ドル円見通し 先週末からの上昇一服、134円を挟んだ揉み合い(23/4/19)

ドル円は4月13日夜安値からの反騰が18日午前高値で一巡して調整安に入っている。

ドル円見通し 先週末からの上昇一服、134円を挟んだ揉み合い(23/4/19)

先週末からの上昇一服、134円を挟んだ揉み合い

〇ドル円、4/18午前134.70つけ3/24安値以降の高値更新するも、3/19早朝にかけ134円挟んだ揉み合い
〇直近高値から2円ないし3円規模の調整安が繰り返し入る可能性もあるところと注意
〇中国GDP等の改善傾向により先行きの景気浮揚への期待感強まる
〇独ZEW景況指数悪化、先行き不安でユーロ上昇にブレーキ、ユーロ円下落による円高感がドル円に波及
〇FRB利上げ継続の可能性と年後半の利下げ議論へ進む可能性、メンバー間でも認識分かれる
〇134.32を下回るうちは133.82割れから133円台前半への下落を想定、133.25以下は反発注意
〇134.32超えからは134.70試しとし、高値更新からは135円台を目指す上昇期入り

【概況】

ドル円は4月12日の米3月CPIと13日の米3月PPIの伸び率が鈍化したことによるドル売りで4月12日高値134.04円から13日夜安値132.02円へ下落したが、14日の米経済指標通過後の米長期債利回り上昇とドル高により17日に134円台へ上昇、18日午前には134.70円をつけて3月24日安値以降の高値を更新した。その後は上昇一服感で伸びずに134円を割り込んで133.82円まで下げ、21時半の米住宅統計発表後にドル高反応が見られた局面で134.32円へ戻したものの勢いに欠け、19日早朝にかけては134円を挟んだ揉み合いとなっている。3月24日以降、戻り高値を切り上げた後の下落でも底上げをしてジグザグ型の上昇により高値を切り上げてきたが、その間も4月3日高値から4月5日夜安値にかけて3.11円の下落、4月12日高値から13日夜安値にかけて2.02円の下落が入っており、現状も直近高値から2円ないし3円規模の調整安が繰り返し入る可能性もあるところと注意したい。

【中国GDPは改善、独ZEW景況指数が予想外に悪化、米住宅着工は減少】

4月18日午前に発表された中国の1-3月期GDP伸び率は前期比で2.2%となり、市場予想と一致したが10-12月期の0.0%から改善し、前年同期比は4.5%で10-12月期の2.9%から改善して市場予想の4.0%を上回った。3月の小売売上高も前年比10.6%増で2月の3.5%及び市場予想の7.4%を上回り、3月鉱工業生産も3.9%で予想の4.0%をわずかに下回ったものの2月の2.4%から改善した。
年初にウィズコロナ政策へ転換したことで中国景気回復への期待が先行してきたものの実際の数字としては芳しくない状況が続いてやや失望感も持たれていたが、GDP等の改善傾向により先行きの景気浮揚への期待感が強まった印象だ。欧米の景気減速に対する中国の景気回復感がドル円の午後からの下落=ドル安反応に寄与したとの見方もあったようだ。

4月18日夕刻に発表されたドイツZEWの4月景況感では期待指数が4.1となり、3月の13.0から大幅に悪化して市場予想の15.3を下回った。現況指数は3月のマイナス46.5からマイナス32.5へ改善して市場予想のマイナス40.0を上回ったものの、先行き不安が示されたことでユーロの上昇に一時ブレーキがかかり、ユーロ円の下落による円高感がドル円にも波及した。

18日夜に発表された3月の米住宅着工件数(年換算)は前月比0.8%減の142万戸となり、2カ月ぶりのマイナスだったが市場予想の140万戸を上回った。先行指標となる住宅着工許可件数は前月比8.8%減の141
3000戸で市場予想の145万戸を下回った。発表直後には着工件数が予想を上回ったことを優先してドル高反応が見られたものの、許可件数の悪化もあり勢いは鈍かった。

【FRBの利上げはあと1回か、2回か?】

3月の米CPIやPPIの伸びが鈍化したことと米経済指標の鈍化傾向、米銀破綻をきっかけとした信用不安が落ち着いたものの銀行の与信条件の厳格化等の悪影響が懸念される状況の中、前回FOMCにおいてあと1回の利上げ想定が示されたことを踏まえて次回FOMCにおいての0.25%利上げは確実視されつつあるが、果たしてそれで打ち止めになり年後半に利下げ再開議論が生じるのか、1回ではなく2回の利上げがあるのか、FRBメンバーの中でも認識が分かれている印象だ。

