ドル円、市場予想を下回る米CPIを受けて急反落。次回FOMCでの利上げ観測が大幅に後退
〇ドル円、アジア時間の高値135.48から米国時間にかけ一時134.12まで急落
〇米4月CPIの市場予想を下回る結果と米長期金利の急低下、ロング勢のストップロス発動が背景
〇テクニカルには21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを再度下抜け
〇ファンダメンタルズもFRBによる金融引き締め打ち止め観測の再燃と日銀政策修正観測が重石に
〇ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:133.25ー135.00
海外時間のレビュー
10日(水)のドル円相場は急反落。(1)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「インフレは依然として高すぎる」「適切なら追加引き上げを実施する」「年内利下げの理由は見当たらない」とのタカ派的な発言や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(3)本邦輸入企業の実需のドル買い(5・10日に絡む需給要因)が支援材料となり、アジア時間引けにかけて、高値135.48(5/3以来の高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米4月消費者物価指数(結果+4.9%、予想+5.0%、※前年比)の市場予想を下回る結果や、(5)上記4を背景とした米長期金利の急低下、(6)ロング勢のストップSELL、(7)米債務上限問題に関わる不確実性が重石となり、米国時間午後にかけて、安値134.12まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/11午前6時10分現在)では、134.34前後で推移しております。
10日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。米国勢参入後に安値1.0941まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)米4月消費者物価指数の市場予想を下回る結果や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急低下(米FRBによる金融引き締め打ち止め観測再浮上)、(3)ECBによる金融引き締め長期化観測(米ブルームバーグは「ECBの一部当局者が9月利上げの必要性を受け入れ始めつつある」と報道。ドイツ連銀ナーゲル総裁からも「利上げはまだ終わっていない」「コアインフレについてまだやるべきことがある」との発言あり)、(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違いが支援材料となり、米国時間朝方(日本時間23時過ぎ)にかけて、高値1.1007まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5/11午前6時10分現在)では、1.0981前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は米CPIを経て反落する結果となりました(135.48→134.12)。日足ローソク足が21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドを再度下抜けし始めており、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。
ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測の再燃(先週開催された米FOMCでパウエルFRB議長は「今後の政策判断はデータ次第」と強調→その後発表された米4月雇用統計が力強い結果となったことで米利上げ観測再燃・米ドル高の流れが到来→但し昨日発表された米4月CPIが市場予想を下回ったことで米利上げ打ち止め観測再浮上・米ドル安の流れが再開)や、(2)日銀による金融緩和の早期修正観測(植田日銀総裁は5/9の衆院財務金融委員会での答弁の中で「(持続的・安定的に物価2%が達成される状況に至った場合)現在の長短金利操作をやめ、その後バランスシートの縮小という作業に取りかかっていきたい」と発言)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差縮小観測→円キャリートレード解消の思惑)、(4)米債務上限問題に絡む不確実性など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。
特に上記1の影響が大きく、CMEが提供するFedWatchツールを確認すると、次回6月FOMCでの25bp利上げ織り込み度合が米CPIを経て21.2%から6.1%へ急低下しました。本日発表される米4月生産者物価指数が市場予想を下回る場合や米新規失業保険申請件数が市場予想を上回る場合には、米利上げ打ち止め観測がもう一段高まるシナリオが想定されるため(状況次第では年内利下げの織り込みが強まる恐れもあるため)、本日はドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:133.25ー135.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:上村 和弘
2023.05.11
ドル円見通し 米CPI全体は10か月連続鈍化、発表後は米長期債利回り低下で円高進行(23/5/11)
ドル円は5月5日安値133.46円からの反騰が10日午後高値135.46円で一巡して急落に転じた。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2023.05.10
米消費者物価に注目、上ぶれ期待強いが・・・(5/10夕)
10日の東京市場は小動き。135円台前半、40ポイントほどのレンジ取引をたどっている。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。