ドル円、米PPI鈍化を受けて一時下落するも、タカ派なドットチャートで一転反発
〇ドル円、5月米PPIの鈍化に米国序盤139.28まで下落
〇FOMC、政策金利据え置くも、メンバーの23年末政策金利予想値が0.5%上昇、ドル円は140.18まで上昇
〇パウエル議長、今後の利上げの有無はデータ次第との姿勢継続、利下げは2年ほど先との発言も
〇ユーロドル、米国序盤に1.0865まで上昇後、FRBの予想金利サプライズで1.0825まで押し返される
〇ドル円、テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズも年内利下げ観測が消失、ドル円の買い材料多い
〇ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想、目先は5/30高値140.95を試す動きか
〇本日、米欧中の重要指標等の発表多くボラティリティ拡大に要注意
〇本日の予想レンジ:139.25ー141.25
海外時間のレビュー
14日(水)のドル円相場は下落後に急反発。(1)米FOMCを控えたポジション調整や、(2)米5月生産者物価指数(結果+1.1%、予想+1.5%、※前年比)の市場予想を下回る結果、(3)米5月生産者物価コア指数(結果+2.8%、予想+2.9%、※前年比)の市場予想を下回る結果、(4)上記2、3を背景とした米国のインフレ沈静化期待(米金利低下)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値139.28まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)注目された米FOMCにて政策金利の据え置きが全会一致で決定されつつも、同時に発表されたドットチャートが予想よりタカ派的な結果となったこと(2023年末時点の予想中央値が前回の5.1%から5.6%へ上方修正、2024年末時点の予想中央値が前回の4.3%から4.6%へ上方修正、2025年末時点の予想中央値が前回の3.1%から3.4%へ上方修正)や、(6)上記5を背景とした米長期金利の急上昇、(7)短期筋のストップBUYが支援材料となり、米国時間午後にかけて、一時140.18まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/15午前5時00分現在)では、139.90前後で推移しております。尚、パウエルFRB議長からは、「我々は会合ごとに意思決定を続けていく」「7月のFOMCはライブになると予想」「インフレリスクは依然として上向き」「利下げについては2年ほど先の話」との発言が見られました。
14日(水)のユーロドル相場は上昇後に反落。アジア時間午後にかけて、安値1.0774まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)ユーロ圏4月鉱工業生産(結果+1.0%、予想+0.8%、※前月比)の市場予想を上回る結果や、(2)米5月生産者物価指数の市場予想を下回る結果、(3)米5月生産者物価コア指数の市場予想を下回る結果、(4)米金利低下に伴うドル売り圧力、(5)欧州株の底堅い動きが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0865まで反発しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(6)米FOMCと同時に発表されたドットチャートがタカ派的な結果となったことや、(7)上記6を背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/15午前5時00分現在)では、1.0825前後まで押し返される展開となっております。
本日の見通し
ドル円は重要イベント通過後に心理的節目140円を回復する動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、21日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンドなど)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること、4時間足や1時間足などの下位足でも強い買いシグナルが点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(ドットチャートの大幅上方修正を受けて、年内2回の追加利上げが織り込まれる展開→年内利下げ観測の消失)や、(2)日銀による金融緩和の長期化観測(今週末金曜日の会合で金融緩和の修正が見送られるとの見方が大勢)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレード再開の思惑など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています(重要イベント通過後のアク抜け感もドル円相場の押し上げに寄与する公算大)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。目先は5/30に記録した高値140.95を試すシナリオを想定いたします。尚、本日は中国の主要経済指標(中国5月小売売上高、中国5月鉱工業生産、中国5月固定資産投資)や、欧州の主要経済イベント(ECB理事会およびラガルドECB総裁記者会見)、米国の主要経済指標(米6月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米6月フィラデルフィア連銀景況指数、米5月小売売上高、米5月輸出入物価指数、米新規失業保険申請件数、米5月鉱工業生産、米5月設備稼働率、米4月企業在庫、米4月対米証券投資)など、重要イベント目白押しとなるため、アジア時間、欧州時間、米国時間を通して、ボラティリティの拡大に注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:139.25ー141.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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