ドル円見通し 米経済指標総じて強く米長期債利回り上昇、5/11夜安値からの反騰継続(23/5/17)

ドル円は5月11日夜安値からの上昇が15日夕高値で一服して16日夕へやや下げたものの16日深夜へ一段高している。

ドル円見通し 米経済指標総じて強く米長期債利回り上昇、5/11夜安値からの反騰継続(23/5/17)

米経済指標総じて強く米長期債利回り上昇、5/11夜安値からの反騰継続

〇ドル円、16日夜の米経済指標が強く米長期債利回りが3連騰したため5/16深夜に136.68へ高値を伸ばす
〇5/17早朝にかけて136.20円台へ下落したものの午前序盤へ持ち直し気味に推移
〇5/16夜の地区連銀総裁らの利上げ停止への過剰な期待をけん制する発言もドル高を助長
〇米10年債利回りは週末から3連騰、NYダウは反落
〇136円台を推移中は上昇余地あり、136.68超えからは137円台を目指す上昇を想定
〇135.67割れから5/11夜からの反騰一巡による下落期入りとみて135円前後への下落へ向かう流れとみる

【概況】

ドル円は5月15日夕刻高値で136.32円をつけて5月11日夜の米4月PPI発表後につけた安値133.74円以降の高値を更新したところで上昇一服となり16日夕刻には135.67円までジリ安で推移していたが、16日夜の米4月小売売上高が3月から改善、米4月鉱工業生産やNAHB住宅市場指数が予想を上回るなど米経済指標が総じて強かったことで米長期債利回りが3連騰したために16日深夜には136.68円へ高値を伸ばした。17日早朝にかけて136.20円台へ下落したものの17日午前序盤へ持ち直し気味に推移している。
4月28日の日銀金融政策現状維持と金融緩和政策の点検に1年から1年半をかけるとしたことをきっかけとした上昇で5月2日に137.76円の高値をつけてから5月4日未明のFOMCで利上げ停止の可能性が示唆されたことを通過して5月5日未明安値133.46円まで4.30円の下落幅となったが、下落幅に対する3分の2戻しの136.33円を超える切り返しとなり、5月2日高値水準を試しに向かっている印象だ。

【米経済指標は総じて強め、利下げ期待をけん制する発言も】

5月16日夕刻発表の5月の独ZEW景況指数はマイナス10.7となり、4月のプラス4.1から悪化し予想のマイナス5.3を大幅に下回ったために発表後はユーロ売りドル高要因となった。
米商務省による4月の小売売上高は全体の前月比が0.4%増となり、市場予想の0.8%増には届かなかったものの3月の0.7%減から改善した。また変動の激しい自動車・同部品を除くと0.4%増で市場予想と一致して3月の0.5%減から改善、ガソリンを除くと0.5%増、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.6%増となり、景気後退への懸念を薄めて米長期債利回りの上昇とドル高に寄与した。

その後に発表された4月の鉱工業生産指数も前月比0.5%上昇となり、3月の0.0%(速報の0.4%上昇からは下方修正)から改善した。製造業は1.0%上昇(3月は0.8%低下)で2か月振りに改善、自動車・部品は9.3%上昇(3月は1.9%低下)。コンピューター・エレクトロニクス製品が2.1%上昇(3月は0.9%低下)が好調だった。また設備稼働率は79.7%で3月の79.4%を上回った。
5月のNAHB住宅市場指数は50となり、4月の45から上昇して市場予想の45を上回った。

米経済指標が強めで為替市場がドル高へ傾斜する中、16日夜の地区連銀総裁らの発言もドル高を助長した。
シカゴ連銀のグールズビー総裁はインタビューで、銀行部門のストレスは続いているとして信用不安問題及び与信基準が厳しくなることによる景気への影響を考慮している姿勢も示したが、次回のFOMCで「利下げを議論するのは時期尚早」と述べた。
リッチモンド連銀のバーキン総裁も「一段の利上げが必要なら支持する」とし、「利上げ停止は選択肢の一つに過ぎず、停止や金利のピークを示唆したものではない」と述べて追加利上げの可能性を示唆した。
15日にはミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「インフレ鈍化に向け金融当局にはやるべき仕事がまだ残されている」「インフレ鈍化にはまだ長い道のりが残されている」と述べており、FOMCメンバーによる最近の発言では利上げ停止への過剰な期待をけん制する内容が多くなっている印象だ。

