ドル円、米PPI鈍化を受けて一時133円台後半へと下落するも引けにかけて再び反発(5/12朝)

11日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。

ドル円、米PPI鈍化を受けて一時133円台後半へと下落するも引けにかけて再び反発(5/12朝)

ドル円、米PPI鈍化を受けて一時133円台後半へと下落するも引けにかけて再び反発

〇ドル円、米新規失業保険申請件数の不冴え、米PPIの伸び率鈍化に一時133.76まで下落
〇売り一巡後は買い戻され、134円台半ばでの推移
〇ユーロドル、米地銀を巡る金融システム不安の高まりと株価下落に米国時間に一時1.0900まで急落
〇ドル円、上方に複数のレジスタンスポイント並び、4時間足で三役逆転成立、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも米CPI、PPI共に鈍化し、米国の追加利上げ観測後退、債務問題、金融不安も重石
〇引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:133.25ー135.25

海外時間のレビュー

11日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。欧州勢参入後に高値134.85まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米新規失業保険申請件数(結果26.4万件、予想24.5万件)の冴えない結果や、(2)米4月生産者物価指数(結果+2.3%、予想+2.5%)の伸び率鈍化、(3)米債務上限問題に絡む不確実性、(4)米地銀を巡る金融システム不安の再燃(米パックウェスト・バンコープの株価が時間外取引で急落→リスク回避の円買い圧力)、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値133.76(5/4以来の安値圏)まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)短期筋のショートカバーや、(7)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「インフレは低下したが依然として目標を上回っている」とのタカ派発言、(8)対欧州通貨や対オセアニア通貨でのドル買い圧力(リスク回避のドル買い圧力)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5/12午前5時45分現在)では、134.57前後で推移しております。

11日(木)のユーロドル相場は冴えない動き。アジア時間朝方にかけて、高値1.0998まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)米地銀を巡る金融システム不安の高まり(米パックウェスト・バンコープの株価が時間外取引で急落→欧州株連れ安→リスク回避のユーロ売り圧力)や、(2)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(3)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0900まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/12午前5時45分現在)では、1.0915前後で推移しております。尚、昨日はデギンドスECB副総裁より「サービスインフレを懸念」「追加利上げの可能性がある」との発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は米インフレ指標(米CPI・米PPI)が共に鈍化したことを受けて、一時133.76まで下げ幅を広げましたが、引けにかけて持ち直す動きとなりました(5/10高値135.48→5/11安値133.76→現在134.57)。但し、アップサイドに複数のレジスタンスポイント(21日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線など)が並んでいることや、4時間足ベースで強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が成立したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測の再燃(今週発表された米CPI、米PPIは共に鈍化→米国の追加利上げ観測後退→CMEが提供するFedWatchツールで次回6月FOMCでの25bp利上げ織り込み度合は10%前後へ低下→米長期金利に低下圧力→米ドル売り)や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測(5/9の衆院財務金融委員会答弁の中で、植田総裁は「(持続的・安定的に物価2%が達成される状況に至った場合)現在のイールドカーブコントロールを止めてバランスシート縮小に取りかかっていきたい」と発言)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(金融引き締め最終局面の米国と、金融緩和最終局面の日本のコントラスト→日米金利差縮小観測→円キャリートレード解消の思惑)、(4)米債務上限問題に絡む警戒感(イエレン米財務長官は「米国のデフォルトは経済・金融の大惨事をもたらす」と発言。IMFも「米国のデフォルトは米経済のみならず世界経済に非常に深刻な影響をもたらす」と指摘)、

(5)米地銀を巡る金融システム不安(米パックウェスト・バンコープの株価が時間外取引で急落→JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは「規制当局は銀行に対する空売り禁止を検討すべき」と発言)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。本日発表される米4月輸出入物価指数(21:30)や、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値(23:00)が市場予想を下回る場合には、米金利低下→米ドル売りの経路と、米株下落→リスク回避の円買いの経路が組み合わさることから、ドル円にもう一段強い下押し圧力が加わる展開が警戒されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:133.25ー135.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、米PPI鈍化を受けて一時133円台後半へと下落するも引けにかけて再び反発

ドル円日足

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