先週末夜からの反騰勢い鈍る、ユーロ高ドル安と米長期債利回り低下で失速
〇ドル円、週明けは戻りを試す展開になるも、米長期債利回り低下とユーロ高ドル安に押されて失速
〇ユーロ円の上昇によりクロス円では円安が目立つ展開
〇日銀植田総裁、4/24衆院決算行政監視委で当面は「金融緩和を継続する」との姿勢強調
〇NYダウやナスダック、米大手企業決算や米1-3月GDPと3月PCEデフレーター等を控え慎重な動き
〇134.72超えからは4/19夜高値135.11試しとし、高値更新からは135.30から135.70への上昇を想定
〇4/21夜安値133.54割れからは下落期入りとみて133円前後への下落を想定
【概況】
ドル円は4月19日高値で135.11円をつけて3月24日安値129.63円以降の高値を更新したところから下落に転じ、先週末21日夜には133.54円まで安値を切り下げたが、21日夜の米4月総合PMIが予想を上回ったことで買い戻し優勢となり、週明けの24日も夜にかけては戻りを試す展開で21時過ぎには134.72円をつけた。しかしその後は米長期債利回り低下とユーロ高ドル安に押されて失速となり、25日朝には134円を一時割り込んでいる。
今週末の植田新総裁体制で初めてとなる日銀金融政策決定会合、来週のFOMCにおける0.25%利上げ見通し、ECBによる0.50%利上げの可能性等、日米欧の中銀スタンスを踏まえてドル円では円安基調での推移が続いてきたものの、米長期債利回りの上昇に一服感が出てやや失速気味となり、ECBによる利上げ継続姿勢を踏まえてユーロドルでのユーロ高ドル安感が強まり、ユーロ円の上昇によりクロス円では円安が目立つ展開となった。
4月25日は米国市場時間での住宅関連統計と4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、株式市場ではグーグル(アルファベット)やマイクロソフトの決算が注目される。
【ユーロドルの上昇再開感強まる】
ユーロドルは4月14日に1.1074ドルをつけて2月2日高値を上抜き昨年9月28日底0.9536ドル以降の高値を更新したが、4月17日安値で1.0909ドルへ小反落したところから上昇再開に入り、24日は1.1050ドルへ上昇して4月14日高値に迫っている。4月14日のウォラーFRB理事による利上げ継続支持発言やミシガン大調査の1年先期待インフレ率の上昇などからいったんユーロ高ドル安が緩んだ形だが、24日はドイツIFO経済研究所による4月企業景況感指数が93.6となり市場予想の94.0には届かなかったものの3月の93.2から上昇して2022年2月以来の高水準に達したこと、ECBによる5月4日理事会での0.50%利上げの可能性を背景に買われている。
ECBのショナーベル専務理事は24日に、「現時点までのデータは想定以上に強く、来週会合では0.50%利上げが依然として選択肢にある」と述べたが、ECB理事会メンバーのアイルランド中銀総裁も「ECBが利上げ停止を計画するのは時期尚早」と述べており、米銀破綻の余波でクレディ・スイスの経営危機を招いた信用不安がひとまず落ち着く中でインフレの高止まりが顕著となっていることと景気指標がまだしっかりしていることで5月会合以降の利上げ継続の可能性も取り沙汰されている。
ユーロドルの上昇に引っ張られてユーロ円は4月24日に148.46円をつけて昨年10月21日につけた高値148.39円を超えて2016年6月24日安値109.56円以降の高値を更新している。日銀が当面して金融政策の現状維持を続ける姿勢が見られることで中銀スタンスの差がユーロ買い円売りを助長している。
【日銀植田総裁、金融緩和継続姿勢を改めて強調】
日銀の植田新総裁は4月24日の衆院決算行政監視委員会において「消費者物価指数の前年比伸び率は年度後半には2%を下回る」見通しとし、当面は「金融緩和を継続する」との姿勢を強調した。
植田総裁は「輸入物価上昇の国内物価への転嫁が予想されていた以上の強さで進んでいるが、そろそろピークを迎える」とし、今後は徐々に物価上昇率が低下していくとした。また「2%に届く見通しになってくれば緩和は正常化の方向に向かう=YCC(イールドカーブ・コントロール)の正常化が可能になる」とし、YCC正常化の条件としては「半年先や1年先、1年半先の物価見通しが2%前後になり、見通しの確度が高まっていると認識できる時」とし、「中途半端な情報発信では市場に大きなかく乱が発生する」「ギリギリまでなかなか発表できない」とも述べた。いずれは異次元からの脱却を進めるのだろうが、当面は現状維持で政策修正へ向けた準備を進めるということだろう。このため4月27-28日の金融政策決定会合では物価見通しの引き上げが見込まれるものの政策スタンスは現状維持と予想される。
【米長期債利回りは上昇一服で失速】
4月24日の米長期債利回りは総じて低下した。長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.09%低下の3.49%となり、4月21日の0.05%低下から続落した。4月6日に3.25%へ低下したところからの上昇で4月19日に一時3.64%をつけて3月22日以降の低下幅を解消したものの戻り一巡で失速している。
30年債利回りは先週末比0.07%低下の3.71%となり、21日の0.03%上昇から反落した。4月6日の3.53%から4月19日の3.83%へ上昇した後は戻り一巡で失速している。
利上げに敏感な2年債利回りは先週末比0.09%低下の4.10%となり、21日の0.04%上昇から反落した。3月24日の3.56%から4月19日の4.29%へ上昇してきたところで戻り一巡の様相となっている。
来週のFOMCにおける0.25%利上げは確実視されているものの6月以降の利上げ停止の可能性も含めて利上げサイクルの終了が近い印象は変わらず、やや下げ過ぎたところからの上昇も頭打ち感が出ている印象だ。
