ドル円見通し カナダ中銀利上げで米長期債利回りが上昇、ドル円は140円台序盤へ反騰(23/6/8)

ドル円は8日早朝に140.24円へ反騰して6日深夜高値を上抜いた。

ドル円見通し カナダ中銀利上げで米長期債利回りが上昇、ドル円は140円台序盤へ反騰(23/6/8)

カナダ中銀利上げで米長期債利回りが上昇、ドル円は140円台序盤へ反騰

〇ドル円、ユーロ円、ポンド円の下落により6/7午後にかけては139円を再び試す軟調な推移
〇カナダ中銀、インフレの高止まりを理由にサプライズ的に利上げ再開、量的金融引き締めも継続
〇これを受けてドル円は安値139.02から急反発、一時140.24へ反騰するも8日序盤は140円割れ
〇豪中銀とカナダ中銀による利上げでFRBも利上げしやすい環境に、市場の利上げ状態の長期化観測強まる
〇米10年債利回りは上昇、NYダウは続伸するも長期債利回り上昇を嫌ってナスダックは反落
〇140.25超えからは5日高値140.45円前後への上昇を想定
〇139.50割れから続落に入る場合は下げ再開と仮定して139円前後試しを想定

【概況】

ドル円は6月6日夕刻に139.09円まで下落したところから6日深夜に139.98円まで戻したものの140円には届かず、7日の日中はユーロやポンドの下落によりユーロ円やポンド円が下げたことによる円高感もあり午後にかけては139円を再び試す軟調な推移となっていた。
カナダ中銀が政策金利維持との予想に反して3会合ぶりに利上げを決定したため、当初は米ドル安・カナダドル高の反応。しかし豪中銀に続くカナダ中銀の利上げにより来週のFOMCで利上げが検討される可能性が若干上昇し、利上げ停止でも7月以降の利上げ再開へ進む可能性は高まったとして米長期債利回りが上昇したためにドル売り一巡後はドル高の揺れ返しとなり、反騰していたユーロやポンドが下落したためにドル円は8日早朝に140.24円へ反騰して6日深夜高値を上抜いた。

5月29日に140.91円を付け、5月30日に140.92円へ高値を若干切り上げて141円に迫ったところで日銀・金融庁・財務省の三者会談がもたれてドル円の上昇にブレーキがかかったが、会談は米デフォルト懸念編対応協議とされたものの141円超えへ向けた円安への牽制との見方もあり、6月5日の上昇時に140.45円まで戻したところで売られて戻り高値は切り下がり基調となり、8日早朝の高値も5月20日高値からの高値切り下がり基調の範囲にとどまり、8日午前序盤は140円を割り込んでいる。

【カナダ中銀、3会合ぶり利上げで米FRBにも刺激に】

カナダ中銀(BOC)は6月7日の会合で政策金利の翌日物金利を0.25%引き上げた。直前2回の会合では利上げ効果を見定めるとして利上げを停止していたが、インフレの高止まりにより3会合ぶりの利上げ再開とし、量的金融引き締めも継続するとした。事前予想では3会合連続での据え置き見込みだったものの一部では利上げの可能性ありとの声も聞かれていたために市場にとってはややサプライズ反応となり、当初はカナダドル買い・米ドル売りでドル安感が強まったが、カナダドル買いが一巡した後は米長期債利回り上昇によりドル高がぶり返し、カナダドルと連れ高となっていたユーロやポンド、豪ドル等が反落してドル円が反騰した。
6月6日に豪中銀が現状維持予想に反して0.25%利上げを決定して政策金利を4.10%へ引き上げ、追加利上げもあり得るとの姿勢を示したこともサプライズだったが、豪中銀とカナダ中銀による利上げに加えて来週のECBによる利上げ見通しも踏まえれば、FRBも利上げしやすい環境となってきたのではないかとの見方が強まり始めたようだ。

前回のFOMCで「追加の引き締めが適切」との声明文における文言が削除されたことで利上げ停止観測が強まり米長期債利回りはいったん低下傾向へ進み、その後もジェファーソンFRB理事やフィラデルフィア連銀総裁らの利上げ停止支持発言を繰り返したことで6月利上げの確率については8割程度へ上昇してきた。カナダ中銀の利上げ後は利上げ確率が8割を若干切った程度だが、利上げ状態が長期化する可能性は高まったと市場は受け止めている。

【米10年債利回りは大幅上昇、NYダウは続伸するもナスダックは反落】

6月7日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.14%の大幅上昇で3.80%となり、30年債利回りも0.10%上昇の3.95%、利上げに敏感な2年債利回りも0.08%上昇の4.56%となった。
カナダ中銀の利上げを踏まえ、来週の米CPI内容次第では6月利上げの可能性ないしは6月に利上げ停止しても7月以降に追加利上げされる可能性が高まるとの見方で債券売り・利回り上昇反応となったようだ。
NYダウは6月6日の前日比10.42ドル高から7日は91.74ドル高と上昇したが、6月5日に前日比199.90ドル安となった下げ幅の解消には至らず、ナスダック総合指数は長期債利回り上昇を嫌って171.52ポイント安と下落した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は6月1日深夜安値からの反騰が5日夕高値で一巡して下落期に入ったが、1日深夜安値から4日目となる7日夜安値で目先の底を付けて反騰入りしたと思われる。高値形成期は8日午後から12日夕にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、5月30日と6月5日の高値を結ぶ右肩下がりの上値抵抗線に抵触しているので140円台序盤では売られやすい側面もあると注意し、139.50円割れからは下落再開を疑い139円前後を再び試しに向かうのではないかと考える。

60分足の一目均衡表では6月7日夜の反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンを上抜いた。その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、139.50円割れから続落に入る場合は先行スパンからの転落となるため下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月7日午後から夜にかけての下落時に指数のボトムが切り上がり、8日未明への上昇で60ポイント台へ上昇した。その後も60ポイント台を維持しているので65ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、50ポイント割れを弱気転換注意とし、45ポイント割れからは下げ再開を疑い30ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、139.50円を下値支持線、140.25円を上値抵抗線とする。
(2)139.50円以上を維持するうちは上昇余地ありとし、140.25円超えからは5日高値140.45円前後への上昇を想定する。140.40円以上は反落注意とするが、140円台を維持しての推移なら9日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)139.50円割れから続落に入る場合は下げ再開と仮定して139円前後試しを想定する。139円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、139円割れから続落する場合は週末から来週序盤にかけて下落継続しやすくなると注意し、138.50円前後、さらに138円台序盤へ向かう流れと考える。

【当面の主な予定】

6/8(木)
休場 ポーランド、ブラジル
10:30 (豪) 4月 貿易収支 (3月 152.69億豪ドル、予想 140.00億豪ドル)
14:00 (日) 5月 景気ウオッチャー現状判断 (4月 54.6、予想 55.0)
14:00 (日) 5月 景気ウオッチャー先行判断 (4月 55.7、予想 56.1)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP確定値 前期比 (改定値 0.1%、予想 0.0%)
18:00 (欧) 1-3月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 1.3%、予想 1.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 23.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.5万人、予想 180.0万人)
23:00 (米) 4月 卸売売上高 前月比 (3月 -2.1%、予想 0.4%)

6/9(金)
08:50 (日) 5月 マネーストックM2 前年同月比 (4月 2.5%)
10:30 (中) 5月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (4月 0.1%、予想 0.2%)
10:30 (中) 5月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (4月 -3.6%、予想 -4.2%)
17:00 (欧) デギンドスECB副総裁、セミナー参加
21:30 (加) 5月 雇用統計 失業率 (4月 5.0%、予想 5.1%)

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