない」との円安牽制発言、(8)米金利低下に伴うドル売り圧力、(9)米主要株価指数の冴えない動きが重石となり、米国時間午後にかけて、安値141.22まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/21午前4時00分現在)では、141.38前後で推移しております。尚、昨日発表された米5月住宅着工件数(結果163.1万件、予想140.0万件)および、米5月建設許可件数(結果149.1万件、予想142.5万件)は共に市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限定的となりました。
20日(火)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)ECBによる金融引き締め長期化観測(ECB当局者による前日のタカ派発言)や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)フィンランド中銀レーン総裁による「利上げ決定時の判断材料となる基調的なインフレ率は総合インフレ率ほど減速していない」とのタカ派的な発言が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0947まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)6/16高値1.0970を背にした戻り売り圧力や、(5)欧州株の冴えない動き、(6)ECB銀行監督委員会エンリア委員長による「ユーロ圏でノンバンク金融仲介機関が急速に拡大しており、金融システム全体のリスクが高まっている」との悲観的な発言、(7)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBの利上げ経路はほぼ完了した」とのハト派的な発言が重石となり、米国時間朝方にかけて(日本時間23時過ぎに)、安値1.0892まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/21午前4時00分現在)では、1.0917前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時142.25まで上昇するも、昨年11/21に記録した直近高値142.27に一歩届かず失速すると、米国時間午後にかけて、141.22まで1円以上もの値幅で反落しました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが並んでいること(押し目買いポイントが大量に並んでいること)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目局面)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる追加利上げ観測の高まりや、(2)日銀による金融緩和の長期化観測、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑、(4)日本とその他各国との金利差拡大(先週のオーストラリア中銀、カナダ中銀、欧州中銀の利上げに続いて、今週は英中銀、ノルウェー中銀、スイス中銀、トルコ中銀が利上げに踏み切る構え)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
こうした中、本日は上記1を確かめる目的で、パウエルFRB議長による下院金融委員会での議会証言(23:00)や、シカゴ連銀グールズビー総裁講演(01:25)、クリーブランド連銀メスター総裁講演(05:00)に注目が集まります。特にパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言への注目度が高く、前週の米FOMCで発生した不確実性(11会合ぶりに利上げを見送った一方、ドットチャートを予想以上にタカ派修正→ハト派なのかタカ派なのか市場参加者が困惑)に対して、どのような説明がなされるのかに市場参加者の関心が集まっております。物価抑制に対する強いコミットなど、タカ派的な発言がなされれば、米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円には再び上昇圧力が加わりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:140.75ー142.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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