ドル続伸なるか、米債務上限問題を注視
〇ドル円、136円挟み30ポイント弱のレンジ取引に終始、目立った方向性うかがえず
〇テクニカルにはドルの続伸が期待される形状、136.75-80を超えれば137円台乗せもあるか
〇市場では米金融政策を注視、米当局者による発言機会も多く予定されている
〇本日欧米時間に再会談予定の米債務上限問題交渉も、波乱要因となるか
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは135.20-136.40、ドル高・円安方向は昨日高値136.32が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、昨日安値の135.60そして135円の攻防に注目
<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は基本揉み合い。136円挟み、30ポイント弱という非常に狭いレンジ取引に終始している。
ドル/円は寄り付いた136.10-15円を日中高値にドルの上値は重いものの、下値も堅く下げ渋り。結局、136円挟みのレンジ取引で目立った方向性はうかがえなかった。16時現在では135.85-90円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、中国の経済指標発表や、豪中銀の議事録要旨が公開されるなか豪ドルは弱含み。対円ではとくに夕方に下げ足を速め、90.60円前後まで一時値を崩していた。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「黒海イニシアティブ」について。
前者は、5月のNY連銀製造業景況指数などの米指標が発表されるなか、複数の地区連銀総裁から金融政策に関する発言が聞かれていた。リッチモンド連銀総裁からは追加利上げに肯定的な発言が聞かれたほか、アトランタ連銀総裁も「インフレへの対処が最優先課題」と同調するようなコメント。しかし、シカゴ連銀総裁は「利上げの効果はまだ十分に表れていないため、慎重なアプローチが必要」などとし、やや弱気な見通しを示していた。意見の一本化はされておらず、今後発表される米経済指標の内容如何では、まだまだどちらに転ぶのかわからない。
対して後者は、18日に現在の期限が切れることもあり、黒海経由のウクライナ産穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)の延長に向けた取り組みが活発となっている。たとえば、日米など国連参加各国から合意の延長を求める声が相次いだほか、国連のグリフィス事務次長も協議の継続を示唆するコメントを発していた。しかし、当事国のひとつロシアは強硬姿勢を崩しておらず、延長へ揺さぶりを掛ける動きを続けている。仮に延長合意ができないとなると、国際穀物価格の急騰も予想され、日本のダメージなども懸念されていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は昨日もドルが続伸し、3日以来となる一時136円台を示現している。フィボナッチの観点では高値137.78円を起点にした下げ幅の61.8%戻し(136.10-15円)を上回る局面もあるなど、ドルの続伸が期待される足形だ。76.4%の136.75-80円を超えれば、137円台乗せさらには100%戻しも視界内に捉えられるだろう。ただし、昨日安値135.60円を簡単に下回ると、上値トライに黄信号も。
引き続き市場では米金融政策を注視している向きがある。前述したように昨日も米要人のコメントが相次いだが、本日も講演などが多く発言内容には注意を払いたい。また、それとともに本16日とされる「バイデン大統領と議会指導者の債務上限問題協議再開」も波乱要因として情勢を見極めたいところだ。昨15日、野党共和党のマッカーシー下院議長は「まだ双方には大きな隔たりがある」と否定的なコメントを発していたが、果たして進展はあるのだろうか。
テクニカルに見た場合、ドル/円は続伸し、およそ2週間ぶりの高値を示現。ドル高方向へのリスクが考えられるものの、大きな意味ではレンジ内にとどまっている。ハッキリとしたドル高・円安リスクを取り沙汰するには、少なくとも200日線も近い137円を超えておきたいところだ。まだ予断を許さない。
一方、ドルの下値は堅そうだが、135.60円あるいは135円を下回るとなかなかの深押しも。
本日は米経済指標として、4月の小売売上高や同鉱工業生産などが発表されるほか、昨日に続きNY連銀総裁など米当局者による講演等の発言機会も多い。また、再会談予定となっている「バイデン大統領と議会指導者の債務上限問題交渉」の行方にも要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは135.20-136.40円。ドル高・円安方向は昨日高値の136.32円が最初の抵抗。超えればフィボナッチポイントの136.75-80円を目指す。
対するドル安・円高方向は、昨日安値の135.60円そして135円の攻防に注目だ。とくに後者は底堅いイメージだが、割り込むと深押しが入る危険性もあるだろう。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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