米ファーストリパブリック銀行を巡るヘッドラインで乱高下。リスクオフ相場が継続
〇ドル円、米国時間朝方に133.94まで上昇後に133.01まで急落、終盤は133.60台での推移
〇米ファーストリパブリック銀行救済をめぐるポジティブ、ネガティブ双方の報道に乱高下
〇ユーロドル、独仏消費者信頼感の改善に1.1095まで上昇後反落、1.10台前半での推移
〇ドル円、テクニカルには地合いの悪化印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズも金融信用不安再来、日米金利差縮小観測等ドル円の下落材料増える
〇引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:132.25ー134.25
海外時間のレビュー
26日(水)のドル円相場は乱高下。(1)米ファーストリパブリック銀行の金融システム不安を巡って民間救済の動きが水面下で進んでいるとの報道や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急上昇が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値133.94まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米政府は米ファーストリパブリック銀行の救済について現時点では消極的とのヘッドラインや、(4)上記3を背景とした米長期金利の急低下、(5)米ファーストリパブリック銀行株の大幅続落、(6)世界的なリスクオフ再燃(リスク回避の円買い圧力)が重石となり、日本時間23時過ぎに、安値133.01まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間4/27午前5時30分現在)では、133.66前後で推移しております。
26日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0968まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)ドイツ5月GFK消費者信頼感(結果▲25.7、予想▲28.0)の市場予想を上回る結果、(3)フランス4月INSEE消費者信頼感指数(結果83、予想81)の市場予想を上回る結果、(4)デギンドスECB副総裁による「総合インフレ率は低下傾向だがコアインフレ率は上昇基調」とのタカ派的な発言、(5)キプロス中銀ヘロドトゥ総裁による「上昇傾向にある賃金が懸念材料」とのタカ派的な発言、(6)欧米金融政策格差を背景としたユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、昨年3/31以来、約1年1カ月ぶり高値となる1.1095まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/27午前5時30分現在)では、1.1037前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円4/19に記録した高値135.13をトップに反落に転じると、昨日は一時133.01まで急落しました。この間、日足・ローソク足が一目均衡表雲上限や一目均衡表転換線を下抜けした他、1時間足や4時間足などの下位足で売りシグナルが点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米ファーストリパブリック銀行を巡る世界的な金融システム不安の再来(同社を巡っては、米政府がファーストリパブリック銀行救済について現時点では消極的とのヘッドラインや、FRB貸出へのアクセス制限がなされたとのヘッドラインあり)や、(2)米FRBによる金融引き締め打ち止め観測(金融システム不安の再来を受けて来週の米FOMCでの利上げ見送り観測や年内複数回の利下げ観測が再浮上)、(3)日銀による金融緩和の修正観測(コアコアCPIの伸び率加速を受けて日銀が早期にタカ派スタンスへ転換するとの思惑)、(4)上記2、3を背景とした日米金融政策の方向性の違い(円キャリートレード解消に伴うドル売り・円買い)、(5)投機筋のポジション解消懸念(高水準に積み上がっている投機筋の米債ショート・米ドルロングポジションの巻き戻しリスク)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
本日予定されている米1ー3月期GDP統計速報値や、米新規失業保険申請件数、米カンザスシティ連銀4月製造業活動指数が冴えない結果を示せば、実質金利上昇に伴う米経済のオーバーキルが意識されるため、上記で示した金融システム不安も相俟って、「米利下げ観測の織り込み加速→米長期金利急低下→米ドル売り→ドル円急落」の流れに拍車がかかるシナリオも想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(米ファーストリパブリック銀行に関するヘッドラインや、米主要株価指数、米長期金利に揺さぶられるボラタイルな相場展開の継続を想定)。
本日の予想レンジ:132.25ー134.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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