ドル円見通し 米PPIで売られFOMCで買い戻し、139円台中心の持ち合い続く(23/6/15)

ドル円は、FOMCが予想通りに利上げ見送りとしたものの年内あと2回の利上げ見通しを示したことで140.16円へ反騰、その後も140円を挟んだ揉み合いで高止まりしている。

ドル円見通し 米PPIで売られFOMCで買い戻し、139円台中心の持ち合い続く(23/6/15)

米PPIで売られFOMCで買い戻し、139円台中心の持ち合い続く

〇ドル円、6/4夜の米5月PPI鈍化を受けてFOMCのハト派的な内容を予測し、139.28へ下落
〇FOMC年内あと2回の利上げ見通しは若干サプライズで140.16へ反騰、その後140円を挟んだ揉み合い
〇FRB議長、7月利上げは指標次第としつつも、年内利下げは参加者の誰も予想していないと市場をけん制
〇米長期債利回りはまちまち、NYダウは7日ぶり反落、ナスダックは昨年10月13日安値以降の高値を更新
〇今夜は小売売上高等の米経済指標発表が相次ぐ、ECB理事会では利上げの予想
〇139.70以上を維持か一時的に割り込んでも回復するうちは140.16超えから140円台中盤への上昇を想定
〇139.70割れから続落の場合は139.28試しとし、139.28割れからは138円台後半への下落を想定

【概況】

ドル円は6月14日夜の米5月PPI(生産者物価指数)の上昇率が前月比及び前年比で顕著に鈍化したことから15日未明のFOMCはハト派的な内容になるのではないかとの思惑で139.28円へ下落、14日早朝高値140.30円からは1円強の下げとなったが、FOMCが予想通りに利上げ見送りとしたものの年内あと2回の利上げ見通しを示したことで140.16円へ反騰、その後も140円を挟んだ揉み合いで高止まりしている。
5月29日と30日に141円を試したものの届かずに6月1日深夜安値138.45円まで下げた後は140円台前半で売られて139円前後を買われる持ち合いの様相で推移しているが、14日夜の下落と15日未明の反騰はいずれも持ち合いの範囲内だった。
今夜は米小売売上高等の米経済指標発表が相次ぎ、ECB理事会では利上げが予想されている。16日は日銀の金融政策決定会合もあり、ドル円は米国で年内あと2回の利上げへ向かう可能性が高まるのかどうかを見定めつつ、ECBの利上げ姿勢の強弱を判断し、日銀の金融緩和継続性を再確認しながら持ち合い放れを試して行くことになりそうだ。

【米インフレは鈍化傾向だがFOMCはあと2回利上げを想定】

6月14日夜に発表された5月の米PPI(生産者物価指数)の上昇率は前月比マイナス0.3%となり、4月の0.2%から鈍化して市場予想のマイナス0.1%を下回った。前年同月比は1.1%となり、4月の2.3%から鈍化して市場予想の1.5%を下回り2020年12月以来2年5か月ぶりの低水準となった。
変動の激しいエネルギーと食料品を除いたコア指数の上昇率は前月比0.2%で4月と変わらずに予想と一致し、前年同月比は2.8%で4月の3.1%(速報の3.2%から下方修正)及び市場予想の2.9%を下回った。
6月13日に発表された5月CPI(消費者物価指数)の上昇率が全体の前年比で4.0%となり、4月の4.9%から鈍化し、コア指数の前年同月比も5.3%で4月の5.5%から鈍化したことを踏まえれば、米国のインフレが鈍化傾向にあることが示されているものの、FRBの目標とする年2%からはまだかなり高水準といえる。

FRB(米連邦準備制度理事会)は6月15日未明に13-14日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)の結果を発表、11会合ぶりに政策金利を現状維持としたが、FOMC参加者による金利予想では年内に0.25%ずつあと2回の利上げが見込まれた。
今回の利上げ見送りは3月に発生した米銀破綻からの信用不安問題を踏まえて慎重姿勢を示したもので市場の事前予想通りだったが、今後の追加利上げについては年内あと1回とみていた市場にとって2回の追加利上げ見通しだったことが若干のサプライズとなり発表後にドル円は上昇した。
FOMC参加者による金利予想では政策金利のピーク水準予想中央値が5.50〜5.75%とされ、現行の5.00〜5.25%からあと0.50%=0.25%ずつ二回の追加利上げが予想された。

