FOMC通過後のアク抜け感から一時141円ミドルへ急伸するも介入警戒感から急反落
〇ドル円、FOMCでのドットチャートのタカ派的内容等に欧州時間朝方にかけ141.50まで上昇
〇その後は介入警戒感、自民党の解散見送り、対ユーロでのドル売りの波及等で140.16まで急落
〇ユーロドル、ECBのタカ派姿勢と引き締め打ち止め観測後退に米国時間に1.0953まで急伸
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズも日米金利差拡大観測がサポート
〇本日、日銀政策決定会合結果公表と総裁会見要注目、緩和修正の可能性は低く、円売り強まるか
〇ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:139.50ー141.50
海外時間のレビュー
15日(木)のドル円相場は急伸後に急反落。(1)本邦仲値にかけての5・10日要因(実需のドル不足)や、(2)日経平均株価の底堅い動き(リスク選好の円売り圧力)、(3)日米金利差拡大に伴うドル買い・円売り(日本時間早朝に発表された米FOMC・ドットチャートが予想外にタカ派的な結果)、(4)直近高値突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り(5/30に記録した直近高値140.95を上方ブレイク→短期筋のストップBUY誘発)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値141.50(昨年11/23以来、約7カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)本邦当局による介入警戒感の高まりや、(6)岸田首相による「今国会会期中の衆議院解散を見送る」との見解表明、(7)米新規失業保険申請件数(結果26.2万件、予想25.1万件)の冴えない結果、(8)対ユーロでのドル売り圧力が重石となり、日本時間23時過ぎに、安値140.16まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/16午前5時30分現在)では、140.28前後で推移しております。尚、昨日発表された米5月小売売上高(結果0.3%、予想▲0.1%)、米6月ニューヨーク連銀製造業景気指数(結果+6.6、予想▲15.6)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
15日(木)のユーロドル相場は急上昇。日本時間引けにかけて、安値1.0804まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)注目されたECB理事会で市場予想通り25bpの利上げが決定されたこと(8会合連続利上げ)や、(2)声明文で「ECB理事会は今後の決定においてインフレ率を目標の2%へ戻すため政策金利が十分に制約的な水準になるよう確実にする」と追加利上げの可能性を示唆したこと、(3)ラガルドECB総裁による「7月の利上げの可能性は極めて大きい」「利上げでまだやるべきことがある」「ECBはインフレ見通しに満足していない」「利上げ見送りや停止は議論していない」とのタカ派的な発言、(4)上記1、2、3を背景としたECBによる金融引き締め打ち止め観測の後退が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0953(5/11以来、約1カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/16午前5時30分現在)では、1.0948前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円はタカ派な米FOMCを受けて一時141.50(昨年11/23以来、約7カ月ぶり高値圏)まで急伸しましたが、介入警戒感に続伸を阻まれる形で140円台前半まで押し返される展開となりました。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、21日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンドなど)が並んでいること(押し目買いポイントが複数存在するため下値余地が乏しい)や、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(一巡後の再上昇を想定)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ドットチャートの予想外の大幅上方修正を受けて、年内2回の追加利上げが織り込まれる展開)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑、(4)株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力→クロス円上昇→ドル円連れ高)、(5)日本とその他各国との金利差拡大(オーストラリア中銀、カナダ中銀、欧州中銀が利上げ実施→クロス円上昇→ドル円連れ高)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。こうした中、本日は上記2を確認する意味で、日銀金融政策決定会合と植田総裁記者会見に注目が集まります。ここ数週間の植田日銀総裁発言を見る限り、このタイミングで金融緩和の修正に踏み切る可能性は乏しいと考えられるため(サプライズを出すメリットに乏しいため)、当方は現行政策の据え置きを予想いたします(日銀金融施策決定会合で緩和修正が見送られた後に対主要通貨での円売りが強まる展開を想定)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(但し、一部では今会合でYCCの許容変動幅拡大など、緩和修正に踏み切るとの見方も根強く、また、昨日の岸田首相の解散しない発言がその布石であるとの見方も浮上しているため、万が一緩和修正に踏み切った場合の円急騰リスクにも念の為注意が必要→ポジションサイズ管理に要注意)。尚、本日は日銀金融政策決定会合、植田日銀総裁記者会見以外にも、日本時間23:00に予定されている米6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値に注目が集まります。
本日の予想レンジ:139.50ー141.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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