一方でNYダウは先週末比66.44ドル高で21日の22.34ドル高から小幅続伸したが、4月14日高値で34082.94ドルをつけた後は上昇一服で調整的な動きの範囲にとどまっている。ナスダック総合指数は35.26ポイント安となり4月18日に12245.43ポイントをつけたところから上げ渋りの様相で、大手企業決算や今週後半の米1-3月GDPと3月PCEデフレーター等を控えて慎重な動きと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は4月19日高値135.11円から反落したものの、18日夜安値から3日目となる21日夜安値133.54円で目先の底をつけて上昇期に入ったが、24日夜からは失速気味の推移となっている。4月21日安値を割り込まないうちは26日夜にかけての上昇余地ありと見るが、134円割れから続落の場合は21日夜安値試しへ向かい、底割れからは下落期入りとして28日夜にかけての下落を想定する。4月21日夜安値を割り込む場合は3月24日以降続いてきた底上げ基調が崩れて上昇トレンドの支持線から転落するために下げ足が速まることも警戒される。
60分足の一目均衡表では4月24日夜からの反落で遅行スパンは悪化しやすい位置にあり、先行スパンからも転落しつつある。先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、両スパンそろっての悪化中は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月24日夜の上昇で60ポイント台をつけたもののその後の反落で50ポイントを割り込んでいるのですでに下落期入りしている可能性がある。50ポイント台回復からは上昇再開とするが、40ポイント割れからは30ポイント以下を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月21日夜安値133.54円を下値支持線、24日夜高値134.72円を上値抵抗線とする。
(2)134円を一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、134.72円超えからは4月19日夜高値135.11円試しとし、高値更新からは135円台中盤(135.30円から135.70円)への上昇を想定する。135.50円以上は反落警戒とするが、134.50円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4月21日夜安値133.54円割れからは下落期入りとみて133円前後への下落を想定する。133円以下は反騰注意とするが、133.54円を割り込んでの推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4/25(火)
休場、ニュージーランド、オーストラリア、インドネシア
22:00 (米) 2月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (1月 0.2%、予想 -0.1%)
22:00 (米) 2月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (1月 2.5%、予想 0.0%)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 -5、予想 -8)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (2月 64.0万件、予想 63.2万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 1.1%、予想 -1.3%)
23:00 (米) 4月 コンファレンスボード消費者信頼感指数 (3月 104.2、予想 104.0)
26:00 (米) 財務省2年債入札
4/26(水)
休場 インドネシア
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 -7.14億NZドル)
10:30 (豪) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 6.8%、予想 6.6%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前期比 (10-12月 1.9%、予想 1.3%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前年同期比 (10-12月 7.8%、予想 7.0%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -29.5、予想 -28.0)
21:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
21:30 (米) 3月 卸売在庫 前月比 (2月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注 前月比 (2月 -1.0%、予想 0.9%)
21:30 (米) 3月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (2月 0.0%、予想 -0.2%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:30 (米) 財務省2年変動利付債入札
26:00 (米) 財務省5年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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