アトランタ連銀のボスティック総裁は4月18日に、「あと1回利上げしてその後は政策金利を据え置く」とし、信用不安問題について「銀行が融資供与に慎重になる」ことを警戒するとした。
ボウマンFRB理事も18日に、「シリコンバレー銀行などの経営破綻をきっかけとした与信条件の厳格化が経済に影響を及ぼし続ける」と懸念を示し、「今後の経済見通しにも従来との違いが生じている」と慎重な姿勢を示した。
一方でセントルイス連銀のブラード総裁は、「米国の景気後退入りを予想していない」とし、政策金利を「現行の4.75〜5%からあと0.75%引き上げて年5.50〜5.75%とする必要がある」との姿勢を示した。米銀破綻による信用不安問題についても「現時点では金融危機などが発生するようには見えない」と楽観的だった。
市場は来週の米1-3月期GDP速報値、28日の米個人消費支出(PCE)デフレーター等を見ながら経済指標の内容に若干振り回されながら利上げ継続の可能性と年後半の利下げ議論へ進む可能性を天秤にかけてゆくことになるのだろう。

【米長期債利回りは先週末からの連騰一服で総じて低下】

4月18日の米長期債利回りは先週からの連騰一服で総じて低下した。10年債利回りは前日比0.03%低下の3.58%となり、4月13日の0.05%上昇、14日の0.07%上昇、17日の0.09%上昇と3連騰してきた流れに一服感が出ている。30年債利回りも前日比0.02%低下となり、4月13日からの3連騰が途絶えた。利上げに敏感な2年債利回りは0.01%低下の4.21%となり、小幅な低下にとどまったものの4月14日の0.13%から17日の0.09%上昇への連騰一服となった。
一方でNYダウは前日比10.55ドル安と小幅下落、ナスダック総合指数も4.31ポイント安とわずかに下落した。米金融大手ゴールドマン・サックスの1-3月決算が減収減益だったことなど企業決算を気にしつつ、セントルイス連銀総裁の利上げ継続姿勢等も足かせとなったようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は4月13日夜安値からの反騰が18日午前高値で一巡して調整安に入っている。4月13日夜安値を基準とすれば安値形成期は20日夜にかけてと想定される。18日夜に134円を割り込んだ後も134円を挟んだ揉み合いにとどまっているのでまだ一段安余地が残る。3月後半からは直前高値から2円ないし3円規模の調整安も繰り返し入っているので18日夜安値割れからは下げ足が速まる可能性もあると注意する。ただし、18日午前高値を超える場合は新たな上昇期入りとして25日午前にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では4月18日夜への下落で遅行スパンが悪化し、134円を挟んだ横這い推移に入ったことで先行スパンに潜り込んでいる。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先として先行スパンの下限を試す可能性があるとみる。先行スパンから転落する場合は下げ足が速まることにも注意する。ただし、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月14日夜から18日午前への高値更新に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生して18日夜へ下落した。その後も50ポイント以下での推移が続いているので50ポイントを下回るが一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。ただし55ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月18日夜安値133.82円を下値支持線、18日午前高値134.70円を上値抵抗線とする。
(2)18日夜の反発時高値134.32円を下回るうちは18日夜安値133.82円割れから133円台前半への下落を想定する。133.25円以下は反発注意とするが、133.82円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)134.32円超えからは18日午前高値134.70円試しとし、高値更新からは135円台を目指す上昇期入りと考える。135円手前は売られやすいとみるが、134.32円以上での推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/19(水)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 4.5%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -0.6%)
13:30 (日) 2月 設備稼働率 前月比 (1月 -5.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (2月 1.1%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (2月 10.4%、予想 9.8%)
15:00 (英) 3月 CPIコア指数 前年同月比 (2月 6.2%、予想 6.0%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数(RPI) 前月比 (2月 1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数(RPI) 前年同月比 (2月 13.8%、予想 13.3%)

17:00 (欧) 2月 経常収支・季調済 (1月 171億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前月比 (1月 3.9%)
18:00 (欧) 2月 建設支出 前年同月比 (1月 0.9%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数(HICP)・改定値 前年同月比 (速報 6.9%、予想 6.9%)
18:00 (欧) 3月 HICPコア指数・改定値) 前年同月比 (速報 5.7%、予想 5.7%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
25:30 (英) マン英中銀委員、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

4/20(木)
未 定 (日) 日銀支店長会議、4月地域経済報告(さくらリポート)(日銀)
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前期比 (10-12月 1.4%、予想 1.5%)
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価(CPI) 前年同期比 (10-12月 7.2%、予想 6.9%)
08:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調前 (2月 -8977億円、予想 -1兆2408億円)
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調済 (2月 -1兆1907億円、予想 -1兆6444億円)
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 0.9%、予想 0.4%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数(PPI) 前月比 (2月 -0.3%、予想 -0.6%)

20:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.9万件、予想 24.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.0万人、予想 182.7万人)
21:30 (米) 4月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (3月 -23.2、予想 -19.7)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数・年率換算 (2月 458万件、予想 450万件)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 前月比 (2月 14.5%、予想 -1.8%)
23:00 (米) 3月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (2月 -0.3%、予想 -0.6%)
23:00 (欧) 4月 消費者信頼感・速報値 (3月 -19.2、予想 -18.5)
25:00 (米) ウォラーFRB理事、講演
25:20 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
28:00 (米) ボウマンFRB理事、イベント参加


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る