パウエルFRB議長は会見で「ほぼ全てのFOMC参加者は年内に幾分追加利上げをすることが適切と予想している」とし、7月FOMCにおける追加利上げの可能性についてはオープン=未定として指標次第としたが、「インフレ低下には時間がかかる」「コアPCEの改善が見られていない」「もっとやるべきことがある」と述べ、年内の利下げについては「FOMCメンバーは誰も予想していない」として市場の利下げ再開期待を牽制した。

【米長期債利回りはまちまち、NYダウは7日ぶり反落】

6月14日の米長期債利回りはまちまちだった。指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の3.79%となり、米PPIの鈍化でFOMC前には3.77%まで下げ、FOMC後に3.85%へ急伸したものの終盤に失速した。FOMCによる年内あと2回の利上げ予想が示されたものの2回の利上げは予想通りに進まなないのではないかとみて失速した印象だ。
30年債利回りは前日比0.04%低下の3.88%となった。利上げに敏感な2年債利回りは追加利上げを意識して前日比0.02%上昇の4.69%となったが、FOMC前に4.59%へ低下したところから4.83%へ急伸した後は上昇幅を削った。

一方でNYダウはあと2回の追加利上げ見通しを嫌気して前日比232.79ドル安と下落して7営業日ぶりの反落となったが、一時は400ドルを超える下落だったところからは下げ幅を削った。ナスダック総合指数は53.16ポイント高と上昇し、取引時間中及び終値ベースで昨年10月13日安値以降の高値を更新しており、あと2回の利上げがあったとしても利上げ終了プロセスにあり金融引き締めによる景気減速もソフトランディングできるとの楽観が優勢だったようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月14日夜に139円台序盤へ反落してから140円台到達へ反発したため、6月9日午前安値から3日半となる14日深夜安値で目先の底を付けて反騰入りしたと思われる。14日深夜安値139.28円割れを回避するうちは21日朝にかけての上昇余地ありとするが、139.70円割れからは弱気転換注意として14日深夜安値試しとし、底割れからは下落期入りとみて21日深夜にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月14日深夜からの反騰では遅行スパンが好転し切れずにいるが先行スパンを上抜いている。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月14日夜に30ポイント台序盤へ低下してから60ポイント手前へ反発しているので、50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定する。ただし45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント前後を目指す下落を想定する。 

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、139.70円を下値支持線、15日未明高値140.16円を上値抵抗線とする。
(2)139.70円以上を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは140.16円超えから140円台中盤(140.35円から140.65円)への上昇を想定する。140.50円以上は反落注意とするが、ECB理事会内容や米経済指標をきっかけに急伸する場合は141円に迫る可能性もあるとみる。また139.70円以上での推移か直前高値から0.70円を超える反落が発生しないうちは16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)139.70円割れから続落の場合は14日深夜安値139.28円試しとし、139.28円割れからは138円台後半(138.95円から138.50円)への下落を想定する。138.70円以下は反騰注意とするが、139.50円を下回っての推移なら16日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/15(木)
日銀・金融政策決定会合初日
10:30 (豪) 5月 新規雇用者数 (4月 -0.43万人、予想 1.50万人)
10:30 (豪) 5月 失業率 (4月 3.7%、予想 3.7%)
11:00 (中) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 18.4%、予想 13.6%)
11:00 (中) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 5.6%、予想 3.6%)
13:30 (日) 4月 第三次産業活動指数 前月比 (3月 -1.7%、予想 0.4%)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調済 (3月 170億ユーロ、予想 175億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調前 (3月 256億ユーロ) 

21:15 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 3.75%、予想 4.00%) 
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.1万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 175.7万人、予想 176.5万人)
21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.4%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 5月 輸出物価指数 前月比 (4月 0.2%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 6月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (5月 -31.8、予想 -15.1)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.4%、予想 -0.1%)
21:30 (米) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 0.4%、予想 0.1%)

21:30 (米) 6月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (5月 -10.4、予想 -14.0)
21:45 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、記者会見
22:15 (米) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.5%、予想 0.1%)
22:15 (米) 5月 設備稼働率 (4月 79.7%、予想 79.7%)
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 -0.1%、予想 0.2%)
24:35 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演

6/16(金)
休場 南ア
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
18:00 (欧) 5月 HICP(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (4月 6.1%、予想 6.1%)
18:00 (欧) 5月 HICPコア指数改定値 前年同月比 (4月 5.3%、予想 5.3%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (5月 59.2、予想 60.5) 


注:ポイント要約は編集部 

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