【米10年債利回りは週末から3連騰、NYダウは反落】

米経済指標が概ね良好で地区連銀総裁らが追加利上げに含みを持たせる発言を行ったことにより5月16日の米長期債利回りは総じて上昇した。
指標の10年債利回りは前日比0.03%上昇の3.54%となり12日の0.08%上昇、15日の0.04%上昇から3連騰した。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.08%上昇の4.09%となり、12日の0.08%上昇、15日の0.02%上昇から3連騰した。
一方でNYダウは前日比336.46ドル安と反落し、ナスダック総合指数も22.16ポイント安と下落した。
NYダウは5月1日から4日へ4営業日続落し、5日に反発したものの6日から15日まで5営業日続落、15日に小反発したものの再び反落となり下落感が強まってきている。米経済指標は良かったものの利下げ期待が後退していること、信用不安問題が払拭できずに、米連邦債務上限問題も片付いていないこと、中国の4月鉱工業生産や小売売上高が予想を下回ったことによる上海総合株価指数の反落等が圧迫感をもたらしている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は5月11日夜安値からの上昇が15日夕高値で一服して16日夕へやや下げたものの16日深夜へ一段高している。11日夜安値から3日目となる16日夕安値で目先の底をつけて新たな上昇期に入り、22日夜にかけての上昇余地が出てきたのではないかと思われる。弱気転換は16日夕安値135.67円割れからとし、その際は23日夕にかけての下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月16日夕にかけての下落で遅行スパンが一時的に悪化したものの16日深夜への上昇で再び好転し、16日夕刻から夜にかけては先行スパンの上限近辺が下支えとなったため、遅行スパ好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパンへ再び潜り込むところからは反落警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月15日から16日深夜への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行の気配がみられるものの50ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、相場が高値をさらに更新する際にも指数のピークが切り下がる場合はその後の反落警戒とし、50ポイント割れからは30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月16日夕安値135.67円を下値支持線、16日深夜高値136.68円を上値抵抗線とする。
(2)136円台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、136.68円超えからは137円台を目指す上昇を想定する。137円到達では売られやすいとみるが、136円以上を維持しての推移か、直前高値から1円を超える反落が見られないうちは18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)135.67円割れからは5月11日夜からの反騰一巡による下落期入りとみて135円前後への下落へ向かう流れとみる。135.20円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、135.67円以下での推移なら18日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/17(水)
休場 ノルウェー
10:30 (豪) 1-3月期 賃金指数 前期比 (10-12月 0.8%、予想 0.9%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 0.8%)
13:30 (日) 3月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -0.7%)
13:30 (日) 3月 設備稼働率 前月比 (2月 3.9%)
18:00 (欧) 4月 HICP(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 7.0%、予想 7.0%)
18:00 (欧) 4月 HICPコア指数改定値 前年同月比 (速報 5.6%、予想 5.6%)

21:30 (米) 4月 住宅着工件数・年率換算 (3月 142.0万件、予想 140.0万件)
21:30 (米) 4月 住宅着工件数 前月比 (3月 -0.8%、予想 -1.4%)
21:30 (米) 4月 建設許可件数・年率換算 (3月 141.3万件、予想 143.0万件)
21:30 (米) 4月 建設許可件数 前月比 (3月 -8.8%、予想 0.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:15 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
26:00 (米) 財務省20年債入札

5/18(木)
休場 ノルウェー、スイス、インドネシア
07:45 (NZ) 1-3月期 PPI(生産者物価指数) 前期比 (10-12月 0.9%)
08:50 (日) 4月 通関貿易収支・季調前 (3月 -7545億円、予想 -6000億円)
08:50 (日) 4月 通関貿易収支・季調済 (3月 -1兆2099億円、予想 -1兆786億円)
10:30 (豪) 4月 新規雇用者数 (3月 5.30万人、予想 2.50万人)
10:30 (豪) 4月 失業率 (3月 3.5%、予想 3.5%)
16:45 (英) ピル英中銀理事、講演

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.4万件、予想 25.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.3万人、予想 181.5万人)
21:30 (米) 5月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (4月 -31.3、予想 -20.0)
22:05 (米) ジェファーソンFRB理事、講演
22:30 (米) バーFRB副議長、上院銀行委員会証言
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算 (3月 444万件、予想 429万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -2.4%、予想 -3.5%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (3月 -1.2%、予想 -0.5%)
23:00 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札


注:ポイント要約は編集部

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