ドル円見通し 年初来高値を更新して142円に到達(23/6/20)

142.00円に到達し、その後も141円台後半を維持してしっかりした。

ドル円見通し 年初来高値を更新して142円に到達(23/6/20)

ドル円見通し 年初来高値を更新して142円に到達

〇ドル円、6/19は米国市場休場で手掛かりにかける中、上昇一服で141.43へ反落したところは買われる
〇19時台には142.00に到達し、その後も141円台後半を維持してしっかり
〇米FRBの追加利上げ余地から、市場は日米金利差が再拡大することで円安指向が続くとの見方を強める
〇6/19は米国市場が休場だったが、長期債利回りは時間外取引で総じて上昇、米株先物は軟調推移
〇141.43を上回るうちは上昇余地ありとし、142.20超えからは142.50前後への上昇を想定する
〇141.43割れからは、140円台後半への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月15日未明の米FOMCが予想通りに利上げを停止しつつも年内2回の追加利上げ姿勢を示したことで14日深夜安値139.28円から15日夕刻高値141.50円へ続伸して5月30日高値140.92円を超えて年初来高値を更新、当面のドル買い材料消化と日銀金融政策決定会合を控えて16日午前には139.81円までいったん下げていた。しかし日銀が黒田前総裁時代からの大規模金融緩和政策の継続を決定したことと、植田総裁も粘り強く金融緩和を続けるとしたことで急伸し、17日早朝には141.91円まで年初来高値を切り上げた。
6月19日は米国市場が休場のため手掛かりにかけたものの、上昇一服で19日午前に141.43円へ反落したところを買われて19時台には142.00円に到達し、その後も141円台後半を維持してしっかりした。
米ホームビルダー協会による6月のNAHB住宅市場指数は55となり、5月の50から上昇して市場予想の51を上回ったが市場の反応は限定的だった。

【米FRBの追加利上げ余地と日銀の金融緩和継続による円安指向続く】

6月13-14日に開催された米FOMCでは市場予想通りに利上げが停止されたもののメンバーの金利予想では年内あと2回の利上げが見込まれるとし、パウエルFRB議長は年内の利下げはないとの見通しを示した。一方で日銀は16日の金融政策決定会合で黒田前総裁時代から続くマイナスの短期金利やYCCによる長期金利ゼロ%誘導のための変動許容上限の0.50%等が据え置かれた。
日銀は4月会合において大規模金融緩和政策の検証を1年から1年半かけて行うとし、当面は金融政策の軌道修正を急がない姿勢を示したが、6月会合でもYCC等に対する修正を急ごうとする姿勢は見られず、市場は日米金利差が再拡大することによる円安指向で推移するとの見方を強めている。

ドル円は昨年10月21日高値で151.94円を付けたところから今年1月16日安値127.22円まで24.73円の下落幅となったが、その後の反騰により既に半値戻しの139.58円を超えて3分の2戻しとなる143.71円へ徐々に迫ってきている。昨年10月にかけての歴史的な大上昇期と比較すれば上昇角度はやや緩やかだが、昨年10月21日高値からの大幅下落した背景である金融緩和政策の終了へ向けた流れへの懸念は大幅に後退している。
昨年は9月に145円を超えたところと10月21日高値で151.94円を付けたところで日銀単独の大規模市場介入が実施されてドル円の上昇にブレーキがかかったわけだが、金融緩和を継続しながらインフレを落ち着かせてゆくためには145円を超える円安に対して再び市場介入が行われる可能性も否定できないところと思われる。しかし、そうしたことに市場はチャレンジしてゆくものであり、日銀や財務省などが円安へのけん制を行わないようだと、円安容認水準を試すような挑発的な円安が仕掛けられる可能性もあると注意したい。

【米長期債利回りは上昇】

6月19日は米国市場が休場だったが、長期債利回りは時間外取引で総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは6月16日に前日比0.05%上昇の3.77%となったが、19日の時間外取引では3.75%から3.83%のレンジで20日朝時点では3.82%近辺で推移している。利上げに敏感は2年債利回りは6月16日に前日比0.07%上昇の4.72%となったが、19日の時間外取引では4.69%から4.76%のレンジで20日朝時点では4.76%近辺でしっかりしている。

FOMCが示した年内あと2回の追加利上げ見通しについては1回程度で収まるのではないかとの見方も根強いようだが、今後のインフレ指標次第では0.25%ずつあと2回の利上げとなる可能性もあるため、当面は上昇基調で推移しやすく、日米金利差からドル円の上昇に寄与しやすい状況が続くのではないかと思われる。
NYダウは6月16日に前日比108.94ドル安と下落したが19日のダウ先物は続落気配で推移した。ナスダック総合指数も16日には10月13日以降の高値を更新してからの失速で前日比93.25ポイント安と下落したが、19日のナスダック100先物も16日夜高値以降の軟調推移を続けた。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月14日深夜へ下落したところからFOMCを通過して急伸し、いったん16日午前へ反落してから一段高へ進んでおり、現状は6月16日午前安値を起点とした上昇期にあると思われる。高値形成期は22日夜にかけて想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、19日午前の反落時安値141.43円を割り込む場合はいったん下落期に入るとみて23日にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月16日午前安値からの急騰で遅行スパンが好転して先行スパンを突破したが、142円到達後は上げ渋りのために遅行スパンは実線と交錯しつつある。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込む下落となる場合はいったん下げに入る可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月15日から19日へと一段高した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、141.43円を下値支持線、142.20円を上値抵抗線とする。
(2)141.43円を上回るうちは上昇余地ありとし、142.20円超えからは142.50円前後への上昇を想定する。142.50円以上は反落注意とするが、上昇が勢いつく場合は142.70円以上を試す可能性もあるとみる。また141.43円以上での推移が続く場合は21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)141.43円割れからは140円台後半への下落を想定する。140.75円以下は反騰注意とするが、141.43円を割り込んでの推移が続く場合は21日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/20(火)
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
12:30 (豪) ブロック豪中銀副総裁、講演
13:30 (日) 4月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -0.4%)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -0.3%)
13:30 (日) 4月 設備稼働率 前月比 (3月 0.8%)
15:00 (独) 5月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (4月 0.3%、予想 -0.7%)
17:00 (欧) 4月 経常収支・季調済 (3月 312億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 建設支出 前月比 (3月 -2.4%)
18:00 (欧) 4月 建設支出 前年同月比 (3月 -1.5%)
19:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、会議プレゼン

21:30 (米) 5月 住宅着工件数・年率換算 (4月 140.1万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 5月 住宅着工件数 前月比 (4月 2.2%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 5月 建設許可件数・年率換算件数 (4月 141.6万件、予想 142.5万件)
21:30 (米) 5月 建設許可件数 前月比 (4月 -1.5%、予想 0.6%)
24:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加

6/21(水)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
15:00 (英) 5月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (4月 1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 8.7%、予想 8.4%)
15:00 (英) 5月 CPIコア指数 前年同月比 (4月 6.8%、予想 6.8%)
15:00 (英) 5月 RPI(小売物価指数) 前月比 (4月 1.5%、予想 0.6%)
15:00 (英) 5月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (4月 11.4%、予想 11.3%)
22:45 (欧) シュナーベルECB理事、ナーゲル独連銀総裁、講演
23:00 (米) パウエル米FRB議長、下院金融委員会証言
23:00 (米) 米上院銀行委員会、FRB副議長・理事人事の公聴会
25:25 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省20年債入札
29:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演



注:ポイント要約は編集部

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